「味覚の仕組み」についての講義を受けて、味を感じることは家庭科の枠を超え、食育や医療など様々な分野での活用が可能であるということを知ることができた。まず、今回の講義で印象的であったのが味蕾の数が赤ちゃんから大人へと成長するにつれて減っていくということである。通常、成長とともに様々な器官が発達していくので味覚も同様に成長とともにより複雑な味を理解できるようになると思っていた。しかし、実際はその逆で、人間の味蕾の数は赤ちゃんの時から成人するにつれ12,000個から6,000〜9,000個へと減少していくとのことだった。確かに赤ちゃんの時の方が味に敏感で食べ物の好き嫌いをしやすいというのも納得がいく。教育現場でもこのことを理解しておけば子どもの好き嫌いを減らすことができるはずである。
まず、食べ物を嫌いになってしまう原因の大部分はそのものを食べた時の第一印象にあると思う。見た目が良くないものは食べたいという感情すら湧かないだろうし、おいしくなさそうだと思って食べたものをおいしいと感じるのは難しいことだと思う。子どもが安心して楽しく食べ物を食べるためにも教師自身が給食という時間を大切にし、給食の時間は楽しいものでおいしそうに給食を食べる必要があると私は思う。子どもは教師のことをよく観察しているので教師の楽しい雰囲気は子どもたちをも明るく楽しい気持ちにさせることだろう。また、すでに好き嫌いがある子に対しては、無理に食べさせるのもよくないのかもしれないと思った。本人に食べたいという感情がない状態で半ば嫌々食べたところでおいしく感じるはずはない。むしろ、無理やり食べさせられたという経験がさらにその食べ物への嫌悪感を増幅しかねないと思う。教師はしっかりと子どもの好き嫌いを把握し、すべての食べ物をおいしそうに食べている様子を子どもに見せることで、子どもの自発的な食べてみようという気持ちを引き出せるような工夫をする必要があると思う。これらの支援は教師の好き嫌いがないということが前提となっているので、好き嫌いがある教師は自分自身も克服する必要があるだろう。私自身好き嫌いはないので、9月の本実習では早速実践していこうと思う。
またミラクルフルーツやギムネマなどの味覚修飾植物の味覚体験を通して、味覚障害の辛さについて少しだけ理解できた気がする。今回は甘味を感じなくなるだけであったが、それだけでも今までおいしいと思ってきたお菓子がまずく感じてしまった。味覚障害にも様々な症状があると思うが、味が変わって感じてしまうのは非常に苦しいものだと思った。食は生きていくうえで必要不可欠なものであり、だからこそ、人はよりおいしいものやもっと食べたくなるものを追及するのだと思う。食べることが楽しみでないと食欲も湧かないだろうしストレスも大きいと思う。また、最近では若年層での亜鉛摂取不足による味覚障害も増えてきているとのことだったので、学校現場でもこのことは子どもたちに食育の一環として伝えていかなければならないと思った。そのためには、まず子どもに味覚障害の恐ろしさを体験させることが一番だと思うので、今回のような味覚修飾植物を用いてその辛さや不便さを実感させ、味覚障害にならないためにはどうすればよいのか、子どもたちと一緒に考えていきたいと思う。
最後に、このような貴重なお話を聞くことができ本当に良かったと思う。お忙しい中お越しいただいた島村先生に感謝するとともに、今後の味覚研究へ更なる進展を期待したいと思う。