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■ 参加者の御感想


参加者の御感想

2026/7/30に実施した北海道文教大学食物栄養学科3年の皆さんのレポートです。




Aさん 

 今回の講義と実験を通じて、私たちが普段当たり前のように感じている「美味しい」「酸っぱい」という感覚が、いかに舌の上の小さな受容体と脳の電気信号による「脳内の錯覚」に過ぎないのかを思い知らされ、非常に興奮しました。
 正直に言って、ギムネマを口に入れた瞬間は「そこら辺の草を毟って食べている」ような、生々しい青臭さと苦味があり、心理的にかなり気持ち悪かったです。しかし、その後に食べた砂糖とチョコレートの衝撃に比べれば、ギムネマの草の味のほうがまだマシだったと感じるほどでした。甘味の消えたチョコレートは、ただのねっとりとした脂肪の塊と不気味な苦味の塊でしかなく、「クソまずい」という言葉がぴったりな、人生で初めての最悪な味覚体験でした。
 この現象は、ギムネマに含まれるギムネマ酸という配糖体が、舌の甘味受容体(鍵穴)に先回りして結合し、甘味の感知をブロックしたために起こるそうです。人間にとって甘味という「報酬効果(脳が美味しさを感じる仕組み)」が強制的に遮断された結果、チョコレートの脂肪分やカカオの苦味など、甘味以外の普段は隠れている要素だけが異様に強調され、強烈な不快感に繋がったのだと身をもって理解しました。それと同時に、人間にとって甘味がどれほど「幸せ(報酬)」と結びついているかを実感しました。
 一方で、ミラクルフルーツの実験は魔法のようでした。あんなに酸っぱくて顔が歪むはずの本来は強い酸味を持つレモンが、口の中で高級なスイーツかと思うほどとても甘く変化した体験は、まさに「驚きの味覚体験」でした。講義によると、これはミラクルフルーツに含まれる「ミラクリン」という糖タンパク質が舌の甘味受容体に結合することで起こる仕組みだそうです。この物質は、口内がレモンのクエン酸によって「酸性(酸っぱい状態)」に傾くと形(構造)が変化し、甘味受容体を強力に活性化させる性質を持っています。そのため、私の脳はレモンの酸味を「強い甘味」として誤認してしまったのだと知り、その科学的なからくりに深く納得しました。
 この実験の後、「自宅の梅干しでも同様に甘くなるのではないか」という仮説を立て、ワクワクして考えました。梅干しにはレモンと同様に強い酸味(クエン酸)が含まれているため、ミラクリンの活性化条件である「酸性環境」は十分に満たしていると考えたからです。しかし、味覚のメカニズムからさらに論理的に予測を進めた結果、最終的に「レモンのようには甘くならない(純粋に美味しく甘いデザート感覚にはならない)」と判断し、実行を断念しました。
 なぜなら梅干しには、レモンと異なり大量の「塩化ナトリウム(塩味)」が含まれているからです。講義資料にある通り、塩味は生存に必要なミネラルのシグナルであり、ミラクルフルーツによって酸味が甘味へと変換されたとしても、この塩味の受容体までが遮断されるわけではありません。結果として、絶対に甘酸っぱくて美味しいものにはならず、「非常に甘くて塩辛い、奇妙な味(あるいは甘塩っぱい味)」になり、脳がバグってしまうと予想されます。直感的な疑問からスタートし、講義で習った「基本五味」の組み合わせを裏付けとして、実験結果を予測できたことは自分にとって大きな達成感となりました。
 さらに、私たちが「酸っぱい」「苦い」と感じる感覚が、単なる好みの問題ではなく、腐敗物や毒物という「生存を脅かすリスク」を瞬時に察知するための生存戦略であるという点にも、生命の進化の凄みを感じました。だからこそ、人間の舌はこれらを少量でも敏感に察知できるように感度(閾値)が高く設定されているのだと知り、自分の体の防衛システムに納得がいきました。
 何より一番驚いたのは、生き物によって味蕾(みらい)の数や「味を感じる場所」が全く異なるという事実です。人間は成人で約6,000〜9,000個の味蕾を持っていますが、ウサギは17,000個、牛にいたっては24,000個もあり、さらにナマズは全身に20万個もの味蕾が存在するというデータを見て、人間以上に食に対して繊細、あるいは過酷な環境で食べ物を判別している生き物たちの姿に驚かされました。
 また、ハエが「手(足のふ節)」で味を感じているというお話は全くの初耳でした。人間のように口に入れてから「マズい!」と判断するのではなく、着地した瞬間にそれが食べられるかどうかを判断しているという、生き物ごとの驚くべき生存戦略を知ることができました。これまではただの不快な虫としか思っていなかったハエですが、この事実を知った今では、どこかにとまるたびに「今、手で味を確かめている最中なのだろうか」と、全く違う視点で見えてきます。今後、日常生活や自然界でこれらの生き物を見る機会があったら、その生態や動きをじっくりと観察してみたいと強く思いました。
 今回の体験を経て、人間にとっての美味しさは、食べ物そのものの成分だけでなく、脳の処理や経験、そして今回のような味覚修飾物質による「鍵と鍵穴のイタズラ」によって簡単に支配されてしまう面白いものだと分かりました。生き物たちが生き残るために独自の進化を遂げた味覚の不思議さと、植物のイタズラの科学を同時に学べた、非常に中身の濃い充実した講義でした。今後は、食育や健康管理のニュースを見る目も変わりそうです。勇気を出してあの不味い草(ギムネマ)を食べて本当に良かったです。
 最後に、このような五感をフルに使って学ぶことのできる貴重な体験と、生き物の不思議に満ちた素晴らしい講義を本当にありがとうございました。



