ミラクルフルーツ味覚修飾研究サイト(ミラクルフルーツ・味覚・ギムネマ・ミラクリン・食育・ミラクルフルーツ)

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■ 参加者の御感想


参加者の御感想

2016/06/02に実施した上越教育大学 大学院生の皆さんのレポートです。

講演風景1 講演風景2



Aさん 

 味覚教育の講義を受けてみて、様々な発見があった。特にこの講義を受けて良かったと思うことは、小学校の教師になったら子どもたちとやってみたいことや考えてみたいことがたくさんあったことだ。私の興味をもった内容について、具体的に書いていく。
 まず、味を感じる仕組みについてである。私は味覚地図があるとずっと思っていた。しかしそれは間違いで、舌全体に味蕾がありそこで味が判断されるということを知った。歯医者でアルバイトをしていた経験があるため、患者さんの舌を見る機会が多くあった。そのときに舌には、のどの近くに大きな丸いものが見えることがよくあった。見える人は少数だったため、ないひとが多いのだと思っていた。しかし、今日の講義で味蕾の絵をみたとき、あの大きな丸いものは有郭乳頭というものだったのだとわかった。私が見えていなかっただけで、みんなにあるのだと分かった。味覚地図よりさらに驚いたのは、味覚を感じる味蕾が舌以外の場所にもあるということである。軟口蓋やのどなどにもあるということを初めて知った。おいしいものを食べるには歯が大切だということをよく聞いた。歯がなくなれば、入れ歯になって食べづらくなるばかりでなく、入れ歯になることによって軟口蓋がふさがれ、味を感じにくくなるということが分かった。生きていくうえで、おいしいものを食べることに幸せを感じる人は多いだろう。おいしいものをおいしいと感じられないのはとても悲しいことである。子どもたちと歯の大切さについて勉強するときに参考にしたいと思うし、自分でも歯を大切にしていきたいと改めて感じた。
 また、人にとってのおいしさについての話が面白かった。味覚の基礎は9歳〜12歳で決まるということを知った。同じものばかり食べていたり、食事中に怒られてばかりだったりすると、味覚は発達しないことが分かった。大事な基礎というのは、健康でも運動でもなんでも子ども時代に決まるのだと思った。小学校に実習に行ったとき、あるクラスでは給食中にしゃべってばかりで時間内に食べ終わらず、残す子どもが多かったため、給食の時間は向かい合って座らず一列になって食べるという対策が取られた。また、話をしてはいけないという決まりもできた。その対策により、給食を時間内に食べ終わる子どもが増えたが、あまり楽しい時間ではないように感じた。好き嫌いのメカニズムは雰囲気や経験で決まるということも知った。子どもの好き嫌いをなくしたり味覚を発達させたりするのには、給食の時間を友達と楽しく話ながら食べる経験をさせることが大切なので、そういう経験をさせられるような雰囲気づくりを大切にしていきたいと感じた。
 今回の講義では、ギムネマの葉とミラクルフルーツという味覚修飾植物を体験した。人工甘味料や減塩などは体に悪いと聞くことがあるので、本来の味が変わるとか体になにかするものはあまり健康にはよくなさそうだというイメージが強かった。しかしギムネマの葉やミラクルフルーツは食べると体にいいということを知った。あれほどすっぱかったレモンが甘く感じて手品みたいで面白いだけではなく、糖尿病の人の役に立つことなどを知り、様々なことを期待できる研究であることが分かった。ギムネマの葉やミラクルフルーツのように健康にも良くて、おいしいものが食べれるようにする味覚修飾植物がこの先もっと見つかるといいと思う。特に日本人は塩分の高いものがすきであるから、塩分がないものに塩分を感じられるような味覚修飾植物ができれば、たくさんの人の役に立てるのではないだろうか。このようなことを子どもたちが身をもって体験することで、興味関心が広がり、それが他の生活や勉強にも波及していくかもしれない。子どもと一緒に学習できたら、子どもはどんなことを感じるのか知るのが楽しみである。



Bさん 

 「桃栗三年ミラクル七年」「赤ちゃんには,味蕾も未来も多い」島村先生の語りに終始惹き込まれた90分間だった。私は,ミラクルフルーツともギムネマとも今日が初めましてだった。それだけに,普段は甘いチョコレートが,ギムネマの葉を舌にこすりつけることで,甘みを感じなくなり,まるで苦みのある粘土を食べているかのように変化したことは,衝撃だった。また,ミラクルフルーツのタブレットを同様に舌にこすりつけることで,酸味を感じなくなるという違和感に,「自分が教える児童にも,この感覚を味わってもらいたい」という気持ちが湧き起こった。
 味蕾についての種々の説明は,私の好奇心を刺激した。何より,甘柿と渋柿の成分が同じであるという事実は,私に「そんな馬鹿な・・・」の感情を抱かせ,それ故に,味蕾による味の判別方法の説明への理解を促進させた。味蕾には,甘味・苦味など,それぞれの味に応じた専用の鍵穴があり,その鍵穴が埋まることで電気信号として,味が感じられる。甘柿と渋柿は,成分は同じだが,甘柿では,苦味成分がコーティングされているため,甘味しか感じず,渋柿では,甘味成分がコーティングされているため,苦味しか感じないといった味の違いが生じるというしくみに,味覚の奥深さを感じた。
 また,味蕾の数が生物種によって異なることや,その理由について知ることを通して,私は,これらの視点を学校現場での食育指導に活用できるのではないか,と考えた。味蕾の数は,生物の生活環境と密接な関係がある。濁った水中で生活するナマズは,目が悪い代わりに,非常に多くの味蕾を有し,えさや敵の信号を確実に掴むことができる。毒のある葉を瞬時に識別しなければならない草食動物も,同様に,多くの味蕾を有している。では,人間はどうであろうか。人間は,乳児と成人とで,味蕾の数が異なる。乳児の味蕾が12,000個存在するのに対し,成人では6,000個〜9,000個しか存在しない。これは,口に入れたものが危険なものかどうかをすぐに察知する必要があるため,乳児の味蕾は多いが,知識を獲得し,味覚以外の情報からも危険性を判断できるようになることで,成人では,味蕾が減少することを意味している。つまり,味蕾の数が多いが故に,子どもは苦いもの・酸っぱいものに敏感であり,苦いもの・酸っぱいものが苦手なのである。「昔は苦手だったんだけど・・・」といった好みの変化も,知識の獲得や,味蕾の数の減少と関係しているといえるだろう。私はここに,食育指導の可能性を感じた。講義の中で,「好き嫌いの3つのメカニズム」及び,「好き嫌いを直すための2つの条件」について学んだが,私は特に「経験と学習」に着目することで,子どもの「好き嫌い」を直す指導ができるのではないかと考えた。
 例えば,『○○さんに,ピーマンを食べてもらおうプロジェクト!』を企画し,学級の児童全員で,考える活動を取り入れる。同じ食べ物でも,扁桃体の働きによって,美味しくも不味くもなる。ピーマンの苦手な児童が,「自分のためにみんなが考えてくれているから食べてみようかな」と感じ,「みんなで考えたピーマン料理を,みんなで食べると美味しい」(雰囲気)という経験を繰り返し味わうことが重要であると考える。その児童の中に,「友だちと楽しく食べた料理」として意識づくことで(頭の中の考え方を変えること),「みんなで協力して,ピーマン嫌いを直したい」(本人が直そうと思うこと)といった感情が芽生えると考える。子どもの味覚が9歳〜12歳で形成されるだけに,小学校段階での食育指導は,非常に効果的であると考える。
 最後に,講義において,人間の味蕾は,舌に7割,上あご・のどに3割存在すると学んだ。そこで,「のどごしの美味しさ」として,ビールや炭酸飲料の例が挙げられていたが,「炭酸飲料の好き嫌い」や「炭酸飲料を一気飲みできるかできないか」も,味蕾に関係しているのか,疑問に思った。



