2019/05/13に実施した中京大学 心理学部3年の皆さんのレポートです。
Aさん
味とは本来口の中の舌で感じるものだと思っていました。実際には味蕾で判別され,舌以外にも上顎やのどにも存在することを知った。辛さを感じる時は舌の痛みを主に感じていたため上顎やのどに存在するとは思いもしなかった。自分の食事を思い返すと確かに上顎にも食べ物が触れることが多いと感じるため納得がいった。
味蕾はそれぞれ特定の味を感じることができる。鍵と鍵穴の関係で例えることができ,食べ物の成分を鍵とし味蕾が鍵穴で,鍵に当てはまるとその味が脳に伝わる仕組みになっている。味蕾の数は異なっており成人はおよそ6000〜9000個だが,赤ん坊は12000個ほどある。生物の例として,ウサギは17000個,牛は24000個,ナマズは20万個も存在する。人間は赤ん坊の時は口に含んでしまう習性があり,毒物にすぐ反応して吐き出すために味蕾が多くなっている。ナマズは表面にも味蕾がついていて,天敵が近寄って来るのを味蕾で感じることで身を守っている。陸上の生物は,主に眼が側面についていることで危険を察知していることは知っていたが,ナマズは味を感じる器官で身を守っているとは驚愕だった。
味の種類として甘味・酸味・苦味は知っていたが,他にも塩味・うま味などがあることを知った。なんと辛味は体性感覚といい,味蕾ではなく神経で感じているため,味ではない。今はまだ認定されていないが,カルシウム味(こく味)や脂味もいつか追加されるようだ。
実際に体験したギムネマの葉やミラクルフルーツでは,味蕾の鍵と鍵穴の関係の例をより深く理解することが出来ると同時に信じてはいなかった疑いが晴れ,驚きと感動に変わりました。味覚でここまで感動したのは初めてでした。ギムネマは甘味を感じる味蕾に蓋をすることで甘味を感じなくし,ミラクルフルーツは甘味の味蕾に入り,そこに酸味が入ることで甘味を感じる仕組みだ。この仕組みはただイタズラに味を変える・感じさせなくするだけだが使い方を考えると,甘味を摂取しすぎな人などにはミラクルフルーツを用いることで甘味の摂取を抑えつつ,その人の欲を満たせるため,医療にも用いることができる。
今まで味とは,ただ食べ物を食べ,そのものの味を感じ消化する程度としか考えていませんでした。自分が考えているよりもはるかに重要な要素で,味蕾の数・性質によって生物が凄く支えられていることを知った。人間の幸せという食欲を満たすだけでなく赤ん坊の頃は身を守るためにも役に立っていた。肉食の動物では,肉食と聞き,肉を主に食べると考えていたが詳しく見ていくと,ライオンはまず小腸を食べることで植物のエッセンスを,次に膵臓を食べることでビタミンやミネラルを摂取している,最後に筋肉を食べている。聴く前は,「お腹から食べているな」程度にしか考えていませんでしたが,その行動にも一般では知ることの無い様な意味が隠されていました。
本講義を通して,味覚の重要さが理解することが出来ました。講義を受ける前は漫画の最後の列のキョト〜ンとした方々と同じでしたが,受けた後は隣の女性と同じでした。持ち帰らせて頂けたタブレットは自分が再度体験するには勿体なさすぎると思い,家族に体験してもらい,驚いていたためこの驚きを他の人々にも体験して欲しいと感じました。
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Bさん
今回の講義は,自分にとってはじめて知ったことがたくさんあり,とても貴重な体験となった。今までは,舌全体を使って味を感じているのだと思っていたが,実際はそれぞれ専用の味蕾があり,鍵と鍵穴のような関係で,専用の鍵穴が埋まると味を感じるということが分かった。成人した味蕾が約6,000~9,000個であるのに対し,赤ちゃんは約12,000個,ナマズは200,000個ということを知り,なぜそんなにも味蕾があるのかと疑問に思ったが,理由を聞いてとても納得した。人間だけでなく,他の動物も生き延びるために進化していき今に至る,味覚もそうやって進化を遂げた1つなのだと改めて感じた。
また,人間は味蕾だけでなく五感も使って味を確かめており,経験や学習によって嫌いになったり,昔は嫌いだったものが好きになるということを知り,このメカニズムを利用すれば好き嫌いを減らすことができ,よりおいしく食事ができるのではないかと思った。
ミラクルフルーツは今までに耳にしたことはあったが具体的にはどんなものなのか知らないし,ギムネマに至っては今回はじめてきいたものだったので,実際に体験してみて,味が変化したことにとても驚いたし,純粋に面白いと感じた。
