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■ 参加者の御感想


参加者の御感想

2013/06/28に実施した中京大学 心理学部1年の皆さんのレポートです。

講演風景1 講演風景2



Aさん 

 私たちは普段、全くというほどではないが、味を感じるということについて特に考えない。何となくお腹が減ったから食べる。何となくご飯の時間だから食べる。というように、食べることは必要だが、生活に溶け込みすぎて意識できないのだ。食べるということでさえそうなのだから、“味を感じる”ことなんて言わずもがなである。せいぜい「このごはんおいしい」とか「これはまずいから食べないようにしよう」などと思うくらいである。では、私たちはどうして何も考えずに味を感じることができるのだろうか。
 私自身、味を感じることに疑問を感じたことは全くなかった。感じるものは感じるのだし、気が付かないうちは疑問でもなんでもなかった。しかし講義の初め「味を感じるには、食べ物が唾液と混じり水溶液になることが必要」という言葉で突然疑問が生まれた。言われてみれば、舌以外の部分でものに触っても全く何の味も感じないということを意識した。その疑問は、講義を聞けばすぐに解決された。味蕾というものの存在を知らなかったにしても、味覚は口の中以外では働かないということを考えたことがなかっただけなのだ。意識すれば疑問は次々に湧き上がってきた。甘い味と苦い味の区別はどうしているのか。どうして赤ちゃんには味蕾が多いのか。それよりもナマズは?ヒトは雑食だけど、草食動物や肉食動物は味が味の好みが激しいから草だったり、肉だったり以外を食べないのか。講義初めに食べたギムネマで砂糖が砂みたいになったのはどうしてか。次々と疑問への答えが提示されていき、とても気持ちがよかった。私が全く考えもつかなかった疑問も、言われてみれば不思議だということに気づけた。たとえば、私には偏食のひどい友人が多くいるが、彼女たちは幼少期に何かその食べ物でいやな思いをしたのだと知ることができた。それは一概に言えることではないのかもしれないけれど、少なくとも何人かは今までの食生活の中で何か問題があって、それがトラウマとなってその食べ物を受け付けなくなったということなのだろう。今まで何となく偏食は生まれつきのものかと思っていたが、幼少時代は今後の食生活にとってとても大事なものだったのだなと感じた。
 私は文系の人間で、人の体の中で起こっていることを科学的に考えることがうまくできない。したがって味を感じるということが電気によって脳に伝えられた信号なのだというのは頭では理解しても、実感が持てるものではなかった。電気信号というとどうにも冷たい感じがして、食事に温かいイメージを持っているとうまく結び付けられなかった。そういう人は私だけではないと思う。ギムネマを食べてから砂糖を食べたとき、砂のように感じて、味覚障害の人は常にこんな食事をしているのかと思い、絶対に味覚障害にはなりたくないなと感じた。普段、朝食と夕食は加工食品はほとんど食べないので大丈夫だと勝手に思っているが、気を付けるに越したことはないので、家族にもこの話をした。ギムネマを食べてもらって、体験もしてもらった。それと関係があるかはわからないが、その日の夕食はほとんど素材の味を生かしたものだった。とてもおいしく食べた。味を感じることは、食事を栄養を摂るだけではない楽しみなものにしてくれていると感じた。もともとあまり好き嫌いがない私も味を感じることができるということがいかに大切か学んだので、偏食の多い友人には特に知ってほしい。知るために、ギムネマなどの味覚修飾植物は最適だと思う。やはり、頭では偏食はよくないとわかっていたり、味覚障害が大変なものだとわかっていても、実感を持つことは難しい。それを疑似体験できるのはとても説得力のあることだと思った。母に、ミラクルフルーツで甘さを感じながら糖分を摂らないというのは糖尿病などの患者にとっていい治療だよねという話をしたら、じゃあ、ギムネマは何に使うの?と言われて困った。しかし、今考えてみるとすでに病気にかかっている患者よりも、今のところ健康な人のほうが多いのだから、それを知ってもらって防ぐ役に立つギムネマはもっと使い出があるのではないかと思った。それには、もっと多くの人に知ってもらう機会を設けることが大切だと感じた。