Cさん 

 島村先生の講演を聞いて、分かったことは人間の味覚の不思議さです。人間には味蕾という味を感じるセンサーが備わっていて、その味蕾が舌上に成人でおよそ6000~9000個存在するということでした。とても多い数だと思いましたが、さらに赤ちゃんは12000個も味蕾が存在し、その理由として、赤ちゃんは味の経験はないためにそのように味蕾の数が多く、その数は大きくなると味蕾に頼らなくても経験で味が判断できるようになるため、味蕾の数が減ってくるということにとても驚きました。またそれは人間だけの数で、ウサギは17000個、牛は17000個、ナマズは200000個も存在し、生き物によって味蕾の数が変わってくることが分かりました。
 興味深かった点として、動物にとっての味覚の話で、動物は食べ物を食べる時に、自らが生きていくうえで役に立つものや必要なものだけを判断し、栄養のないものや必要のないものは食べないということでした。
 人にとっての味覚の話では、人間には甘味・塩味・酸味・苦味・うま味の5つの味覚が存在し、その中でも5つの味を全部取ったとすると、苦味が一番に伝わるということでした。また辛味という味は、「体感感覚」で味蕾ではなく神経を刺激して起こるため5つの味覚の中には入っていないということでした。ちなみに辛味を抑えるためには冷たいものか、たんぱく質、冷たい緑茶(カテキン)を取ると良いという豆知識も知ることが出来ました。その他に、渋みやえぐ味は、苦味としての中の感覚が合わさったものであり、生地学的には1つの味として存在しないということでした。5つの味覚の中にあるうま味は全て日本人が発見したという話を聞いて、上越出身の坂口謹一郎博士を思い出しました。彼もうま味を発見した科学者の一人で、このような世界的発見を日本人が成し遂げていることにとても関心を持ちました。
 そして、人間とサルにしか「別腹」という概念が無いという話もとても興味深かったです。
 味覚修飾植物を使った「味覚教育」はこれからさらに広まっていくと考えます。今回の講演の最初にギムネマを舌で慣らして甘いものを食べましたが、とても苦かったのはもちろんですが、同時に、人間の味覚というのはたった葉っぱ一枚でこうも簡単に変わるのかと思いましたし、その後、ギムネマの感覚が抜けた後に食べた食事は、より一層おいしく感じられました。私たちが普段おいしく食事を取れることの有難みを知りましたし、このように知ることが出来たのは、味覚について実体験を含めた教育を受けたことによるものです。だからこそ、味覚教育はこれから広まっていって欲しいですし、味覚について知ることはとても重要なことだと考えます。
 今回、島村先生の話を聞いて純粋に楽しかったです。特に味覚修飾植物であるギムネマ、味覚修飾物質であるミラクルフルーツを使った体験はとても驚きました。このようにただ知識を話すのではなく、実物を見せてそれを体感することの方が何倍も自分の知識として頭に刻み込まれますし、重要なことであると感じました。
 現在、教育界では「アクティブラーニング」といった児童・生徒に実体験などをもとに主体性や考える力を身につけようという動きが広まっていますが、それに繋がるような講演であったと思います。
 私は9月から小学校で教育実習が始まるのですが、島村先生のような生徒に実体験を味あわせる楽しい授業を展開していこうと思います。



Dさん 

 私は、島村先生の授業を聞いて味覚修飾植物には子どもの食に対する考え方を変える大きな可能性があると感じた。
 私は、この講義で初めて味覚がおかしくなるという経験をした。ギムネマを食べたことにより、本来甘く感じることができるチョコがとても苦い味がしてとても驚いた。味覚が正常に働かないと、本来の味がわからず食事を楽しめないと改めて感じることができた。実際、味を感じることができなくなってしまう味覚障害が若者の間で起こっている。味覚障害は、亜鉛が不足することにより起こり、原因は現代の偏った食事とされている。これを踏まえて私は、小学校や中学校のうちから食生活について真剣に見つめ直すことが必要だと感じた。私は、ギムネマを利用して「食」を見直していきたい。
 家庭科の時間を利用して、島村先生が行ったギムネマの体験を授業の導入に取り込んでいく。小学生は実際に自分の味覚がおかしくなるという経験をさせるから、味覚障害の話をする方が効果的に食について見つめ直すと考えられる。味覚障害の話をした後に、こどもたちに1週間に食べた食事やお菓子などを書いてもらい、自分の食生活を自ら振り返ってもらう。振り返ってもらったタイミングで味覚障害に陥りやすい食事を紹介し、自分の食事と見比べて、自分の食事は大丈夫なのか確認する。その活動の後は、どのようなものを食べると味覚障害にならなくて済むのかを、クイズ形式を用いてこどもたちに紹介する。そして、授業の最後にこれからどのような食事をしていくことが望ましいのかを書いてもらい、授業を終了する。そして、定期的に1週間の食事チェックを行い、正しい食生活を送れているのかを確認していく。
 また、保護者に対してもギムネマを利用して味覚障害になる体験をしてもらい、正しい食生活の大切さを伝えていく。いくらこどもたちに働きかけても、その子を保護する保護者に食生活の理解を求められなかったら、食生活が改善されていかないと考えられる。こどもたちだけではなく、保護者に対しても適切なアプローチが大切になる。
 私も島村先生の講義を受けて自分の食生活を見直さなければいけないと危機感を持った半面、偏食する子が多くなっている子どもたちの食生活も危ないのではないと感じた。多くの加工食品やファストフードを口にする機会が多くなり、野菜などを食べようとしない子がたくさんいる。しかし、偏食する子を見てみると多くの場合、親も偏食である。子どもたちだけが悪いという訳でもないみたいである。なので、私は子どもと保護者の両方にアプローチしていき、正しい食生活とは何なのかを理解してもらいたい。
 私は、島村先生の講義をこのようにして、活かしていきたい。この講義を聞いて終わりにするのではなく、私が教員になった時にどのように活かしていくのかを考えることが大切だと思った。また、食に対してももっと勉強していかなければならないといけないと感じた。



