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■ 講演内容の概要


講演内容の概要

読者の皆さんのご要望に応え、今回特別に公開します。

驚きの味覚体験〜ミラクルフルーツとギムネマ〜
(植物を通じて味覚のしくみを理解する)
講演内容の概略


1.味を感じるしくみ
味を感じるには食べ物が唾液と混じり水溶液になることが必要である。水溶液となった物質は口の中にある乳頭に取り込まれ、その中にある花のつぼみのような形をした味蕾(みらい)で味が判別される。 味蕾での味の判別方法は、鍵と鍵穴の関係に例える事ができる。食べ物の成分が鍵で味蕾が鍵穴である。味にはそれぞれ専用の鍵穴があり、その鍵穴が埋まるとスイッチが入り電気信号として脳に伝えられる。

2.動物にとっての味覚
草食獣:消化しにくい植物で生きていくために体の仕組みを変化させた。
例:コアラ→すばやく敵から逃げることのできないコアラは、他の動物にとって毒であるユーカリの森で生活することで生き延びることができた。
肉食獣:草食獣を食べることで栄養をとるが、獲物を食べる順番はフルコースのように決まっている。
例:ライオン→小腸(植物のエッセンス)→肝臓、すい臓(ビタミン、ミネラル)→筋肉
上記の例より、『生きていく上で役に立つものがおいしい。』これが動物にとっての味覚である。

3.人にとっての味覚

味は5種類に分けることができこの5つの味の混じりあいで辛味、渋味、えぐ味を感じることができる。
基本味 代表的な物質 生物学的意義 感度
甘味 ショ糖 糖のシグナル 低い
塩味 食塩 ミネラルのシグナル 低い
酸味 クエン酸 腐敗物のシグナル 高い
苦味 キニーネ 毒物のシグナル 高い
うま味* グルタミン酸ナトリウム タンパク質のシグナル 低い

*:うま味:グルタミン酸ナトリウム(昆布)、イノシン酸ナトリウム(鰹節)、グアニル酸ナトリウム(干ししいたけ)

うま味の相乗効果

グルタミン酸 イノシン酸
和食 昆布 鰹節
中華 白菜、長ねぎ 鶏がら
洋食 玉ねぎ 仔牛

これら(グルタミン酸とイノシン酸を含む食品を)を組み合わせて使うとおいしさが6.5倍〜9倍にもなる。
人間にとっての味覚とは『経験と学習』である。


4.味覚異常の恐怖
近年、若者の間に味を感じることができないという『味覚異常』という病気がある。 味細胞は20日から30日で生まれ変わるが、その際に亜鉛〔Zn〕が使われる。この亜鉛〔Zn〕の不足が味覚異常の原因であり、加工食品、ファストフードなどに頼りすぎると発生しやすい。 ちなみに亜鉛を多く含む食品は海草、そば、貝類、丸ごと食べる魚、お茶などであり、最近、日本人があまり口にしなくなった食品が多い。この機会に日本食を見直してはいかがですか。

5.味覚修飾物質を持つ植物について
味覚修飾物質(taste-modifier):味物質の構造を変えるのではなく、味受容体にはたらいて一時的に味覚機能を変える物質→食べ物の味を変えるのではなく舌にイタズラをして一時的に味覚を変える物質(植物由来では甘味誘導物質と甘味阻害物質の2種類がある。他に苦味抑制物質もある。)

6.ミラクルフルーツ、ギムネマ、クルクリゴ、ストロジンの紹介
ミラクルフルーツ:西アフリカ原産、どんぐり程度の赤い実に含まれるミラクリンというタンパク質が酸っぱい物を甘く感じさせる。(効果持続時間:2時間(冷凍果実では1時間))
クルクリゴ:マレーシア原産、ラッキョウのような実に含まれるクルクリンというタンパク質が酸っぱい物や水を甘く感じさせる。(効果持続時間:10〜15分)
ストロジン:マレーシア原産、葉っぱをかじってから冷たい水を飲むとストロジンという配糖体が水を甘く感じさせる。(効果持続時間:30分)
ギムネマ:インド原産、葉っぱ(苦い)をかじってから甘いものを食べると、葉っぱに含まれるギムネマ酸という配糖体が糖分の吸収を妨げ、甘味を感じなくさせる。(効果持続時間:30分)

7.おわりに(今後の展望)
今回紹介した味覚修飾物質(甘味誘導物質、甘味阻害物質)はシジフィン、ホタロシドを除いていずれも熱帯産植物に由来している。熱帯植物は不思議な作用を有する物質の宝庫と思う。現地の人しか知らない植物や未発見の植物もまだ数多く存在すると考えられる。 近年、糖尿病患者が増加しており、また、肥満が社会問題になっている。これらの人たちには低カロリーで安全な甘味剤が必要とされている。現在、多くの人工甘味剤がその副作用のため使用が制限されている。そこで新しい甘味剤の開発は依然として大きな社会的ニーズがある。今回紹介した甘味誘導物質が新しい甘味剤として利用される可能性はあるが、そのためにはミラクリンやクルクリンの安定性や大量生産系の確立が必要であり、今後の研究に期待したい。