Bさん 

 今回の講義を通し、まず思ったことが味覚障害の怖さだった。話としては聞いたことのあった味覚障害だが、いまいちどのような状況になるのかわからないしよく知らなかった。今回ギムネマの実験を通して疑似体験し、何を食べてもおいしくないという状況のつらさ、味が正しく感じられないということ怖さを知った。と同時に味を正しく感じて食事をできることは素晴らしいことだと感じた。味覚障害になったとしたら食べることに意味を見いだせなくなってしまうと思う。私たちは普段あまり意識せずにご飯を食べ、味を感じているけれど、それは幸せなことであるということに気づくことができてよかったと思う。私は味覚についてしっかりと学ぶことが味覚障害になってしまう人を減らすことにもつながるのではないかと思う。何気なくしていることの大切さに気が付くということはとても大切なことだと思う。多くの人に、ちゃんと味覚があり味が感じられるということの大切さに味覚障害になる前に気が付いてほしい。
 今後は医療現場でのミラクルフルーツの活用の仕方がさらに広まり、より有効に使われるといいと思う。見た目を楽しむ低カロリースイーツは病気のために甘いものが食べられない方にとってはある意味救いの手ではないだろうか。やはり甘いものが食べられないということは精神的につらいものであると思う。そのようなストレスを少しでも軽減させてあげられる一番いい方法なのではないだろうか。この、見た目を楽しむ低カロリースイーツのなかに和菓子が加わる日が早く来るといいなと思う。
 人にとってのおいしさについて知ると、店の形式や色、仕組みなどの謎が解けると同時に自分たちは店にうまく操られているなと感じた。また情報に弱い人間というのにドキッとした。確かに情報に弱いのは事実であると思う。おそらくソースのない曖昧な悪い噂に、自分の好きな芸能人に関することならなおさらだが、振り回されることも情報に弱いことからくるのだろう。原発事故に関して、風評被害ということがよく言われる。震災後、傷を抱えたままながらも一生懸命に復興しよう、させようとしているなかで風評被害が広まってしまうと復興もできなくなってしまうのではないか。今の世界はネット社会なので発信される情報は増える一方だ。誰もが発信者になれるので発信源のわからない曖昧な噂のような情報も増える一方だろう。しっかりと情報を見極めなければならないと思う。また、人は矛盾だらけで弱いものだな、と改めて感じた。
 今回、この講義を受けることができて本当に良かったと思う。味蕾というもので味を感じていること、その味蕾が舌だけでなく喉の辺りにもあること、大人になることで嫌いだったものが食べられるようになる理由、また好き嫌いの作られ方そして人にとってのおいしいとはどういうことであるのか、などなど想像以上に知らないことが多かった。講義自体も面白く、興味を持って話を聞くことができた。これからは食生活にも気を配って生活していきたいと思う。



Cさん 

 私が今回の講義でまず初めに驚いたのが、人間の味蕾は約6,000~9,000個も存在するが、草しか食べていないウサギが約17,000個もあることや、牛も約24,000個も持っているということである。だが、さらに驚いたのがナマズは約200,000個も持ち、そのほとんどが体表面に存在しており、その味蕾を使って餌を探すということや、蝶の手にすら味蕾があり、卵を産む際にその葉に毒があるかを調べるというのは初めて知り、大変興味をそそられた。味覚の分野については知っていることが多かったが、肉食獣が草食獣の小腸を食べることにより、間接的に草を食べているとは思わなかった。以前までは、肉食獣は自らの体内で必要な栄養を自己で生成していると思い込んでいたため、その点についても驚いた。
 味覚修飾植物の応用については、私の知識が無いばかりに展開については考えが及ばないが、島村先生の言う通り、食育への導入としてこの植物を使うのは有効だと感じる。大学生ですら騒いでしまうのだから、小学生に対してこの実験を行うとどうなるかは目に見えている。幼い子供相手に難しい話をすることはできないだろうが、食に対して興味を持たせ、偏食を防ぐというのには効果があるかもしれない。味覚を知ることは食そのものや、身近な人間の感覚というものを知ることにつながると感じる。もし、自分が小学生のころなどに今回の講義での体験をして詳しい話を聞いていたとしたなら、現在の自分の専攻ではなく、また違った進路に進んでいたかもしれない。現在、研究職に就く若者の数が少なくなってきているという話をどこかで聞いたことがあるが、この問題にも効果があるかもしれない。
 また、いただいた資料には肥満や糖尿病が増加しており、低カロリーで安全な甘味料が求められているとの記述があったが、今ある甘味料はそれ単体で甘みを感じさせるものだが、ミラクルフルーツのミラクリンは酸味を感じさせる物質がなければ何の効果もないわけである。しかし、やはりそこに着目してその特性を利用できれば全く新しいものができるであろうことは必然であり、興味がそそられる。私は現在心理学を専攻しているが、機会があったらもっと知識を身に付けてみたいと今回の講義で感じた。



Dさん 

 私が講義を聞いて興味を持ったのは、味覚の役割についてです。人は成人でおよそ6000個〜9000個の味蕾が存在し、舌全体に7割、残り3割は上あご・のどに味蕾があります。その味蕾が甘い、苦い、すっぱいなどの味を判別するわけですが、講義を聞くまで、どうして人や動物が味を判別できるようになったのかあまりよく分かっていませんでした。その上、生き物によって味蕾の場所や数、役割が違うというのにも驚きました。人は味覚で味の判断をすることによって、口に入れた物が安全か安全でないかを確認します。体に良くない物は苦味やすっぱさのような嫌な刺激として伝えられます。このような話をきいて、人や動物は自分自身の身を守るために味を判別するようになったのだと分かりました。そして、大人と赤ちゃんでは味蕾の数が大きく違うというのも驚きましたが、赤ちゃんは自分の身を守れるような経験が無いうえに、口で何でも判断するので、自分の身を守れるように味蕾が多いと聞いて納得しました。味覚はただ食べ物の味を楽しむためのものだと思っていましたが、本来自分の身を守るためのものなのだと知れてよかったです。
 そして、味覚修飾植物の説明を聞いて、それらの植物は現代社会の問題の1つでもある「生活習慣病」などの病気の予防にとても役立つと思いました。糖分をとってはいけない人でも甘いものを食べたくなる時はあります。そういう時に、ミラクルフルーツを活用して、糖のないすっぱいものを摂取すれば病気の進行を妨げられます。ミラクルフルーツはすっぱい→甘いに変えるだけで他の味覚は普通に感じるので、他のご飯も一緒に食べられて効率もいいと思います。もっとミラクルフルーツの研究が進み、医療と連携して発展していけば、多くの人の役に立つものになっていくと感じました。
 味覚というものは、聴覚や視覚と比べると軽視されがちだと思いますが、味覚だって自分の身を守る1つの術であることや、味覚や味覚を感じるしくみを知ることで、それを応用して医療や商業などにも役立てていけるので味覚について知ることは重要だと思いました。味覚の深さに今回の講義で気が付けてよかったです。