Eさん 

 味覚に関する授業は今までに小学校の家庭科や保健の授業等で概要は見聞きしたことはありますが、教師による一方的な講義形式で今一つ実感し難いところがありました。今回の島村先生による講義は、既存のものとは一線を画すもので、実際に味覚を活用した“生の授業”だったことが非常に新鮮でした。
 私は今まで舌での味の感じ方は、舌の場所(例・甘いものは舌の先、酸っぱいものは舌の左右の部分など)で異なるという、いわゆる「味覚地図」で習ってきていましたが、今講義で人が味を感じるのは、味を感じるセンサーの役目を果たす「味蕾」によるものであるということに衝撃を受けたとともに、舌全体に鍵穴のように展開し、その鍵穴に味の成分が鍵のように埋まることで脳に電気信号として送られ、それによって味を感じるという例えが大変的を得ていると感じ、図解での解説とも相俟って理解が容易でした。講義を聞いたとき、ふと子供の頃を思い出しました。幼少の頃は甘いものが好きでしたが、苦いものや、酸っぱいもの、辛いものが苦手でした。因みに「辛い」は味覚の一つだとこれまで思っていましたが、今講義で神経の刺激によって起こるもので味覚ではないと知り、改めて食育や味覚の研究の奥深さを痛感致しました。味を感じることは人間の生存本能といえ、幼少期の頃に味蕾の数が多いのも頷けます。恐らく食の好き嫌いが幼少期に極端に多くまた激しいのも、味蕾が深く関わっているのではと思いました。食の好き嫌いは出来るだけ是正するのが理想だと思いますが、逆に好き嫌いの激しい人は味蕾が普通の人より敏感だったり、嗅覚や視覚認識等がある意味研ぎ澄まされていたりするのかもしれません。成長とともに食に関する情報を聴覚で認識することでその食べ物に対する抵抗感がなくなり、食べられるようになるのは人間の優れた身体機能ですが、時間の経過とともに味蕾が徐々に減少していくのは心中複雑なところがあります。しかし、筋肉のように舌を鍛えて味蕾による味覚の感度を上げることが出来ると知り、人間の身体機能の可能性を垣間見た気が致します。よくビールのコマーシャル等で「のどごし」とは聞きますが、味蕾が人間のあごやのどにもあることも新たな気づきでした。
 今回、人間の味覚を一時的に変える(味覚修飾物質)ギムネマによって甘味を感じなくなる体験やミラクルフルーツによる酸っぱいものが甘く感じる体験は人生初の体験で、これまでにないくらい貴重で好奇心をくすぐられた体験でした。味覚を一時的に変化させることで食べ物を美味しく感じたり、医療に応用して糖尿病をはじめとする栄養摂取に慎重を要する病状の改善に役立ったりと、味覚を知ることで生活が豊かになるものだと感じ、また自分の食生活について見直す契機となる、様々な可能性を秘めているものだと思いました。
 食育は比較的新しく、まだまだ発展途上の部分が多々見受けられる分野だと思いますが、だからこそ進展性があるために魅力的でやりがいに満ちたものであるといえ、自分が将来教壇に立つ際には、自信を持って今回取り上げられた“味覚”について、受け持つ児童生徒に指導していきたいと思います。島村先生、この度は二つとない貴重で有意義な味覚体験を踏まえた濃密な講義をして頂き、誠にありがとうございました。

■参考文献・ウェブサイト
1 ミラクルフルーツ味覚修飾研究サイト 島村光治のホームページ
http://www.taste-m.com/
2 三上章允 脳の世界 味細胞の寿命は短い
http://web2.chubu-gu.ac.jp/web_labo/mikami/brain/29-2/index-29-2.html