近年,偏った栄養摂取や食生活の乱れなど食に関する問題が発生している。私たちにとって食事をとるという行為は生きていくうえで非常に重要なものだが,食に対する関心が薄いためこのような問題が発生していると考えられる。よって,ギムネマやミラクルフルーツなど味覚修飾植物を使い,普段当たり前のように味を感じられるのはとても幸せだということを理解してもらい,大人にも子供にも食に関心をもってもらうことで,このような問題を減らすことができるのではないかと考えられる。
今回の講義で,ギムネマやミラクルフルーツなど味覚修飾植物に興味が持てたし,普段口にしているものを,甘いなら甘い,苦いなら苦い,おいしいならおいしいというように感じられることがいかに幸せなことなのかがよく理解できた。なので,これからは普段の食事をもっと味わって食べようと思ったし,多くの人に味覚の重要性を知って食に対して関心を持ってほしいと感じた。
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Cさん
ハエが手を擦るのは手にある味蕾を綺麗にするためである。また、蝶にも手に味蕾があるのは、葉に毒がないか確認して卵を産むためだということを初めて知った。ハエが手を擦っている場面を見たことがないため、今度ハエを見つけたときは、じっくり観察してみたいと思った。蝶の幼虫は卵から孵った後、卵がついていた葉を食べていたことを思い出して納得した。小学生の時の授業で、蝶の卵から観察していた時に、親は卵を産むだけで子どもを育てないのかと悲しく思っていたが、きちんと自分の子どものために場所を選んで産んでいると知り、親の温かみを感じた。
コアラが絶滅していない理由は、ユーカリという他の動物にとって毒となる植物を餌としているためとのことだった。また、約20時間寝ているのは、身体の中の微生物が毒を分解しており、カロリーを多く消費するからということも初めて知った。動物園に行ってコアラを見たときに「起きて」と思っていたけれど、これからは「頑張って」と応援したいと思うようになった。
さらに、五感を使って美味しいとまずいとを判断しており、視覚が一番美味しさを感じるために使っているということも初めて知った。また、実が熟した時の色である赤は食欲が増すということも初めて知った。このように、植物は熟した時の種を運んでもらうために進化してきたのだと思うと長い歴史を感じた。人間と動物と植物はなくてはならない存在だと改めて実感した。
私は冷たい食べ物で辛さを感じたことがなかったため、辛さの分岐点は43度であり、冷たいものに辛いものを入れたときより、温かいものに辛いものを入れたときの方が辛く感じるという話を聞いて、長年疑問に思っていたことが分かり、すっきりした。
高校生の時に生物の授業で、大人になるにつれて味蕾が減少していくため、好き嫌いがなくなると習った記憶がある。さらに、今回の講義では、赤ちゃんは全てを味蕾に頼っているため、約12000個という数の味蕾があり、大人は食べていいものと食べてはいけないものが知識や情報、経験によって分かっているため、味蕾で確認をする必要がなくなり、赤ちゃんに比べて大人は味蕾が少ないとのことだった。そのため、大人になるにつれて味蕾が減少していき、味覚が鈍ってくるのと同時に、必要がなくなるのだということが分かった。
疑問に思った点がいくつかあった。
1つ目は、味覚障害の方には今回の実験ができないということだったが、年齢とともに味蕾が減少していくので、年配の方に今回の実験を行った場合、私たち世代とでは味の感じ方に違いがあるのかということである。
2つ目は、5種類の味覚を同時に口に入れると、苦味、酸味の順番で感じるとのことだったが、危ないものと察知する味覚ほど味蕾の数が多いのかということである。
このように疑問に思った点がいくつもあり、興味を持ったため、自分なりに調べてみようと思う。
今後の展開について考えてみた。私は病気があり、食欲が落ちて体重が10s以上落ちてしまった。さらに、好きだった甘い食べ物を食べると気分が悪くなるため全然食べられなくなってしまった。風邪を引いたときも同様に食欲がなくなるが、元気になるためには、しっかりと食事をとらなければならない。私は酸っぱい食べ物は好きなため食べることができる。ギムネマは甘味を感じさせなくなるとのことだったが、やはり食事の時は味を感じたい。酸っぱい食べ物が甘く感じられる味覚修飾植物があるということは講義を聞いて分かった。しかし、甘い食べ物を酸っぱく感じられる味覚修飾植物は紹介されていなかった。