Eさん 

 今回島村先生の講義を聴けてよかったと思います。というのも味覚に関する正しい知識を得ることができたと思うし、物事に対する認識が正しいか間違っているかでそのものに対する考え方や感じ方が違うと思うからです。
 味覚というものは僕にとっては当たり前にあるものとして認識していたから今までそんなに意識したことはありませんでした。味覚といえば、甘い、酸っぱい、苦い、といった味のことしか考えていなかったけれど、今回その味の感じ方の仕組みや、また動物によっては味の感じ方も違うといった新たな発見もありました。
 高校の生物で味覚については多少触りましたが、味を感じる上で最も重要であるといえる味蕾にいては知らなかったし、当然その味蕾の数が動物によって違うということや、人間よりも味蕾の数が多い動物が意外にもこんなに身近にいるなんてことも知らなかったです。高校の資料集で見たあの味覚地図が実は間違っていると聞いた時は正直驚きました。
 個人的に興味を持ったのは好き嫌いのメカニズムや、人にとってのおいしさ、といったテーマでした。好き嫌いは第一印象できらいになるのが6割という事実には驚きました。でもそんな好き嫌いもちょっと考え方を変えたり、経験や学習を積むことで直るという点はなるほど。と思いました。と同時によく父が言っていた、『ビールは大人の味』という言葉の意味も理解できた気がします。人にとってのおいしさの方は文化が違うと食べる物も違ったり、情報に基づくおいしさは曖昧で、先生が例に出した神社の神水とか果物狩りでそのまま食べる果物といったものは僕自身思い当たる節もあったので、理解も早かったし、納得しすぎて思わず笑ってしまいました。
 一番印象深いのはやはりミラクルフルーツとギムネマの実験です。味覚障害を一時的にでも疑似体験できるなんてめったにないことだし、とても興味を持ちました。実際に味がしなくなったり、味が変わるといった経験をすることで食べ物に固有の味があるのではなく、食べ物がもつ成分を味蕾が感知して、あとはその場の雰囲気や今まで積んできた味の経験とが合致して初めて味覚が成り立つのだなぁと思うことができました。
 医療のことに興味がある僕としては、ギムネマやミラクルフルーツといった味覚修飾植物が今後の医療現場で役立つといった話はとても面白かったし興味を持ちました。味覚修飾植物は薬ではないので副作用の心配もないし、大量生産が可能になれば糖尿病や肥満で苦しむ多くの人の救いになると思います。外食産業が味覚修飾植物についてもっと協力的になれば、糖尿尿で苦しむ人やカロリーを気にする人たちが気軽に外食できる、そんな世の中になると思います。味覚修飾植物の今後の医療現場でのさらなる活躍を期待しています。
 最後に、こんなすばらしいことを知らない人がまだまだ多くいると思います。島村先生にはこれからも講演続けていただいて、もっともっと多くの人がこの知識と味覚に関する正しい知識を得ること、そして講演を聞いた人の食生活が少しでも改善されることを願ってます。



Fさん 

 人は味蕾で味を判別しているという話は聞いたことがある。しかし、味覚地図が間違いだというのは知らなかったので驚いた。今思えば、おかしい話なのにどうして疑わなかったのだろうと思う。また、味を感じ取るためにはまず物質が水溶液になることが必要だという。よく噛んで食べることと味わうことがイコールになるのはそのためなのだなと思った。味蕾があるのは人間だけでなく他の生物にも存在する。その目的は過酷な自然を生き抜くためであり、それだけが目的ではないにしろ、趣味嗜好や外部からの情報に左右されながら食事をする人間は特殊である。おもしろいと感じたのは、成長にしたがい味蕾の数が上下することと生物によって味蕾の場所が違うことだ。赤ちゃんの頃にはあまり味の濃い物は食べさせてもらえてないけれど、もし今と同じような食生活をしていたら味の感じ方も極端で鮮やかだったのかなと思う。また、口内や喉に味蕾があることは当然だけど、まさか身体の表面に味蕾がある生き物がいるとは知らなかった。用途を知れば納得出来るけれどイメージするのはなかなか難しい。
 ギムネマを食べることで少しだけ味覚障害の体験ができた。砂糖は砂のよういなるし、チョコは油の塊を食べているかのようで気持ちが悪かった。ありがたいことに、味覚障害を解決するための亜鉛を摂取することができる食材は海藻、そば、貝類など味の薄いものばかりだ。私はファストフードをよく利用するので、これを機会に食生活を見直したいと思う。
 味覚の研究をどのようなことに活かすのかについては、講義中にも出てきたが真っ先に思い浮かんだのはリカちゃん人形の靴の例だ。私は幼い頃リカちゃん人形の靴のゴムの感触が好きでもぐもぐやるのが癖だったのだが、ある日新しく買ってもらったバービー人形の靴を口に入れたら、あまりに苦くて吐き出してしまった。自分は飲み込まなかったからよかったものの誤飲でもして窒息したら大変だと思う。幼児が誤飲してしまう例には「スーパーボール」「ビニール袋」などもあるらしく(東京消防庁より)、せめて玩具であるスーパーボールも苦く感じるようにするといいと思う。
 味覚の研究から、様々は人間の特性が分かったり、苦しんでいる人の手助けになったりするのは本当にすごいなと感じた。