Fさん 

 どうして人間は味を感じるのか、味覚とはいったい何なのか、という疑問は大人から子どもまで、皆が一度は考えたことのあるテーマなのではないか。しかし、とても身近なテーマであるはずなのに、学校教育ではあまり取り上げられていない気がする。食育が重要視される現在において、食べることの大切さを伝えるともに、人間の味覚(味やおいしさを感じること)とはどんなものなのかという点に関して子どもたちに伝えることは、彼らの食に対する興味がより広がるきっかけになるのではないかと感じた。
 本講義では、味覚や味蕾の仕組みに関して、他の動物とヒトを比較しながらその動物の生態にあった味覚を有しているといった観点からご説明頂き、非常に理解しやすかった。味覚は、ヒトを含め動物が生きていくために獲得した器官であり、必要不可欠なものである。しかしながら、今日の高度な経済発展を遂げた日本社会において、人間の味覚さえもコントロールしようとしている現実に、とても危険性を感じた。もちろん味覚修飾植物を活用した医療現場などでのQOL向上に向けた取り組みはぜひ推進されるべきであると思うが、その一方で、人間のおいしさに対する欲求に対して、消費者の健康を軽視した商品開発を行う企業があるのではないか。消費者の知識不足や判断力不足は反省すべきであるが、あまりにも巧妙に細工されたおいしさの裏側に、どれだけ気づき食べないという判断ができるのかは、今後の消費者の判断力、延いては子どもの食育の在り方が課題となると感じた。
 また、味覚の基本味において「うま味」という味覚が1985年まで国際的に認知されていなかったという事実はとても興味深かった。和食はもとより、中華においても洋食においてもうま味成分(グルタミン酸やイノシン酸)が含まれているのにも関わらず、日本人が特異的にその味を感じ取ることができるのは、素朴な味を好む日本人の食文化の特異性を示しているのだと思う。そして、グルタミン酸ナトリウム(味の素)を商品化した味の素の創設者である鈴木三郎助氏は、神奈川県川崎市に鈴木町(及び鈴木町駅)という名前を残したほどに、その当時の日本に対して味の素の商品化が与えたインパクトが大きかったのは周知の事実だ。子どもたちは、こういった商品化の裏側にある日本人の努力や科学技術や工業化技術を培ってきた歴史を知ることも、工業立国日本の歴史や科学(理科)の重要性を感じることができる良い学びになるのではないかと感じた。
 また一方で、グルタミン酸をどうして「うま味」と感じるかという点に生命の神秘を感じる。グルタミン酸は非必須アミノ酸であり、生合成することができる。つまり、ヒトが必ず取らなければならない物質ではない。では、なぜ「うま味」を感じるのか。福岡(2015)は、グルタミン酸がEと略記されることを、シャーロックホームズの踊る人形におけるアルファベットEになぞらえながら、次のように表現している。「奇しくも、ホームズの踊る人形Eと同じく、グルタミン酸はたいていのタンパク質の中に最も多く含まれるアミノ酸である。それゆえタンパク質あるところにグルタミン酸があり、グルタミン酸あるところにタンパク質がある。私たち生物の多くが、グルタミン酸を‘うま味’として感じる。それはグルタミン酸の味を、タンパク質のありかを探る手掛かりとして使ってきたからだと考えうる。」
 以上のように、「味覚」を通して様々な世界への広がりを感じることのできる授業であった。

■参考文献
福岡 伸一 (2015). 世界は分けてもわからない 講談社 p 9-11



Gさん 

 今回の講義において、ギムネマ、ミラクルフルーツの味覚実験を実際に体験することができた。また、島村先生の講義はとても楽しく、興味深く味覚について学ぶことができた。貴重な経験をさせていただいた。「味覚教育 〜 味覚おいしさの不思議 〜」の講義を受けての考えを以下の観点をもとに述べていく。
 今回の講義で感じたことは特に3つある。一つ目は、味を感じる仕組みである。講義を聴く前までは、「味覚地図」が正しいと思っていた。実際に体験すること、島村先生の解説を聴くことを通して間違いであるということが分かった。そして、味を感じる仕組みとして重要となる味蕾が存在し、それから電気信号として脳に伝えられるということであった。ここで二点驚いたことがある。一点目は、動物によって味蕾の数が異なるということである。そして、その異なる理由が、動物の成育環境が影響しそれに合わせて、進化したということである。その中でも、ナマズは200,000個も味蕾が存在するということは驚きであった。二点目が、人間の味蕾の数が成人と赤ん坊とで異なるということである。人間も発達に合わせて、知らないうちに変化していることを知り、驚きであった。また、味蕾のある場所が舌だけでないことから、ビールの喉越しの意味と歯を大事にしなかったことから必要となる入れ歯による上あごの味覚の欠如である。身近にあった現象のはずであるが、全く知らなかった。二つ目は、人にとっての味覚とは、経験と学習により成り立っているということである。そのことから、好き嫌いは克服できるという事実を知った。それは、好き嫌いのメカニズムから「本能を知識がうわまわる」ことがあるということである。このことから、「苦い味は大人の味」ということがあながち間違っていない言い回しだといえる。この観点を知っておくことは、教育者としての視点から非常に重要なことであると考えられる。「食育」にもつながることですが、子どもに対して味覚に関して、「楽しく給食を食べること」の重要性を伝えていきたいと思った。三つ目が、人にとってのおいしさは4つに分類されていることである。@生理的欲求に基づくおいしさ、A文化に合致したおいしさ、B情報に基づくおいしさ、C薬学的なおいしさのどれもが納得できるものである。特に、Aに該当する「おふくろの味」、Bに該当する「行列のできるお店―さくら―」が興味深かった。前者は、ずっと疑問に思っていたからだ。明らかにお店で出てくる方がおいしく、また愛する人に作ってもらった方がおいしいはずであるが、「おふくろの味」を好む男性がいる。実家に帰省すると無性に食べたくなることもある。それは小さいころから慣れ親しんだ味はおいしいと感じるからであった。しかし、愛する人に問われた時、「ぼくは○○が作った料理のほうが好きだよ。」ということにしたい。愛する人の料理が小さいころから慣れ親しんだ分より慣れ親しめば変化していくからである。後者は、「行列のできるお店」としてよくメディアで使われている言葉であるが、食べていないにもかかわらず、冒頭で言われてしまうと、「おいしい」という先入観が形成される。情報というものは味覚に直接訴えなくとも、五感に働きかけることにより変化していくことが考えられる。高度情報化社会となった今日、Bに基づく人にとってのおいしさが大きく影響してくると考えられる。表面的な情報に流されることなく、正しく理解することにより、Aのような豊かなおいしさが大切になるように子どもたちにも伝えたいと思った。
 味覚修飾植物は、味物質の構造を変えるのではなく、味受容体に働いて一時的に味覚機能を変える物質である味覚修飾物質を含有する植物の総称である。今後の展開として医療や教育に応用されていく。今日精一杯過ごす人たちの健やかな体を形成するための医療と長期的スパンで考えた際の、今後の世界を作っていく子どもたちへの、「生きる力」をはぐくんでいくための教育に大きくかかわる意義は大きいといえる。過去、現在、未来志向が味覚修飾植物にはあるということを感じる。そして、一人でも多くの人が味覚修飾植物の存在、そしてその意義を知ることは、今後のよりよい社会形成のためには不可欠であるといえる。
 日常で当たり前になっている味覚でしたが、今回の講義を聴き、その奥深さと今後の広がりに大変驚いた。より多くの人がより幸せに過ごすことが出来ると感じる。QOLとは、ひとりひとりの人生の内容の質や社会的にみた生活の質のことを指す。人間らしい生活や自分らしい生活を送り、人生に幸福を見出しているか、ということを尺度としてとらえる概念である。QOLの概念は、運動・栄養・休養により成り立っている。味覚はこの運動・特に栄養・休養に大きくかかわるものであり、QOLの向上に大きくかかわってくるのである。恥ずかしながら、いままで味覚修飾植物というものを知らなかった。今後教育者となっていくと考えると非常に貴重な学びを得ることが出来た。このまなびの機会に感謝したい。