私の場合、甘い食べ物を酸っぱく感じられる植物が発見され、薬にそういった成分を含むことができれば食欲が増し、体重維持にも繋がるのではないかと考える。
先生は16歳の時に味覚修飾植物の存在を本で知り、全国の植物園に電話をかけまくったと聞いて、行動力のある人だなと思った。もし私が先生の立場だった場合、興味を持ってすごく知りたくても行動にはなかなか移せていないと思う。私にはまだそのような夢中になれるものがないので羨ましく思った。
味蕾やそれ以外のことについても知らないことばかりだったため、これからは積極的に今回の講義の内容以外にも多くの知識を得たいと思う。
島村のコメント
年配の方も味蕾の数が少しは少なくなっているものの、味覚を感じられないわけではありません。そのため、私たちとほぼ同じと考えていいと思います。苦味や酸味を感じる味蕾は多いという認識で問題ないと考えます。甘味を酸味に変える植物はあるかもしれませんが、通常はメリットが感じられないため、そこから先の展開(情報発信含め)がされていないものと考えます。
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Dさん
今回,島村先生の講義でギムネマの葉とミラクルフルーツ(タブレット)を食べてみて知識としては,味覚の変化が起きることは知っていましたが,実際に経験してみるのとでは感じ方が全く違うと感じることができました。ミラクルフルーツのタブレットを舐めてからジュースを飲んだ時に,最初から甘みを感じましたが,徐々により甘みを感じてきて,自分の予期していない感覚を感じた時には脳が味を感じるのが遅いのかもしれないと思いました。そして,講義でも習いましたが,普段の生活の食事においても視覚や聴覚を使って味を感じているのだなと思いました。講義中におっしゃっていた赤色が食欲増進の効果があることが,木の実の熟している色が赤だからというのは,とても興味が湧きました。この考え方は,とても納得でき,今日の色の心理学についての研究結果がバラバラなことについての自分の中での理由の推測ができました。心理学では,色の研究は盛んにされていて感情や時間的感覚について調べられていることが多いのですが,各研究によって異なる実験結果が出ていることが多く,色の人に与える心理的効果は明確にはわかっているとは言えないと思うのですが,実験という形式なので再現性が求められ,色の実験を行うときに自然の状態とはかけ離れた単一色を用いることが多いことで生物的側面がある程度無視されていることが原因のひとつかなと思いました。人の歴史は生物の歴史に比べたら浅く,人の考えや行動の根底には生物としての本能のようなものが深く関わっていると思うので,心理学の実験で再現性だけでなく,その実験が自然状態ならば,その実験対象の意味によって人の捉え方が変化することも念頭に置くべきだと思いました。
味覚修飾植物については,苦い薬を飲む前にギムネマの葉で苦みを緩和させたり,糖尿病患者で甘いものを食べれない人に甘みを感じさせることができたりとQOLを高めることについてとても今後大きい役割を担うことになると思いました。QOLを高める方法としては,人の取り巻く環境を変化させてよりよい生活へという発想が多いと思うのですが,人体の方に作用して,よりよくするという考えはとても新しいと思いました。
今後は,味覚は食べ物の中身で決まるものではなく,どのような電気信号が送られるかで決まるものとなり,味覚は能動的に変化させるものになるのではないかと思いました。
これからの人の感覚は,より研究がなされて自分の感覚は自分で決めるという社会になっていくと前から自分は思っていましたが,今回の講座のミラクルフルーツやギムネマでいとも簡単に自分の感覚が変わるのを知って,自分の考えはもうすぐそこの世界まで来ていて現実になるのもあと少しなのかなと思いました。そして人体と自然の不思議はまだまだあるのだと知り,これからの世界がますます楽しみになりました。
■参考文献
柴崎全弘. (2017). ヒトはなぜ赤に反応するのか?: 赤色の機能に関する進化心理学的研究.
名古屋学院大学論集 社会科学篇
= THE NAGOYA GAKUIN DAIGAKU RONSHU; Journal of Nagoya Gakuin University; SOCIAL SCIENCES,54(1), 81-96.