参考
東京消防庁:http://www.tfd.metro.tokyo.jp/lfe/topics/stop/02.pdf



Gさん 

 私は、今回の講義では初めて知ることが多かった。まず、味を感じる仕組みについて初めて学んだ。味を感じるためには、食べ物と唾液が混じり水溶液になることが必要である。そして水溶液となった食べ物は電気信号となり、味蕾で味として判断されている。味を感じるために一度電気信号に変換されているとは思わなかったので意外だった。そして、味蕾は成人よりも乳児の方が多いことを初めて知った。成人では約6,000~9,000個、乳児は約12,000個の味蕾を持っており、成長とともに味蕾の数は減っている。これは私たちの味蕾が森で生活していた時代の仕組みと同じになっているからである。酸味のある食べ物は腐っているか、熟していない果物の味として判断されていたため、少量口に含んだだけで、食べてはいけないと判断できるようになっている。この様な仕組みが、乳児には残っている。乳児は知識がないためどんなものでも口に含もうとするが、これはとても危険である。乳児は、これを防ぐために多量の味蕾で口に含んで良いかを判断をしている。そして私は、味蕾は舌の上のみに存在していると考えていたが、舌以外にも存在していると初めて知った。舌全体には7割で、残りの3割は上あごや喉に存在している。このことを知らないため、高齢者が入れ歯で上あごの味蕾を塞いでしまうことがある。そして私が初めて知って驚いたことは、人間は脳に存在する扁桃体によって情報が味覚処理に影響を及ぼすということである。私たちは五感を使いおいしいかどうか感じている。これに加えて安全性、健康への影響などの情報が味覚処理に影響を及ぼしているのである。私達は情報だけではなく、正しい知識で判断することが必要である。しかし、正しい知識がないために若者の間で味覚障害の人が増えているのではないか、と私は考える。味覚障害は、味細胞が生まれ変わるときに必要な亜鉛が不足していることが原因で起こる。若者が食べることの多いファストフードや加工食品は亜鉛が含まれていないだけでなく、体内の亜鉛を追い出してしまう。この様な知識がなく、手ごろに食べられるという情報に惑わされているため、若者の間で味覚障害の人が増えているのではないかと私は考える。そして食生活について考え直さなければならないと強く感じた。
 私が興味を持ったのは、生物によって味蕾の使い方に違いがあるということである。味蕾の数は生物によりばらばらである。ナマズは200,000個の味蕾をヒゲ、皮膚に持っている。これは濁った水の中で、水を伝わり敵やエサを発見するために存在している。蝶は手に味蕾が存在している。これは卵を産む場所に毒がないかを判断するためである。ハエも手に味蕾が存在している。止まった場所が安全かどうかを判断しており、手をこすっているのは、味蕾を掃除しているのである。この様に、人間とは異なる方法で味蕾を使っていることを面白いなと思い、動物の味蕾の使い方に興味を持った。
 私の考える味覚修飾植物の今後は、2点ある。1点目は、味覚修飾植物をもっと多くの人に知ってもらい、生活習慣病などの改善に役立てることである。味覚修飾植物について私はこの講義を受けるまで何も知らなかった。講義で聞いたミラクルフルーツの酸味を甘味に変える仕組みによって、糖尿病患者が甘みを摂取せずに我慢していた甘いお菓子を食べられるということにより得られる満足感は、素晴らしいものだと思った。この様な働きをするということをたくさんの人に知ってもらい、生活習慣病などの改善に役立ててもらいたいと考える。他にも小学校などで味覚実習を行い、味覚障害がどのような状態であるのか知ってもらい、味覚障害になることを防いでもらうこともできると私は考える。そして自分の生活のために、味覚について知ることの重要性を学んでもらいたいと思う。
 私はこの講義を受けて、味覚について貴重な体験をした、と思っている。実習では実際に味覚のない状態を体験することができて良かったと思う。ギムネマの葉を食べた後の砂糖は砂のような触感で、味が感じられないだけでこんなにも違うのかと驚いた。私たちは味を感知できることが当たり前だと考えていたため、味が感知できない状態を知ることで、今ある味覚がどれだけ大切か改めて考えることができた。若者の間で味覚障害が増えていることも知り、食生活を見直さなければいけないと強く思った。正しい知識をつけなければならないと強く感じた。ファストフードや加工食品はよく食べるので、今回の講義で聞いた話を思い出しながら、これからの生活は食生活を見直していきたいと思った。