■参考文献もしくはウェブサイト(URLも記載すること)
・配布資料
・ミラクルフルーツ味覚修飾研究サイト-島村光治のホームページ-
http://www.taste-m.com/miracle.htm



Hさん 

 今回の講義は新しいことの発見ばかりだった。これまで、「食」ということに対して、生きていくために必要なことであるという認識は持っていたが、深く考えようとはしていなかった。今回の講義は、味覚教育という話であったが、味覚だけでなく、「食」ということと真剣に向き合っていこうと考えるようになった。また、これから教師を目指す者として、子どもたちに伝えていく立場として、味覚教育の講義は、子どもたちの興味を引き出す授業作りのヒントにもなった。創意工夫を凝らし、家庭科の授業だけでなく、様々な場面で今回学んだことを活かしていきたい。
 今回の講義で驚いたことは、味覚地図が間違いであるということである。これまで、味覚地図を基本に、舌には味を感じる場所があると考えていた。しかし、口の中に存在する味蕾によって味の判別が行われていることが分かった。鍵と鍵穴の例で示していただいたときは、大変分かりやすく、授業への関心も高まった。驚きと同時に、噛み砕いてわかりやすく説明することが児童の積極性や興味関心への向上に繋がっていくのではないかと感じた。
 実際にギムネマとミラクルフルーツを食して感じたことは、体験をして知るといことは、ずっと残っていくということである。ギムネマ酸によって甘味を感じなくなるということに対して、半信半疑だった部分もあった。しかし、実際に食べてみると、本当に甘味を感じることはなかった。教室全体の反応も良く、その後の他の学生の集中力が講師のもとへと向けられるようになった。ギムネマやミラクルフルーツの効果について驚いたと同時に、更に知りたいと思うようになり、体験する重要性について感じることができた。
 授業後に、余ったギムネマを院生室に持ち帰り、友人たちに試してもらった。友人たちの反応はよく、ギムネマに興味を示していた。すると、友人たちから、「なぜ?」「どうして?」という疑問が生まれていた。現在の教育において、自ら疑問を持つことの重要性が謳われている。特に、アクティブラーニング等の形態が取り入れられており、活動を通して疑問を持ち、考え、解決していくというプロセスの初めにある、疑問を持つということを見ることができた。ギムネマは、家庭科の食に関する授業だけでなく、理科の生物の実験などでも活用できると考える。実際の体験が、子どもの興味の幅を広げ、新しい学びへと繋がっていくということを実感した。
 さらに、講義を通して、ギムネマやミラクルフルーツの今後の応用方法について、可能性を感じた。この可能性は、ギムネマやミラクルフルーツなどの研究がなぜ行われているかという疑問を持った時に、解決してくれる答えの1つである。すでに、2001年から、ミラクルフルーツやギムネマの糖尿病患者への適用が開始され、糖尿病患者が、糖分のないお菓子を食べても、甘さを感じることが出来るようになっている。これは、糖尿病患者の生活を明るくすることに繋がっていると感じる。このような学びが、私たちだけでなく、子どもたちに伝えていくことで、糖分のないお菓子を作るということに携わりたいという夢を広げていくきっかけに繋がる。私は、今回の講義を子どもたちに伝えて、知るということ、「食」に対する重要性を感じさせ、子どもたちの可能性を広げたいと強く思うようになった。



Iさん 

 動物は生きてゆくために必要な食べ物を本能的に察知するが、人間は獲得した情報や経験によって食べる物のおいしさが変わるという点は興味深かった。私の経験を振り返ってみても、幼い頃に食べられなかった苦い食べ物が成長するにつれて食べられるようになったり、苦手な味の食べ物でも栄養価が高いと分かれば食べられるようになったことがある。人間が思う「おいしい」とは決して味蕾が感知するだけのものではなく、五感が感じ取ったものが脳で処理される過程で形成される、繊細で複雑なものなのだと分かった。人間は単に体に必要とされている食べ物が食べたくなるのではなく、周囲の環境によって味の感じ方が変わる。一緒に食べる人、食べる場所、事前に持っている情報、五感が感知する情報などに食事の美味しさが左右される。だからこそ人間にとっての食事は単なる栄養摂取の作業ではなく、娯楽のような一面もあるのではないか。
 しかし、そうした「食事の楽しみ」がある一方で、人間の味覚の不確かさは様々な問題を引き起こす。美味しいからと言って健康に良くない食べ物を食べ続けてしまったり、バランスを考えずに食事をしてしまう。本当に体に良いものを選び、節度を持って摂取するためにはどうしたら良いのだろうか。それは子どもに対する学校や家庭での食育にかかっている。子どもの頃の味覚の形成が重要、とのことであるから、幼いうちから料理の手伝いや家庭菜園を育てるなどして食べ物への愛着を高めることが大切だ。また、好き嫌いをなるべく少なくする必要もある。ただし無理して食べさせてはならない。味の好みが経験に左右されるということは、嫌いな食べ物を食べることを無理意地される、という行為も余計にその食べ物を嫌いにさせる原因になるからだ。
 ミラクルフルーツやギムネマといった味覚修飾植物を活用することによって、肥満や糖尿病の治療に役立てられることはもちろん、実際に味覚が「騙された」経験をすることによって、確かな情報に基づいて食べるものを選択して行こうという動機づけにも繋がるのではないか。子どもに味覚修飾植物を食べさせ、その体験を「おもしろい」で終わらせるのではなく、「甘いけれども砂糖じゃない」化学調味料と関連付けて「人間にとっては、おいしいものが体に良いものとは限らない」ということを教えることも可能ではないか。
 ほとんどの人間にとって食事は身近で、無くてはならないものだ。美味しく、かつ体に良いものを食べることは心身の健康に直結する。栄養面のみならず、人間の味覚という生物学的な側面からアプローチすることにより、日々の食事への理解と関心が一層深まるのではないか。