Bさん 

 今回の講義では、ミラクルフルーツとギムネマを体験し、それぞれが味覚にどのような影響があるのか学んだ。
 まず、味覚の仕組みについて学んだ。味覚は、舌などに存在する味蕾という器官で感じられる。甘味・塩味・酸味・苦味・うま味を受容することで、味を認識している。 私は、味蕾は舌にしか存在しないものだと思っていたが、味蕾は舌だけに存在するものではないということである。実際には軟口蓋、喉頭蓋、喉頭、食堂などにも存在することを知り、とても驚いた。また味蕾の数は人間の中で最も多いのは赤ちゃんであり、加齢とともに、減少していくことも初めて学んだ。
 次にギムネマについて学んだ。ギムネマに含まれるギムネマ酸が舌の甘味受容体に結合し、甘味物質が受容体に結合するのを妨げるため、一時的に甘味感じにくくなる作用がある。実際に、ギムネマの葉をちぎり、舌全体にこすりつけた後、砂糖を食べると甘味をほとんど感じず、砂糖の粒の食感だけが残り、砂を食べているように感じた。また、チョコレートでも甘味が弱くなり、普段はあまり意識しない苦みやカカオの風味を感じやすくなった。次に、ミラクルフルーツについて学んだ。ミラクルフルーツは、ミラクリンという糖たんぱく質を含んでいる。ミラクリンは舌の甘味受容体に作用し、酸味のある食品を食べた際に甘く感じる働きがある。この作用により、レモンなどの酸っぱい食品でも甘味を感じるようになる。実際にミラクルフルーツタブレットを口の中でよく転がし、舌の全体にこすりつけた後、レモンを丸かじりしてみると、本当に甘くなるのかなと思っていたが、レモンを食べていることを忘れるくらい甘く感じた。家で、梅干しでも試してみたが、レモンと同じく、甘く感じた。今回の体験を通して、同じ食品でも味覚の受け取り方によって感じ方が大きく変化することを学んだ。
 今回の講義を通して、味覚と口腔機能の関係はとても重要であると感じた。高齢になると 歯が失われ、義歯を使用する人も増えるが、義歯によって上顎にある味蕾の部分が覆われ味を感じにくくなる。食事を楽しむためには、口腔機能を維持することが大切だと考える。また、ミラクルフルーツは糖尿病患者への食事支援にも活用できると感じた。糖分を多く含む食品を摂取しなくても、酸味のある食品を甘く感じることができ、食事の楽しみを広げることにつながるのではないかと考えた。
 今回、ミラクルフルーツやギムネマについて初めて知り、実際に体験することで味覚の仕組みをより深く理解することができた。味を感じることは食事を楽しむために欠かせない大切な感覚であり、味を感じられることは大きな幸せであると感じた。