Hさん 

 私はテレビ番組でミラクルフルーツが紹介されていたのを見たことをきっかけに、昔からずっとミラクルフルーツを食べて酸っぱいものが甘く感じられるという体験をしてみたいと思っていた。だから今回の講義でこの体験ができて本当に嬉しかったし、味覚について深く考えるきっかけにもなった。
 ギムネマを使った味覚体験ではチョコレートがこんなにも不味くなる事が衝撃的だった。甘味を感じないというだけでチョコレートの油っぽさや舌触りの悪さがすごく気になった。私が普段「美味しくて舌触りが最高だ?」と思っていたチョコレートが甘味を感じないだけでこんなにも不味く感じてしまうなんて本当に驚いた。ミラクルフルーツの実験も自分が想像していた以上に酸っぱいものが甘く感じられたので驚いた。ここまで甘く感じるとは思っていなかった。
 今まで正常に味を感じ取るという行為を当たり前のことだと認識し、特に深く考えたことはなかったが今回の体験によって、自由に食べ物を食べて正常に味を感じ取ることができるのは本当に幸せなことだと実感した。食べることが大好きな私にとって味を感じないという事はとても苦痛だ。食べ物の味を正常に感じ取ることができなくなったら、人生の楽しみが半分くらい失われたと感じるだろう。今回の体験で味覚の大切さを改めて実感した。
 この講義では味覚について新しく知り、驚くことが本当にたくさんあった。味を感じる仕組みなんて今まで意識したことがなかったが、舌には味を感じるための味蕾というものが存在し、その味蕾と味は鍵穴と鍵のような関係であるという話はとても驚いた。まさか味を感じる仕組みがそんな風になっているなんて思っていなかった。私は中学生の頃に「小さい子どもが好き嫌いが多いのは大人よりも味を敏感に感じ取るからだ」という話を聞いたことがあった。でもなぜ子供のほうが味を敏感に感じ取るのだろうと思っていた。だけど今回の講義で味を感じ取る味蕾が成人はおよそ6000個〜9000個存在するのに対して、赤ちゃんは12000個存在するという事を知って「なるほど?」と思った。味覚地図の話が間違いであるという話も非常に驚いた。また、私はハエを見て手をしきりに擦っているのはなぜだろうとずっと不思議に思っていたのだが、ハエには手に味蕾が存在していて、それを掃除しているという事を知り長年の謎が解けてとてもすっきりした。ナマズには味蕾が体中にあるということも今回初めて知り、ナマズは以前から不思議な生き物だと思っていたが益々不思議な生き物だと思った。動物はそれぞれの生き方に合うように味覚が発達しているという事はとても合理的で、やはり動物の進化は凄いと改めて感じた。昔の人間は酸味や苦みを腐敗物や毒のシグナルとして認識していたため、現在でもその名残で酸味や苦みに対する感度が高いという話もとても興味深いと思った。やはり人間の進化の過程には自分の命を守るという事が前提としてあり、大昔から現在までそれが変わらずにあるのは本当に凄いと思った。でも大昔の人間と現代の人間とでは味の感じ方は多少違うと思うので、大昔の人がどんな味覚をしていたのか非常に気になった。また、サルにも「別腹」があるという話にはとても驚いた。私は理科系の領域はあまり好きではないのだが島村先生の講義はとても面白く様々ことにどんどん興味が湧いてきて自分でも本当に驚いた。味覚についてもっと色々な角度から様々な話を聞いてみたいと思った。
 私は今回の講義を聞くまでは、ミラクルフルーツなどの味覚修飾植物はちょっと面白い体験ができるだけで特に何かに役に立つなんて考えた事もなかったけど、ミラクルフルーツを利用して糖尿病患者に甘いものを食べた気分を味わってもらう事が出来る事を知り本当に驚いた。このように味覚修飾植物が医療の現場で病気の治療を頑張る人たちを気持ちの面で手助けすることができるなんて凄いことだと思う。私はミラクルフルーツがもっと手軽に手に入るようになれば、甘いものを食べたい時にミラクルフルーツを利用して甘いものを食べた気分を味わって、ダイエットに活用する人もいるのではないかと思った。
 以前、私は味覚障害を持つ人が若者の間で急増しているから、現代人は日常の食生活にもっと気を使ったほうがいいという話を聞いたことがあった。しかし、その時私は味覚障害と言われても全然ピンとこなくて、自分の生活習慣や食生活を見直そうとはあまり思わなかった。だけど、今回の講義で味覚実験をしてみて味覚障害の辛さを思い知った今なら「絶対に味覚障害になりたくないから、普段から自分の食生活や生活習慣には気を付けよう」と思える。やはり実際に体験してみるという事はとても大切だと感じた。だから今回このように味覚実験を体験して味覚の重要性を知ることができた私はとても幸せだと感じた。