Jさん 

 「1.味を感じるしくみ」では,人の味覚は,鍵(味)と鍵穴(穴)の関係であるとわかりやすく説明されていて理解しやすかった。また,以前より疑問に思っていた(実家に渋柿の木があった)甘柿はなぜ甘く,渋柿がなぜ渋いのかということが,先述の鍵と鍵穴の関係より,苦みがコーティングされているため,同じ苦み成分が含まれていても苦みを感じないという説明から長年の疑問が解消されてうれしく思った。くわえて,ビールののど越しが,気のせいなどではなく,舌以外の部分で二酸化炭素(炭酸)を感じていたということが,大のビール党ゆえに感動が大きかった
 他の動物の味蕾についてでは,特にハエやチョウの味蕾が手についていることに驚いた。この事実を小林一茶が知っていたとしたらどのような句を詠んだのだろうかと思った。
 「2.動物にとっての味覚」では,動物にとって味覚とは,生きていく上で役に立つものがおいしく,余計なものは食べないということが学べた。また,サルや人間の「別腹」は,脳が胃や腸に押し出す命令を出すことにより生じる現象であることがわかった。これまで,女性の言う「別腹」に疑念を感じていて,その都度つっこみをいれてしまっていたので,心から謝罪したい。
 「3.人にとっての味覚」では,基本味として,甘味,塩味,酸味,苦味,うま味があり,特にうま味はすべて日本人が発見しており,日本人の味に対するこだわりが感じられた。また,「辛味」は,神経を刺激する「体性感覚」であり,味ではないこと,「えぐみ」は,「収斂感覚」でこれもまた味ではないことがわかった。くわえて,基本味を同時摂取すると,苦味,酸味(生き延びる上で重要)が感じられることから,赤ちゃんの味蕾が多い理由を理解することができた。
 特に、「好き嫌いのメカニズム」「苦味が大人になると」の講話は,小学校に勤務していた時に児童の好き嫌いに直面して悩んだ経験があったためもっとも興味深く聞かせていただいた。経験上児童は,自分で一所懸命作った作物や苦労して作った料理は,もともと好き嫌いがあったとしても好き嫌いを言わずに食べられることが多かった。なぜこのようなことが起きるのか疑問に思っていたが,講話の中で「好き嫌い」は,@第一印象A雰囲気B経験で決まり,それを直すためには,@頭の中の考え方を変えることA本人が直そうと思うことであることが学べた。先の例でいくと,前者のA,B,後者の@が作用して児童が好き嫌いなく食べられていたと理解できた。自らの経験した古い時代のただ「食べなさい」の指導では,何も解決にならず,逆に好き嫌いを助長していたのではないかと思う。児童が給食時間を楽しく過ごすためにも,また,適切な味覚を形成するためにも,学校現場では,正しい味覚についての知識をきちんと理解した上で,児童に良い「経験と学習」を積ませる重要性を感じた。そして,味覚修飾植物である「ミラクルフルーツ」や「ギムネマ」は,味覚のしくみを知る上で,実体験として実感できる素材として最適であり,自分が体験させていただいたこのような講義を,教育に携わる多くの人に経験してもらいたいと感じた。本講義では,長年の疑問が多く解決し,また,これからの食指導に参考になる多くのことが学べました。本当にありがとうございました。



Kさん 

 今回の講義は、ギムネマの葉を用いた疑似体験から始まり、味を感じる仕組み、動物にとっての味覚、人にとっての味覚、味覚障害に関して、味覚修飾物質及び味覚修飾植物について、最後にミラクルフルーツを用いた疑似体験という順序で展開された。まず、味を判別する味蕾に関して、その数は人間やいくつかの動物によってそれぞれ生きていくうえで最適なように定まっているということ。また、同じ人間でも大人は6000-9000個、赤ちゃんは12000個と異なることを示され、味蕾の役割をよく理解することができた。さらに、近年の若者の味覚障害に関して興味を持つことができた。味覚障害の原因の一つは、加工食品やファストフードなどの過剰摂取であり、味細胞の生まれ変わりには亜鉛を多く含む海草、魚、日本茶などを食べることが必要だということを学んだ。それを知って、なおかつ日本食には亜鉛が含まれているものが多いということから若者の日本食離れを改めて実感し、日本食の良さを再確認しなければならないと考えた。
 ジャック・ピュイゼは、新生児から思春期における味覚の発達を以下のように示している。
 新生児:脳に「良い味」「良くない味」などのインプットはされていないが、「快いもの」とそうでないものものの識別はできる。
 6か月から2歳:生後7か月になると、味の違いや、好きな味を表すようになる。2歳を過ぎると家族や医者が進めた食べ物を「嫌だ」と表現する。
 4,5歳:偏食がピークに達する。
 10歳頃:新しい「拒否」の段階に入るとともに、過食症の時期でもある。
 このように変化の多い若いころの味覚は、修正可能のようである。講義内でも、子どものころの味覚の形成が非常に重要で、この際にきちんとした味覚が形成されないと、奇食に走る可能性もあるという内容もあった。だからこそなおさら学校現場での味覚教育は必要不可欠だと考える。その方法として、まさに今回の講義のような実際に体験する活動が最も有効的だと考える。過去の初等家庭科指導法の授業の中で、先生が学校での家庭科の授業で最も記憶に残っている活動を質問した時、調理実習を挙げる学生が多かったように思われる。このことからもわかるように、直接的に体験したことは記憶に残りやすい。しかし、自らが経験してきた味覚教育は、教師からの一方的な授業が多かった気がする。それでは、子どもが主体的に学ぶことは困難だろう。子どもが問題意識を持たずに活動しては、それは子どもの中に何も残らずただ活動しただけになってしまう。その状態に陥らないためには、やはり教師の綿密な教材研究が大切だろう。しかし、味覚修飾植物を活用した直接体験的な授業を実践するためには、専門的知識が必要だろう。小学校では複数教科を担当しなければならないため、家庭科を専門としない教師が授業を担当する可能性が高い。このような状況は味覚教育発展の足かせになるだろう。だからこそ、まずは教師が食や科学に興味を持ち、子どもに積極的に発信することが大切だと考える。

■参考文献
島村光治『日本福祉大学健康科学論集第15巻』2012 pp,17-25
ジャック・ピュイゼ著 三國清三監修『子どもの味覚を育てる』2004 紀伊國屋書店
田頭歩佳他『愛媛大学教育学部紀要第62巻』2015 pp,10