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Eさん
私が今回の講義で特に興味を持った点は2つあります。1つ目は味を感じるのは舌の一部だけでなく,した全体や上顎,のどにも味蕾があり,これらの部分でも味を感じることができるという点です。私は小学生のころ味覚地図を見たことがあります。しかし,幼かった私は,舌の横側でも甘みを感じるのになあ,と思っていました。飴をなめる時,舌の横と歯の間に飴を挟んでみましたが,ちゃんと横側でも甘みを感じる気がしました。当時不思議に思ったことの理屈が今回分かり,なるほどと思いました。また,調べてみると1990年代に舌の味覚分布地図が否定されていることが分かりました。舌の味覚分布地図は私が小学生の時に知ったことだったので,今回の講義を受けた時は味蕾についての発見があったのは最近のことだと思いました。しかし,私が思っていたよりも昔に味覚分布地図が否定されていて,驚きました。
2つ目は,味覚障害に関することです。今回,ギムネマを使って,甘みを感じなくなる体験をさせてもらいました。砂糖が,ただじゃりじゃりとした触感の砂のような感じで,とても苦痛に感じましたし,思わず吐き出したいと思うほどでした。チョコレートも,苦味しか感じず,カカオ96%のようだと思いました。味覚障害の人はこれを食事のたびに毎回感じているのだと思います。毎食,毎日この感覚に耐えなければならないのは,大変な苦痛であると容易に想像できます。今までは味覚障害という病気の存在も知りませんでしたが,今回体験をしてみて味覚障害の人の苦痛を少しでも早く減らす方法はないだろうかと思いました。味覚障害の人が亜鉛をとり続けて治すまでには時間がかかってしまうと思います。それまで食事のたびにあの感覚を味わうとしたら,強い苦痛を感じ続け,精神的に参ってしまうかもしれないと感じました。普段は何も考えずに食事をとっていましたが,味を感じないというだけであれほど不快に感じるということにずっと気づきませんでした。たとえ知識としてそのような病気があると知っていても実際に体験してみないとどれだけ不快なものかはわからないものだと思います。もっと多くの人が実際に体験することで,この病気について理解していくべきだと感じました。自分も味覚障害にならないよう,意識して亜鉛を多く含む食材をとるようにします。大豆や肉,魚に多く含まれるようなので,食事の際にそれらを他の食材とバランスよく食べて,味を感じる幸せを失わないようにしていこうと思いました。
また,個人的に,ミラクルフルーツを食べた後のレモンとヨーグルトがこれほど甘く感じるのか,と驚き,糖をとらずに甘みを感じ満足感が十分に得られるため,もしこれがダイエット商品として活用されたらとても人気が出ると思いました。ダイエットという面ではなく,糖尿病の方用に開発する方が優先だとは思いますが,かなりの満足感を得ることができたので,糖尿病の方のストレスを軽減させながら治療を進めていくことができると思います。講義を受けて,今まで意識していなかった味覚というものについて考える機会となり,興味がわきました。ありがとうございました。
■参考Web
・いろはに情報館 舌の味覚分布地図は間違いだったぁ!?
https://frytiger.com/archives/4169.html
・簡単!栄養andカロリー計算 亜鉛の含有量
https://www.eiyoukeisan.com/calorie/nut_list/zinc.html
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Fさん
私は,この講義を受講するのは今回で四回目でした。市邨中学校の一年生の時に,初めて味覚を学び,それに大変印象を受けて三年間続けて,味覚の講義を受講したのを覚えています。まさか大学三年生になった今,またこの講義が受けられて嬉しく思います。中学生の時には,あまり難しい内容は覚えられず,覚えていたのは以下のことでした。
人間の赤ちゃんは味蕾が多く,歳をとるにつれてその数は減っていくこと。味の判別方法は,鍵と鍵穴の関係があること。ナマズは目が悪い代わりに,他の生物と比べて味蕾の数が多いこと,ハエが手を磨くのは手に味蕾が存在しており,その掃除のためであることなどです。そして,最も印象的だったのは,味覚体験でした。ギムネマの葉を少し噛み,舌に擦り付けるだけで,砂糖は砂みたいに感じ,チョコは甘さがなくなった固体みたいになって,大変驚いたのをずっと覚えていました。味が変わる食べ物は糖分を含んでいるものだけで,お茶などは変わらないのは不思議でした。しかも,それが味の変化だけでなく,病気でそのように味が感じられなくなる人がいるのだと衝撃でした。また,ミラクルフルーツを食べると,すっぱいものが甘く感じるので,普段酸っぱくて苦手なレモンをおかわりしたのを覚えています。以上が過去の記憶です。