【参考URL】
・ 東京大学 農学生命科学研究科 酸っぱいものを甘くするミラクリンの不思議を分子レベルで解き明かす https://www.a.u-tokyo.ac.jp/topics/2011/20110927-1.html
・味覚の不思議-味覚修飾物質- https://dep.sit.ac.jp/lsgc/column05/



Cさん 

 人生で初めてギムネマとミラクルフルーツのタブレットを食べ、味覚がこんなにも大きく変わるのかと驚いた。また、講義では味覚の仕組みや人にとってのおいしさについて学び、普段何気なく感じている味がさまざまな要因によって成り立っていることを知ることができた。実際に自分の舌で体験したことで、講義内容への理解がより深まったと感じた。
 まず、味を感じる仕組みについて学んだ。食べ物はそのままでは味を感じることができず、唾液と混ざって舌にある味蕾に取り込まれる。味蕾には甘味や塩味、酸味、苦味、うま味を感じる受容体があり、味を感じるそれぞれの受容体に味の成分が結び付くことで、脳へ伝わり味を認識しているということがわかった。この仕組みは、食べ物の成分を「鍵」、味受容体を「鍵穴」に例えて説明されており、とてもわかりやすかった。普段、当たり前のように感じている味が、味蕾や脳が複雑に働いていることで味を感じていることを知り、とても興味深かった。
 ギムネマの試食では、その仕組みを実際に体験することができた。ギムネマの葉を舌全体にまとうように食べた後にチョコレートと砂糖を食べてみると、どちらも甘味を全く感じなくなり、普段とは全く違う食べ物のように感じられた。漫画のようにチョコレートは甘さがなくなったことで粘土のような食感だけが残り、砂糖は砂を食べているようなじゃりじゃりした感覚だった。普段は甘さがあることで気にならない食感がここまで強く感じられることに驚いた。また、その後に飲んだお茶は普段と変わらない味だったため、ギムネマは甘味にだけ作用し、他の味覚にはほとんど影響を与えないことを実感できた。パンやまんじゅうなど、甘味を感じなくなることでしょっぱさだけが残ると聞いたので、実際にどのような味になるのかとても気になった。
 ミラクルフルーツの試食では、最初に少し舐めただけでもかなり酸っぱかったレモンが、甘酸っぱく感じられ、まるでグレープフルーツを食べているようだった。酸っぱいが故の食べづらさがなくなり、とても食べやすく感じた。同じレモンでもここまで味の印象が変わることに驚き、味覚は食べ物そのものだけではなく、自分の舌の状態によっても大きく左右されることを実感した。
 また、味覚修飾植物にはギムネマやミラクルフルーツ以外にも、クルクリゴやストロジンなどがあることを知った。それぞれ作用する味や持続時間は異なるが、どれも食べ物の味を変えているのではなく、舌の受容体に一時的に働きかけることで味の感じ方を変えているという点は共通している。このような植物が自然界に存在すること自体を初めて知ったが、味覚の研究が医療や食品開発などさまざまな分野に応用されている理由も少し理解することができた。
 講義の中では、「人にとってのおいしさ」は単に味だけでは決まらないことも学んだ。人のおいしさには、生理的欲求だけでなく、経験や学習、文化、情報なども深く関係している。例えば、小さい頃から食べ慣れている家庭の味がおいしく感じられたり、有名なお店や人気商品という情報があるだけで実際よりもおいしく感じたりすることがある。また、スポーツをした後にスポーツドリンクがおいしく感じたり、疲れている時に甘いものが食べたくなったりすることも、生理的な欲求によるおいしさであると学んだ。私自身も思い返してみるとこうした人からの情報や自分の体調によって味の感じ方が左右されることがよくあると感じた。
 さらに、味覚障害についても学んだ。味細胞は約1週間で新しく生まれ変わるが、その際には亜鉛が必要であるため、亜鉛不足になると味覚障害を引き起こす可能性がある。最近は加工食品やファストフードを利用する機会が増えているため、亜鉛不足になりやすい若者が増えているという話を聞き、私も加工食品やファストフードは頻繁に食べるので、自分自身の食生活についても考えさせられた。管理栄養士を目指す立場として、栄養素は健康だけでなく、味覚は食べる楽しさにも大きく関わっていることを理解できたことは大きな学びだった。
 最も印象に残ったのは、味は食べ物だけで決まるものではないということである。味覚受容体の働きや体の状態、経験、文化など、多くの要素が重なって初めて「おいしい」と感じていることを、実際に体験しながら学ぶことができた。ギムネマやミラクルフルーツによって味覚が変化する体験はなかなかできることではないので、講義内容をより深く理解するきっかけにもなった。今後は管理栄養士として食に関わる立場になることを意識し、今回の経験から味覚の仕組みだけでなく、「おいしさ」を様々な方向から考えることができるようになりたい。



