今回の講義でミラクルフルーツやギムネマという言葉を初めて聞いた。1年生の時に学んだ生理学の味覚の分野を実際に体験することによって味覚についての理解が深まった。
味を感じる仕組みとして、唾液により水溶液となった食べ物が口の中の乳頭に取り込まれ、乳頭内の味蕾という細胞で味を判断している。人間の成人で約6000〜9000個の味蕾が存在する。そして、赤ちゃんは12000個もの味蕾が存在することを学んだ。赤ちゃんに味蕾が多い理由は、食べても良い物かの判断能力が低いため、多くの味蕾で判断している。大人になってくると判断能力がつき味覚に対しての経験が豊富になるため味蕾の数が減る。子供のころは苦い食べ物は苦手であったが、大人になると苦い食べ物もおいしいと感じるようになる、というような仕組みには味蕾の数が関係し子供と大人の好む味の違いが生まれる。このような話を聞き、私は面白いなと感じた。また、味蕾の数は動物によっても違いがある。その違いには、食べている物や住んでいる環境によって進化の過程で変わってきたことが分かった。
味蕾と味は、鍵と鍵穴のような関係にある。甘味、塩味、酸味、苦味、うま味という5つの味を人間は感じている。辛味というものは味覚ではなく体性感覚であるという話に驚いた。人間の味覚である5つの味にはそれぞれ専用の鍵穴があり、その鍵穴に味が埋まると電気信号として脳に伝わるという仕組みだ。今回実際に実験したギムネマは、甘味という鍵穴をコーティングする働きをもつ。そのため甘味が鍵穴に埋まることがなくなり甘味を感じなくなるというものだった。そしてミラクルフルーツの実験では、ミラクルフルーツを食べるとミラクリンが甘味の鍵穴につく。そこに酸味が加わると甘味の鍵穴を埋め、口の中は酸味であるが脳は甘味を感じているという仕組みである。このミラクルフルーツという実は島村先生もおっしゃっていたように今後の医学に役立つと考えられる。糖尿病患者や生活習慣病の患者が主な対象者である。このような患者は糖分を取りすぎると命にかかわってくる。しかし、ミラクルフルーツがあれば糖分を含んでいない食材でも酸味を利用し甘味を感じることができる。それによって血糖値の上昇を防ぐことができると考えられる。
人によってのおいしさは4つに分類される。その中で、情報に基づくおいしさというものがある。私は、先生の話を聞きその通りだと感じ面白かった。具体例としては、行列ができている店は味をまだ知らなくてもおいしいのではないかと判断する、というものだ。これは、人間の脳にある扁桃体の影響である。扁桃体によって私たちはおいしさを口だけではなく脳で判断しているという話は考えたこともなかったので面白く感じた。
今回、味覚体験を通して、味覚の仕組みを詳しく知ることができた。味というものは身近であり、あまり考えたことはなかったが、仕組みを理解したことで毎回の食事や食べるものに興味が湧いてきた。そして、味覚によって今後の医学の発展につながってくると期待されているため、味覚を理解することはとても大切なことだと学んだ。
■謝辞
島村光治先生、貴重な講義を聞かせていただきありがとうございました。実際に自分の味覚で実験したことによって理解しやすく、また、とても興味をもつことができました。今回聞くことができた講義の内容を生かして勉強に励んでいきたいです。ありがとうございました。
■参考文献
題:標準理学療法・作業療法 生理学第4版
執筆:岡田隆夫、長岡正範