しかし,今回は四度目ということでプラスに,より理解できたことが多かったです。まず,味蕾がある場所は,舌全体に7割,残りの3割は上顎と喉に存在していますが,高齢になって入れ歯をつけると上顎の味蕾が塞がれて,余計味を感じにくくなるので気の毒だな,と思いました。また,人にとっての味覚は,甘味・塩味・酸味・苦味・うま味の5種類であるが,辛さは体性感覚であり,味蕾ではなく神経を刺激しているので,味覚には含まれない,というのは面白いなと思いました。今後は,カルシウム味(こく味)・脂味もあると提言されているそうなので,いつ味覚として追加されるか楽しみです。これから,研究が進めば進むほど,味覚の種類も増えそうなので興味深いです。そして,食べ物に最も影響を与える感覚は視覚であることも驚きでした。たしかに見た目は,食欲に関係しているのは分かりますが,私は嗅覚かな,と思っていました。食べ物の格付けをするときに,鼻を頼りにしていたり,人間以外の動物は嗅覚で食べ物の判断をしていたりするので,嗅覚だと思いました。圧倒的に視覚の影響力が大きいとなると,飲食店などの赤の看板などは理にかなっているな,と思いました。他には,苦い味が大人になると美味しく感じる理由は,中学生の頃は,味蕾が減るから,という理由かと思っていました。しかし,それは苦味自体は毒のシグナルとして頭に入っているが,全てが毒ではないことを経験と学習により知ることで,苦味が美味しく感じるようになることを知りました。また,偏桃体による情報に基づくおいしさは面白いなと思いました。人気店でなくてもサクラを並ばせると,美味しいのかなと勘違いをして並び,本来の味とは関係なく,周りの評価に流されてしまうことがある。それは人間特有そうなので興味深いと思いました。
今回の講義を通して,改めて味覚は生きる上で重要なことだと再確認しました。すっぱいものを甘いものに変えることが,医療の場で普及されると,患者はより健康的に,精神的にも満足できてとても良いと思いました。また,リポタンパク質のように,人工的に作られたものでも,苦味を四分の一に抑えることで,高齢者が気になることもなく,薬など飲めるようになったことは素晴らしいことだと思いました。このように,新しいものがさらに生み出されて,医療に生かされる多くの人の助けになる,と思いました。
今回の講義で,まさか四回目になるとは思ってもいませんでした。楽しい体験と分かりやすい講義が受けられて,嬉しく思います。ありがとうございました。
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Gさん
今回の講義では人間の五感の一つとして数えられる味覚に焦点を当て,実際に試食,試飲を交えて体験的に味覚について学習した。
我々の味覚(味を感じる)とは,下の中の「味蕾」という部分によって知覚されている。これはカギと鍵穴のような関係であり,甘味,塩味,酸味,苦味はそれぞれこの鍵穴,すなわち味蕾が舌の上に存在している。人間では赤ちゃんが一番味蕾の数は多く,生まれたばかりの赤ちゃんにはおよそ1万個存在している。赤ちゃんの離乳食の味が薄いことは今までは単純に成人と同量の塩分を摂取していては体に悪影響だからだと思っていたが,味蕾の数が多いことでより敏感に味覚を知覚してしまうという理由もあったことは知らなかった。煙草を吸った後の母乳を赤ちゃんが吸うとき嫌な顔をするといった反応するのは,味蕾が多いゆえにわずかな母乳の変化も知覚できることが原因だった(NIKKEI STYLE, 2015)のだと思うと面白い。
動物について,ナマズの味蕾がおよそ20万個あり,これは体中に存在し,敵の味で敵の接近を感知するというものであったが,味蕾と聞くと口の中にあると勝手に思ってしまいがちだったため,大変興味深かった。
人間は特にものを食べることに対して「おいしい」を大切に,追求してきた生物だと思う。これは,他の動物には見られない素材を組み合わせて料理を作るだとか,○○ソムリエといったことからも読み取れる。「空腹は最大のスパイス」という言葉もしばしば耳にするが,おいしさの4分類の生理的欲求に基づくおいしさだけでなく,その他の要素も掛け合わせて,人間は意識的または無意識的にもおいしいを追求していることは幸福感の研究にもつなげられると感じた。
先日受けた他の心理学の授業では,「どのような時に幸福を感じるか」という問いに対して「おいしいものを食べたとき」という回答が一番割合の中で多かったと報告を受けた。このように人間の幸福感と味覚は密接な関係の可能性が示唆される。
食と幸福感の関係が強いのであれば,近年の若者で味覚障害が増加傾向にあることはあまり良い傾向とは言えないだろう。味覚という出発点から,現代の食文化,食生活,を見直すことは大いに意味のあることであると感じられた。
■参考文献
NIKKEI STYLE (2015) 「3歳までが勝負 子供の味覚の育て方」
https://style.nikkei.com/article/DGXMZO89377000W5A710C1000000/
2019年5月15日アクセス
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