Lさん 

 島村先生の講義を聞くまで、味覚(苦味、甘味、酸味、塩味)は舌の中でもその味覚を感じる場所があり、そこに食べ物が触れることで感じているとずっと思っていた。なので、講義を聞くまでは、今私はこの甘いものを食べたから、この部分で甘味を感じているのだと勝手に思っていた。しかし、舌のある部分ではこの味覚を感じることができるというのは、今では違うということ、そうではなく舌にある味蕾という部分でいろいろな味の判別をしていることを知って勉強になった。そして、この味蕾は動物によって数が違い、赤ちゃんは一番多くの味蕾を持っているということ。味蕾の数も、ただ多い少ないではなくそれぞれの動物なりの理由があり個数が決まっていることを知り、なんでもテキトウではなくきちんと理由があるのだとわかった。
 この講義で1番興味を持ったのは、好き嫌いのメカニズムと人にとってのおいしさとはの2項目である。先生の講義を聞いて、自分が大きくなるにつれ食べられる物が多くなったため、好き嫌いのメカニズムでいうと経験と学習によって私は食べられるようになったのだと理解できた。人にとってのおいしさとはの項目では、薬理学的なおいしさの例で挙げられているファストフードや香辛料の話を聞いた時に思い出したことがあった。清涼飲料水の作り方という動画があり、よくお店で見かける清涼飲料水を色々なものを調合して作っていた。味の違いというよりは色の違いであり、よく聞くレタス何個分、レモン何個分というのも、それらの薬を入れただけで、そう記されていること。その動画を見たときに、これからの自分の食生活、また教員として子どもたちの前に立った時に子どもたちへ食の大切さ、選択など自分はどう指導したらよいだろうかと考えるきっかけとなった。現在は、調べたいことがあればすぐに検索すると様々な情報がたくさん出てくる世の中、私たちにはたくさんの物の中から選択できるが、何をどういった理由で選択するのかよく考えることが必要ではないかと考える。
 味覚修飾植物の存在を初めて知った。この植物が今の日本では、糖尿病患者のために活用されていること。味覚修飾植物を食べている糖尿病患者がどのように数値や体に変化があったのか気になるところである。私のように、味覚修飾植物という言葉をまだ知らない人がいると思うので、もっと多くの人にこの植物の名前を知ってもらいたい。
 講義全体を通して、今私たちはたくさんの情報が飛び交っていて、自由に選択できる所にいる。私たちが何をどう食べるのかは自由であるが、一人でも多くの人に(自分を含め)もう一度自分の食生活を見直してほしいと思った。生きる上で欠かすことのできない「食」をもっと大切に考えることが必要であり、見直す良いきっかけとなった。
 島村先生、お忙しい中ありがとうございました。今回の講義を忘れずに、自分が教員として子どもの前に立ったときに今回聞いた「食」のことを自分なりに生徒に伝えられるよう、これからも勉強していきます。



Mさん 

 島村先生の講義を受けて、初めて知る内容が多く、へえ!の連続で、とても興味が沸くものばかりでした。私が印象に残った内容として5つあります。
 1つ目は、講義の冒頭で行ったギムネマの実験で、ギムネマを食べると甘いものが甘いと感じられなくなり、味蕾の味を判断する機能のすごさを実感しました。味蕾は舌にしかないと思っていましたが、舌全体に7割、残りの3割は顎と喉に存在し、喉の味蕾は二酸化炭素を感じやすいことが分かりました。確かに、炭酸飲料をごくごく飲むと爽快感があり、それは喉に存在する味蕾のおかげだなと思いました。
 2つ目は、赤ちゃんの味蕾が大人の倍近くあることが驚きでした。味蕾の数が多いのは、自分の身を守るためであり、酸っぱいものや苦いものが幼い頃に苦手であるのはそのためなのだなと、自分の幼い頃を思い出すと納得でした。また、生き物によって味蕾の数や役割が違うことにも驚きでした。例えば、草食動物は毒の入った草を識別できるように味蕾が発達しているが、肉食動物は本能的に狙った獲物しか食べないため、そのような味蕾が考慮されていないこと、なまずの味蕾は濁った川で身を守ることできるのは、水の流れから敵のにおいを察知できるためであること、蝶が手に味蕾があるのは、毒のある葉に卵を産まないようにするためであること等で、どの生き物も生きていくために味蕾が発達しているのだなと思いました。
 3つ目は、人間とサルには別腹があるが、野生の動物は満腹であると獲物がいようと食べないらしく、それは食べ過ぎると逃げるのが遅くなることが理由で、生きていくために考えられているなと感心しました。
 4つ目は、人にとってのおいしさについてです。食事は楽しい雰囲気でコミュニケーションを取りながら食べることが大切で、確かに暗い雰囲気で食べていたら、どんなに美味しい食事でも美味しくなく感じるなと経験から思いました。また、生まれて初めて食べた味が第1印象となるため、そこで苦手になってしまうと、なかなか食べることができるようになるには厳しいです。そのため、嫌いな食べ物を克服するには、調理方法を変えたり、とれたての新鮮なものを食べたり、自分で苦労して作ったり、栄養学を勉強したり、そのようなことを積み重ねることで食べることができるようになるそうです。確かに一人暮らしをするようになってから、食べることができるようになったもの、栄養があるから食べようと思うものが増えた気がします。
 5つ目は、味覚修飾植物についてです。講義の中ではギムネマとミラクルフルーツの実験を自身で体験できて、このような植物が存在すること、医療現場で取り入れられていることに、とても興味が湧きました。肥満が増えている今日、これからこのような研究や活用が期待されるのだと思いました。肥満にならないように食育をすることが大切ですが、肥満になってからでも、このような植物を用いて改善していけるようになるので、もっと身近な存在になっていけばいいなと思いました。味覚修飾植物を普段の生活にも活用していくことで、低カロリーの食事でありながらも満足感を得ることができたり、糖分はないが甘く感じられるお菓子を食べて満足したり、肥満ではない人々も健康的になれるのではないかと思います。講義を受けて、味覚修飾植物がもっと一般的になればいいなと強く思いました。
 島村先生の講義で、食についてもっと知りたい、普段の生活でも取り入れてみようと思いました。味覚修飾植物が今後さらに発展して認知度がますます高くなって一般的になっていくことを楽しみにしております。お忙しい中、とても楽しくてためになる充実した講義をありがとうございました。