Iさん 

 今回の講義で食べ物の好き嫌いは生まれて初めて食べたときのイメージと食事中の空気と「これを食べて食中毒になってしまった」などの経験で決まると知った。私には好きな食べ物はあるが嫌いな食べ物はないことから、今まで特定の食べ物に対して悪いイメージを持つような出来事がなかったと推測できる。これだけは食べられないという食べ物がない、言い換えればどんな食べ物でもおいしく食べることができるということは非常に幸せなことだと思う。だから将来家庭をもつようになったら子供に嫌いな食べ物ができないような環境を作っていきたいと思った。
 「人にとってのおいしさとは」が非常に興味深く帰ってからも講義内容をしばらく反芻していた。特に関心を持ったのはファストフード店がほぼすべてのおいしさの項目を満たしているということだ。不健康な食事の代名詞とも言えるファストフードがどうして世界中でこれほど好まれるのかという理由がこの項目ですべて解明される。ファストフードは国籍関係なく人間に一貫して好まれる味なのだ。それほど計算されたものだと思いもしなかったし、このことを知ってなんだかファストフードが依存性の高い薬物のように身体に作用しているように思えてゾッとした。
 味覚実習でギムネマの影響で砂糖がただの砂のように・チョコレートが蝋のように感じられて甚だ気持ち悪く思った。もし私が味覚障害になってしまったらこんなにまで物をおいしく食べられないんだと思い、実際味覚障害になってしまった人は相当辛い思いをしているのだろうなと思った。そうならないためにもこれまでの食生活を見直し栄養バランスをしっかりと考えた食事(亜鉛を十分に摂れる食事)をしていかなければならない。
 全体を通して味というのは感覚器官だけで感じているのではないのだと分かった。今までの経験や体験・他人からの影響を通じてそれぞれ人は味を受容しているのだと気づき感覚と心理学との深い関わり見出すことができた。またより深く知りたいと思ったので個人的にも味覚についての文献を読んでみたいと思った。



Jさん 

 ギムネマとミラクルフルーツの味覚実習はとても楽しかったです。
 ギムネマはとても苦くて、舌全体に擦り付けなくてはいけなかったので少し涙目になってしまいました。甘いものを食べてもギムネマの効果で砂糖は味がなく、砂みたいでした。また、チョコレートは苦く、何とも形容しがたい食感がしました。あまりのまずさに買ってきたカフェオレを飲んだのですが、牛乳の味しかしませんでした。甘味を感じなくなっただけでも、普段おいしいと感じるものがおいしくなくなるので、味を感じることができない味覚障害の人は食べる楽しみがないのではないかと思いました。
 ミラクルフルーツは梅のような味がし、酸っぱいような苦いような不思議な味だと思いました。ミラクルフルーツを食べていないときは100%グレープフルーツジュースもレモンヨーグルトも酸っぱくておいしくなかったのに、ミラクルフルーツを食べたらどちらも甘く感じて驚きました。レモンヨーグルトのはずなのにまるではちみつがかかっているみたいでした。始めに酸っぱいものが甘く感じられると説明があったものの、実感が湧かなかったのですが、実際に自分で体験してみると本当に甘くなったので感動しました。また、今回の実験をしていて思ったのですが、タブレット型のミラクルフルーツは持ち運びには便利ですが、舌全体に満遍なく塗り付けるというのは難しかったです。なので、ジュースにして口に含めることで満遍なく舌に塗れるようにしたらやりやすいのではないかと思いました。
 講義では、小さいころ嫌いだったものが好きになるのは知識がついて悪いものではないと判断できるようになるということに自分の経験が重なってとても納得しました。私はイチゴが大好きなのですが、イチゴを食べていると母に、昔はあんなにイチゴが嫌いだったのに、と言われることがあり、イチゴを嫌っていた記憶がない私は味覚が変わったのかと漠然と疑問に思っていたのですが、イチゴは腐敗物など害のあるものではないとわかったから食べられるようになったと聞いて、疑問が解決するとともに一つ賢くなることができました。また、赤系の色が食欲を増進させ、青系の色が食欲を抑えるというのは聞いたことがあります。テレビ番組で、メンタリストのDAIGOがこの仕組みを使ったダイエット方法を紹介していたということが印象に残っています。色にはほかにも効果があると聞いたことがあり、将来、商品開発や作業効率のアップなどに役立つかもしれないし、興味もあるので今度ぜひ調べてみたいと思います。
 私は小さいころから理数系の科目が苦手だったので、今回この講義を受けて、このような楽しい実験を経験できていたら、もっと理科が好きになっていたのかもしれないと思ってしまいました。小学校の時に先生の講義を受けられていたらと思うと、今、小学校で講義を受けることができた子どもたちがうらやましくなります。
 今回の講義はとてもいい経験になりました。将来何になりたいか、まだはっきりとは決まっておらず、講義で学んだことを職業で生かすことができるかどうかはわかりませんが、好き嫌いのメカニズムや赤ちゃんが一番味蕾という味を感じるセンサーが多いのだということを、自分の子どもができたときに教えてあげたいです。そうすることで、理科が嫌いだったら理科に興味を持つように、好きだったらもっと理科が好きになるようになるといいと思います。