Dさん 

 今回のギムネマとミラクルフルーツの体験では、驚くべき発見がたくさんありました。「味覚修飾植物」という存在自体が新鮮な驚きであり、その効果の大きさを実際に身をもって体験できたことは貴重な経験でした。
 ギムネマを食べると、砂糖はまるで砂を、チョコレートはまるで粘土を食べているかのような感覚になり、食べ物にとって「味」がいかに重要な要素であるかを改めて実感しました。どれだけ見た目や香りが優れていても、味を感じられなければ食べる楽しみは激減してしまいます。将来にわたって味覚を維持することは、健康で豊かな人生を送るうえで不可欠だと感じました。一方、ミラクルフルーツはレモンの酸味を甘みに変え、まるで高級フルーツを食べているかのような美味しさを味わうことができました。
 こうした味覚修飾植物は、もっと身近な存在になれば多くのメリットがあると考えられます。ギムネマには甘味を感じにくくする特徴があるため、甘いものへの欲求を抑える効果が期待でき、ダイエットや食事制限の助けになるでしょう。また、ミラクルフルーツは酸味を甘みに変換するため、糖尿病や糖質制限でカロリー摂取を控える必要がある方でも、カロリーを増やすことなく酸味のある食品を美味しく楽しめるようになると考えられます。
 今回の授業は、味覚修飾植物の体験だけでなく、味覚についての講義も非常に有意義なものでした。味蕾の存在自体は知っていたものの、詳しい仕組みまでは理解しておらず、多くの新しい発見がありました。味覚地図が誤りであったことや、舌だけでなく喉にも味蕾が存在することには驚かされました。粉薬を飲む際、舌に薬がつかないよう工夫しても喉に不快感が残る理由が、この講義を通してようやく理解できました。
 将来、管理栄養士として働く上でも、今回の学びを活かしていきたいと思います。この体験を通して、「味覚」が食事の楽しみや満足感を大きく左右する重要な要素であることを、身をもって実感することができました。栄養バランスだけでなく、味覚修飾植物のような新しい知見も取り入れながら、糖尿病や食事制限のある方も含め、様々な人が「美味しい」と感じながら食事を楽しめるような献立づくりを目指していきたいです。味覚修飾植物は単なる興味深い自然現象にとどまらず、多くの人の食生活の質を高める可能性を秘めています。今後、こうした植物の研究や活用がさらに進むことを期待するとともに、私自身も管理栄養士として、栄養面と味覚面の両方を大切にした食事支援ができるよう、知識と工夫を深めていきたいと思います。