■参考文献
島村光治のホームページ、ミラクルフルーツ味覚修飾研究サイト
http://www.taste-m.com/index.html



Nさん 

 島村先生の講義を受講して、興味をもったことが5つある。1つは、味蕾についてである。味蕾の数は、人の場合、成人は約6,000〜9,000個、赤ちゃんは12,000個もある。また、ナマズには、200,000個もの味蕾があり、ひげや皮膚等、体中に存在する。なぜそんなに多く存在しているかというと、ナマズは目が見えないため、味蕾によって身を危険から守るためである。さらに、生物の中で一番興味を持ったのがハエである。ハエの手には味蕾がある。ハエがよく手をこすり合わせているのは、人間でいう歯磨きのような意味がある。ハエが手をこすり合わせる動作にそのような意味があったとは知らなかったので、非常に面白かった。一方、蛇は2個、鳥は20個の味蕾しかない。2つの生き物に共通して言えるのは、触覚があるため、味蕾が少なくても自分の身を守ることができるという点である。このように、生物の身体的特徴や、捕食スタイルによって味蕾の数は異なる。
 人間には、味蕾が舌と上顎と喉にある。今まで舌の部位によって味覚を感じる場所が異なっていると習ってきた。しかし、舌全体で7割、残りの3割は上顎と喉にある味蕾で味を感じているということがわかった。薬を飲むときに舌の奥の方になるべくつけないようにして飲んでいたが、意味がなかったということを知り、驚いた。また、入れ歯を付けると味蕾を塞ぐため、味が感じにくくなる。歯を大切にし、いつまでも自分の歯で美味しく食べられるよう、今からきちんと手入れをしようと思った。
 2つ目は、肉食獣は獲物を食べる順番が決まっているという点である。例えば、ライオンは草を食べないのでなく、消化できないため、草を主食としている草食獣(からだの中は野菜ジュースのようになっている)を食べ、肝臓、すい臓、最後に筋肉を食べるという点に驚いた。
 3つ目は、辛味は味覚ではなく、体性感覚である点である。辛味は、神経を刺激して、やけどのような状態になっているということに驚いた。43度以上で辛さを感じるため、熱ければ熱いほど辛味を感じる。また、私は辛いものが苦手であるが、冷たいもの(アイス、緑茶など)やたんぱく質と一緒に食べると辛さが軽減されるため、これから活用していこうと思った。
 4つ目は、人にとっての味覚は、経験と学習であるという点である。脳にすぐ伝わる味覚は苦味である。その理由は、人にとって苦味は「毒のシグナル」とされており、身の危険を察知するためである。特に驚いたのは、リカちゃん人形の靴に苦味成分が塗ってある点である。子どもが誤って口に入れるのを防ぐためという製作会社の工夫がある。また、苦味のある食べ物が大人になるにつれ、食べられるようになるのは、苦味すべてが毒でないことを経験と学習により知り、苦味がおいしく感じられるためである。ピーマンやコーヒー、ビールなどがその例である。
 5つ目は、「おいしさ」は情報に基づくという点である。例えば、行列のできているお店や、料理の見た目という情報により、味覚が左右される。レストランのポスターに赤系統が多かったり、ステーキを頼んだときに熱い鉄板の上に乗って出てきたりするのも、よりおいしそうに見せるためのお店側の工夫である。一方、「レモン○個分のビタミン」や「レタス○個分の食物繊維」、「タウリン1000r配合」などといった表記にもそれと同様の効果がある。実際、ビタミンはレモンよりもアセロラ、みかん、食物繊維はレタスよりもキャベツの方が多い。栄養ドリンクのCMでは、タウリン1000rと宣伝しているが実際は1gしかないのである。このように情報に振り回されないためにも、消費者として正しい知識を持ち得るよう努めたい。
 本時の講義で、味覚について多くの知識を得ることができた。自分が教師になったときに、児童生徒に伝えたくなるような内容が多くあった。特に、コミュニケーションをとりながら楽しく食事をすることの大切さや、嫌いな食べ物の克服する方法を児童生徒に伝え、より楽しく健康に食事ができるよう生かしていきたい。



Oさん 

 今回一番驚いたことは、図3の味覚地図が間違いであることです。私も以前、授業においてこの味覚地図で学習をしました。だから、この当てはまる部分を塞ぐと味がわからなくなると、先生が言っていたことを今でも覚えています。しかし生徒ながらに怪しんでいました。苦い植物を食べたときに、下全体で苦みを感じているのに、なんでだろうと不思議でした。それが有郭乳頭の「味蕾」という部分が鍵のような役割を持って、下だけでなく上あご・喉頭蓋・軟口蓋など多くの部分に存在することを知り、納得しました。塩分が多い物を食べると、上あごのあたりがザラザラするのはこのためなんだと思いました。
 私は今回の講義を聞いて是非授業で実践したいと考えました。小学校6年の理科の「人の身体の作りと働き」の単元で味覚について考えさせる授業を行いたいです。味覚が人にとってどれだけ重要なのかを「ギムネマ」使用して甘いもので感じさせて、食べ合わせの実験に繋げられたらと考えています。
 「ギムネマ」を使用して、味覚障害の疑似体験から、味覚の不思議さに気づき各自で日頃の食生活の問題を発見させます。そこからどんな栄養素が大事なのか、自分が日頃行っている食生活では、栄養が足りているのか。給食がどんな意図でつくられているのか。様々な角度で児童に問題発見を促したいです。そこから、夏休みの自由研究などで、食べ合わせによってどう味覚が変化するかなどを宿題として出し、人間の身体について興味・関心を抱くような学習を実践したいと考えました。そこから、講義で聞いた「ハエは手のひらに味蕾がある」「蝶も毒が入っている薬草を見極めるために手に味蕾がある」など、味覚一つで様々な授業が実践できると考えさせられました。機会があったら、是非実践したいです。
 私自身、一人暮らしが長く食生活が悪い生活をしています。インスタントラーメン・ファーストフードなどを良く食べる生活です。身体に悪いとは知っていましたが、つい面倒くさくて食べてしまいます。今回の講義で美味しさの秘密は「油」であり、加工食品に頼りすぎると「亜鉛」が不足し、味覚障害に陥ることを学びました。「薬学的なおいしさ」が現代の若者が好まれる味が、普及し続ける現代では、日本食の重要性が改めて感じられた。
 今回の講義は内容もとても勉強になりましたが、先生の話術にも感動しました。話の起承転結だけでなく、タイミングや興味関心をひく話題の豊富さなど、ただただ感心しました。これから教員採用試験で面接や集団討論がある中で、話し方・説明の仕方など、参考にして頑張らせていただきます。
 本当に今回はありがとうございました。