Kさん 

 先日の講義を受けて初めて知ったことは、まずは味を感じる仕組みでした。舌の場所によって感じる味が違うというのは、経験上、間違いではないかなと感じていました。しかし、水溶液になった食べ物の成分と味蕾が鍵と鍵穴のような関係になっていて、どこでもどの味も感じることができるという仕組みまでは想像できていなかったので、少し驚きました。味蕾という単語自体、聞くのが初めてでした。なので、味蕾の数が動物によって違うことも知りませんでした。初めは、味蕾がやたら多い動物や、口以外の手の先や皮膚にもある動物は、なぜそのように進化したのだろうと思ったけれど、どれも厳しい環境を生き延びるために必要な役割を果たしていることがわかりました。敵の把握や、子孫を無事に残せるかなどの確認を味覚でしているというのはとても斬新で、面白いなと思いました。このように動物の味覚は、今の私たちの生活からは想像がつかないような理由で発達してきたことがわかりました。動物は、自分に必要な栄養が含まれるものほどおいしく感じるというのは、かなり効率のいい仕組みだなと思いました。
 それに対して、人間には5種類の味覚があって、生理的な欲求以外の理由でもおいしさを感じることがわかりました。小さいころから長く慣れ親しんだものや、事前に良い情報を聞いていたものはおいしく感じるなど、他の動物とは違った「食」の意識があるのだなと思いました。だからこそ、味覚障害という病気はかなり怖い病気だと思いました。今までは、味を感じるのは当たり前だと思っていました。味覚障害という病気を聞いても、あまり深刻なことだとは考えていませんでした。小さい頃には、嫌いな味は感じなくなればいいのにと思ったこともありました。しかし、味覚修飾植物を実際に食べてみて、普段感じる味と違う味がするというのは、かなり違和感がありました。酸っぱいものを甘く感じるのは、うまく利用することもできるかもしれないけれど、酸味があるからこそおいしく感じる味の組み合わせもあるので、やはり1種類でも味が感じられなくなるのは怖いなと思いました。これは、実際に体験してみないとわかりにくいことだなと感じました。
 味覚修飾植物は、味覚障害の怖さを伝えるために有効な手段だと考えました。9〜12歳までに人間の味覚は決まってしまうということなので、小学校の低学年くらいの時期に、ギムネマの効果を体験すると、甘味を感じられないというのはかなりの衝撃だと思うので、効果はかなり大きいと思います。これから味覚修飾植物をさらに利用するためには、好きな味のものばかり食べてしまう人の栄養の偏りの改善のために、本来は違う栄養を持ち、違う味のするものを、好きな味にかけられるように、もっとたくさんの種類の味覚修飾物質を発見することが重要になりそうだなと思いました。



Lさん 

 私は今まで味覚について深く考えたことは正直ありませんでした。毎日あたり前のようにご飯をたべたり、あたり前のように飲み物を飲んだりと、味わうことについて特に意識したことはありませんでした。しかし今回の講義で味覚について少し興味をもち、驚いたことがいくつかありました。まず、味を感じるセンサーである味蕾は成人で約6000〜9000個あるのに対し、赤ちゃんは約12000個もあることに驚きました。大人は知識があるので大丈夫ですが、赤ちゃんは疑わしい物を飲み込まないようにし、自分自身を守るために味蕾の数が多いと聞いて感動しました。私も実はリカちゃん人形の靴をなめたことがありますが、とても苦かったです。味覚を利用して安全性をより高くできることに関心を持ちました。
 そして私は今まで味覚地図が正しいと思っていましたが、舌全体に7割、3割は上あごやのどに味蕾が存在して、舌全体で味を感じていることに驚きました。味蕾はカギとカギ穴の関係を利用して味を判別しています。そしてさらに辛さは味覚ではなく、神経を刺激している(体性感覚)ということが分かって、人間の体の複雑さと不思議さに驚きました。確かに辛い物を食べたら、口の中が痛くなるのでその通りだなあと思いました。
 だけど、この興味深い味覚に対して残念なこともあります。それは味を感じることができないという「味覚障害」という病気があるということです。私も加工食品やファストフードを最近、より利用していることに改めて気づきました。亜鉛不足が味覚異常の原因ですが、このような食品には亜鉛が含まれておらず、さらに添加物が体内の亜鉛を追い出してしまうため、加工食品やファストフードなどに頼りすぎると、味覚障害になりやすくなってしまいます。確かに加工食品やファストフードは便利で手頃ですが、これを機に、あまり頼り過ぎず、日頃ご飯がおいしく味わえているのは自分の味覚のおかげだと感謝して、食べるものにも気を遣わなければいけないなと感じました。
 また不思議な体験をさせてくれる味覚修飾物質は食べ物の味を変えるのではなく、舌にイタズラをして一時的に味覚を変える物質です。その中でも今回講義で用いたのは、ミラクルフルーツとギムネマです。ミラクルフルーツは酸っぱい物が甘く感じるという作用があります。ヨーグルトやグレープフルーツジュースが甘くなり飲みやすくなりました。甘いものが不足すると人間はストレスを感じてしまいます。ミラクルフルーツを利用したら、酸っぱい物が甘く感じるので、実際には糖分が抑えられます。薬のような働きをしてくれます。ギムネマは甘みを感じさせない作用があります。要するに甘みのカギ穴をふさいでしまうのです。講義の試食ではチョコの甘さが全くなく、砂糖は砂を食べているようでした。
 今回の講義と試食で味覚のありがたさを強く感じました。自分の舌なんて何も関心はありませんでしたが、おいしく食べられるという人間の体の素晴らしさにとても関心を持ちました。

