・講義を通じて感じたこと
昨日の講義を通して, 私は人間あるいは生物の身体というのは生き残るためにあらゆる変化を遂げ, 今日まで生き残ってきた逞しさのようなものを感じた。私がその中で最も強く感動したことは,
動物種によって味蕾の数が違うことである。特に, 草食動物の味蕾には魅力を感じた。生き残るためには栄養を摂取することが重要であるが, うっそうと茂る草むらの中には毒を持った植物も当然のように生えている。それを察知するために味蕾を発達させた動物たちには脱帽せざるを得ない。彼らは我々人間のように,
科学的に物事を思考することはないはずであるから, 「毒を察知するために舌で感知できるようにしよう」と考えて発達したわけではない。しかし, そのような変化を遂げられるということにもはや神秘すら感じたのである。遺伝子に書き込まれた情報はどのような情報まで含んでいるのだろうか。味覚という角度から捉えても不思議である。
・味覚修飾植物を体験してみて
昨日の講義の後にいただいた「ミラクルフルーツ」のタブレットと, 「ギムネマ」の葉を, さっそく帰宅後に家族を巻き込んで試してみた。 ミラクルフルーツは,
少し前にYoutuberと呼ばれる人たちが動画に使用していたこともあり, 存在そのものは知っていた。しかし, いざ自分自身で体験してみるとこうも面白いものなのか。百聞は一見に如かずとはまさにこのことである。レモン果汁がジュースへと変化した。理屈や何が起こるのか,
頭で理解していても驚きと好奇心が湧き出てきた。 ギムネマは, その存在を初めて知った植物である。食べると少しの苦みと渋みがあり, あまり美味しいものではなかった。しかし,
その後の変化はミラクルフルーツよりはっきりと感じた。我が家にちょうど存在していた「甘いもの」がキャラメルだったので, それで試してみたが, あのとても甘いキャラメルがまるでゴムを噛んでいるかのように味の無いぐにぐにとした何かに変わった。あまりの衝撃に,
笑いしか出てこなかった。
・ 味覚について学び, 体験して, 考えたこと
講義で言及していた, 糖尿病患者への味覚修飾植物の利用というのは非常に有効であると肌で感じた。酸っぱいものを甘く感じさせて糖分摂取を抑える効果や,
甘いものを甘く感じさせない, 不味くさえさせてしまえば, 菓子類の摂取を減らすこともできるかもしれない。また現実的ではないが, このコロナ禍が長期化したことによって新型コロナウイルスへの緊張感や危機感が減っている中,
このウイルスの特徴である味覚障害を一部疑似体験することができ, 「こんなに味を感じなくなってしまったら, 嫌だ」と感じさせることができるかもしれない。特に,
ギムネマのような効果は味覚障害の疑似体験に適しているように感じた。 私たちが美味しく食事ができるのは, 当たり前のことではなく, 生物としての進化と,
経験と学習によって獲得したありがたい能力なのだと感じた。