私は今回の島村先生の講義を受けるまで、ミラクルフルーツやギムネマといった味覚修飾植物の存在を知りませんでした。そのため、実際に味が変化する体験をし、非常に驚き、興味を持ちました。なかでも特に興味をもった二つのことについて書いていこうと思います。
一つ目は、昆虫にも味蕾があるということです。私は今までハエが手をこすっていることにも、蝶が必ず幼虫が食べられる葉に卵を産んでいることにも特に疑問を抱くことがありませんでした。講義の中で、ハエが食べ物にとまった時手をこするのは、手にある味蕾でその食べ物の味を感じるための準備だと聞き、とても驚きました。ハエは腐った食べ物にしか興味がないのだと思っていましたが、そうして味蕾を使い安全な食べ物なのかを判断していたのかと思うと、とても意外でした。味覚があるのは、食事を楽しむだけではなく、生きていくうえで必要な栄養や回避すべきものを発見するために存在しているということが改めて理解できる話題でした。,br>
二つ目は、人間の味蕾は赤ちゃんが最も多く、そして一週間ほどでどんどん新しい細胞に生まれ変わっているということ、そしてだんだんと減っていき約六千〜九千で安定するということです。幼い子供が苦いものや酸っぱいものが苦手なのは敏感なだけではなく、何でも口にいれて確認するから敢えて敏感に感じ取れるようになっているということには深く納得しました。今まで苦みはただ幼い子供には刺激が強すぎるために苦手としている子供が多いのだと思っていました。ですが、そうではなく苦味は毒物のシグナルであるため経験も知識も乏しい子供には味覚でそれを判断するしか方法がないのだと聞き、人間の自己防衛機能の高さや動物としての本能を垣間見ることが出来たように思います。以前、大人になってそれまで嫌いだったものが好きになるのは味覚が衰えたからだと友人に言われたことがありました。しかしそれは誤解で、苦味をもつ全てのものが毒性を有しているわけではないということを経験と学習により知り、苦味以外の香りやコクを楽しむ余裕が生まれるからだということも学ぶことが出来ました。私自身、ここ数年で苦手だった食べ物を少しずつ克服しつつあるのですが、それは舌および味蕾の衰えではなく大人になったということと分かり、少々安心しました。
講義では味覚修飾植物の有効な活用法についても話していただきました。ミラクリンやクルクリンを活用して糖分を控えなければならない糖尿病患者のための甘味材としてのニーズがあるとのことでした。自然由来のものなので安全性も高く、今後よりニーズは高まっていくと予想されるので、より研究が進み、そして認知度が上がっていくことに期待したいです。
また、誤飲の可能性のある小さい玩具には甘味阻害成分を用いてコーティングを施すというのもとてもよい活用法であると考えます。近年ボタン電池の誤飲などが問題視されているので、そういった物にも活用していけるといいのかなと思いました。
今回の講義を通して味覚を持つことの生物としての重要性、味を感じることによって食事を楽しめるありがたみを身をもって学ぶことが出来ました。幼児にたいしてなぜ生物は味覚を持つのか説明することは難しいかもしれませんが、食事を楽しむことをきちんと伝えたあとに少しずつ味覚の大切さについても伝えていけるといいのかなと考えます。多くの気づきと驚きに満ちた講義でした。連休中にも関わらず、私たちのために講義をしていただきありがとうございました。
■参考文献
・脳の世界 中部学院大学 三上章允
http://web2.chubu-gu.ac.jp/web_labo/mikami/brain/index.html
・胞の寿命は短い
http://web2.chubu-gu.ac.jp/web_labo/mikami/brain/29-2/index-29-2.html