島村先生の講義を聞いて、“食べる” “味わう”という私たちがいつも何気なくしていることにはしっかりとメカニズムがあり、また当たり前ではないということがわかりました。
味を感じるメカニズムを大まかにいうと、食べたものが唾液と混じり合い、水溶液になる。そして、その水溶液となった物質が口のなかにある乳頭に取り込まれ、味蕾から味を感じるスイッチが脳に入り、味が判断される。この、味を感じる仕組みについての話のなかで知らなかったことがいくつかあった。まず、一つ目は“味蕾があるのは舌だけではない”ということだ。味蕾は舌のほかに軟口蓋や喉にもある。炭酸飲料を飲んでスカッとするのは喉にある味蕾が二酸化炭素に反応するためだと聞いて、なるほどと思いました。
二つ目は“味覚地図は間違いだ”ということです。味覚地図とは苦味、酸味、甘味、塩味が舌のどこで感じられているのかを示した図のことで、私はこれをテレビで見たことがあり、信じていたため間違いだと聞いて驚きました。各々の味は舌の決まった部分で感じているのではないということを知りました。三つ目は“動物の味蕾について”だ。成人の味蕾の数は6,000~9,000個に対して、ウサギは17,000個、牛は24,000個、ナマズに至っては200,000個存在するという。動物は特定の物しか食べないため、そんなに味を感じる必要はないと感じていましたが、毒のあるものを食べないようにたくさんの味蕾があると知りました。また、トリやヘビのように獲物を丸呑みする動物には味蕾が少ない代わりに頭が小さくなっていることを知り、動物の体は合理的な構造になっているのだと感じました。また、ハエが手を擦る動作をするのは手に味蕾があるからだと聞いて、驚きました。ハエが手を擦る動作を見るたびに何をしているのだろうと感じていたため、なんだかすっきりしました。
「味覚障害」という病気があることを今回の講義で初めて知りました。味覚障害の原因は亜鉛の不足である。亜鉛は加工食品、ファストフードなどにはあまり含まれず、日本食に多く含まれている。つまり、味覚障害は誰にでも発症しうる病気である。そのため、日本食を積極的に摂ることが必要だと感じました。
今回の講義の目玉はミラクルフルーツとギムネマの食実験でした。ミラクルフルーツとギムネマは味覚修飾植物と呼ばれる。味覚修飾植物とは舌にイタズラをして一時的に味覚を変えることができる植物のことである。ミラクルフルーツは酸っぱいものを甘く感じさせることのできる実であり、ギムネマは甘味を感じなくさせる葉である。私はこれらのものを知っていましたが、本当に味覚が変わるのか半信半疑でした。しかし、ギムネマを食べてから砂糖を舐めてみると、まったく甘味はなく、口のなかに砂が入った感じでした。また、ミラクルフルーツのタブレットを食べてからグレープフルーツジュースや果汁100%のレモン汁入りのヨーグルトを食べると、本当に甘く感じました。
味覚を変えることのできる味覚修飾植物は医療現場での活用が期待されている。例えば、糖分の摂取が制限されている糖尿病患者に糖分がないが、甘く感じるお菓子を与えることでお菓子を食べたという満足感を感じられる。また、ギムネマは甘味を感じなくさせる作用があるため、食欲減退の効果があると言える。そのため、ダイエットの効果が期待できる。医療の場で使用するならば、太りすぎで命の危険がある人に使用してもらうなどの使い道があると考える。薬を使わずに健康に近づくことができるならば、これは患者にとってよいことである。そのため、これからの味覚修飾植物の応用に期待したい。