今回の特別講義を受けて、普段の講義では学ばなかった味覚の知識や味覚に影響を与える味覚修飾植物について知ることができた。
味覚の仕組みに関しては、味蕾は舌だけでなく喉にも存在していることを知り、苦いものを食べた後に喉に違和感がある理由は喉に味蕾があるためだと分かった。また、人間の脳は他の動物より発達しているため味蕾の数も人間が1番多いと思っていたがウサギや牛のほうが多く、ナマズに関しては人間の約27倍もあると知って驚いた。人間の中では成人より赤ちゃんのほうが味蕾の数が多く、9〜12歳頃の味覚の形成が非常に重要であることが分かった。栄養の勉強をしていると子供への食育は大切だと言われるが、それは味覚の形成にも関係しているのだと思った。子供は苦味などを感じやすいため好き嫌いは多いが、寄食に走らないようにしなければならない。自分で野菜を育てたり調理をしたりすることで、嫌いな食べ物を食べようと思うメカニズムは納得できた。また、子供が苦味を嫌うことを利用して、乳幼児向けのおもちゃに苦味をつけることで誤飲を防ぐという考えはとても有効であると感じた。好き嫌いの変化では、私自身10代後半になりピーマンやコーヒーなどの苦味のある食べ物を食べられるようになったことから、脳が自然に苦味は毒ではないと認識するようになってきたのだと思った。
味覚修飾植物であるギムネマ、ミラクルフルーツについてはこれまで何も知らなかった。最初は半信半疑で試食をしたが、ギムネマを食べた後に甘味を感じなくなったことには驚いた。これまで、甘いものを食べた後に酸っぱいものを食べるとさらに酸っぱく感じるという経験はあったが、味を感じなくなることは初めてで、味覚のおもしろさを感じた。ミラクルフルーツの試食ではギムネマほどの違いは感じなかったが、酸味が甘味に変化していて、普通では酸味が強く食べにくいレモン果汁をかけたヨーグルトもおいしく食べることができた。このような味覚修飾の効果を病気の治療に利用することはとても良いと思う。栄養の勉強をする中で糖尿病の治療食を考える機会があったが、糖質制限が必要であるため、甘い調味料での味付けをする料理や砂糖を使ったお菓子は献立に取り入れることができなかった。しかし甘いものが好きな人にとってこのような献立ばかりではストレスが溜まってしまうため、ミラクルフルーツを食べることで糖質を制限したまま甘いものを食べたと感じられることは、糖尿病の治療に非常に役立つと感じた。
他にも、赤色の食欲増進作用は果物が熟した色であるからということ、味覚障害にならないために日本食を大切にする必要があることを知ることができた。味覚修飾植物を使用した糖尿病の治療食については、私も考えてみたいと思う。味覚について楽しく学べた講義だった。