参考文献:講義プリント



Mさん 

 大学に入学して授業で初めての実験となった、味覚実験。聞きなれない植物の名前が出てきて、最初は何が何だかという感じでしたがやはり実際に自分が食し、味覚の変化を体験するという形式であったため、座学だけで行われるよりもより理解も深くなり、記憶にも強く残りました。
 その中でも一番驚いたことは、人間にとっての味覚は私が思っていたよりも様々な要因が関係していたということです。赤ちゃんの時期が一番味覚に敏感で、それは腐敗物など危険なものを察知するためであり、幼少期にピーマンが苦手な子供が多いのはそういった機能があるからであること。それに対して、成長するにつれてピーマン嫌いが無くなる人が多いのは、味覚の変化だけではなく、経験や知識によりピーマンが毒物ではないことがわかるから、といった文化的、情報的な要因が存在していたことを私はこの授業において初めて学びました。確かに、自分の嫌いな物、牛乳を思い出していても、嘔吐の経験があることが味が受け付けられない理由であると、実体験に基づいてもそう思いました。
 次に驚いたことは、やはりギムネマとミラクルフルーツを食べた後の味覚変化。ギムネマを食べると大好きなチョコレートを食べても感じられないあの甘さ。栄養価は変わらなくても、得られる満足感の少なさ。それは、味覚がただ単に味蕾で神経が感じるだけという単純なものではなくそこから癒し、幸せが得られるという精神的喜びにも繋がっているということを痛感しました。先生が授業でおっしゃっていた、ミラクルフルーツを使用することにより得られる甘さは糖分を制限された人々に以前のように甘い、という感覚を伝えることが可能である。ということは、精神的にも、奪われたに等しい甘さという味覚を思い出すということによる肉体的にも幸せを与えられる素晴らしい考えであるなあと思い、もっとこれからはミラクルフルーツが普及、認知されるべきであると、この実験で甘さという感覚を一度奪われ、与えられた経験にも基づいて強く考えます。
 味覚障害という言葉が、それほど聞きなれない言葉ではなくなってきた今、今まで一度も気にかけたことがなかった味覚について、自分がちゃんと感じられる時に、人の親になる前に、知ることができて良かったです。



Nさん 

 この講義でギムネマやミラクルフルーツを食べることによって味覚障害の疑似体験をし、改めて味覚というものがどれだけ重要で、食生活を豊かにしているかを実感することができました。ギムネマの葉を食べてからチョコレートを食べた時の衝撃が強すぎて忘れられません。甘くて美味しいはずのチョコレートが油っぽくて苦い粘土みたいな味に感じてすごくびっくりしました。小、中学校の頃に栄養士さんのお話を聞く機会があり、そのときに近年若者に味覚障害が増えているということを知りました。当時はほとんど気に留めていませんでしたが、この講義を聞いて、味覚障害は近代注目すべき重大な問題だと思いました。私はカップラーメンや冷凍のパスタが大好きで頻繁に食べてしまいます。この前、お昼に家族にチャーハンを作ったときみんなから「塩っ辛くない?」といわれてしまいました。自分では気づかないうちに濃い味付けを好むようになっていると知ってどきっとしました。加工食品に頼りすぎた食生活をすることにより、亜鉛を十分に摂取できず、味覚障害の原因である亜鉛不足を引き起こしてしまい、しかも加工食品に含まれる添加物が体内から亜鉛を追い出してしまうと講義でお話を聞きました。私は好き嫌いが多く、偏食、しかもファストフードや加工食品をあまり気にせずに食べてしまうタイプなので、味覚障害は他人事ではないと危機感を感じました。コアラが動物にとって毒であるユーカリの葉を食べ、その森で暮らすことで生き延びることができていることや、ライオンは直接草を食べると消化できないため、狩った獲物の小腸を食べることで植物の栄養を、肝臓、すい臓を食べることでビタミンやミネラルを補っていること、動物にとっては生きていく上で役に立つものがおいしいものとされていること、爬虫類や鳥類には頭が重くなると飛んだり動いたりするのに不利になるため味蕾がほとんどなく、味を感じず獲物を丸呑みしていることなどを聞きました。動物と比べて人間は甘い、酸っぱい、苦いなど繊細な味を感じることができるし、生き延びるという目的のためだけに食事をするということではなく美味しい食事を楽しむことができるのに食生活の乱れによって、食を楽しめないのはとてももったいないことだと思いました。亜鉛は日本食に多く含まれていると聞きました。せっかく日本人に生まれたのだし、横文字料理ばかりを口にせず、日本食をもっと食べるようにしようと思いました。
 私がこの講義の中で一番驚いたのはミラクルフルーツを食べることで、糖分を取らずに甘い思いだけができるということです。甘いものを我慢するというストレスは患者さんたちにとって強いストレスだと思います。ストレスも健康を害する要因になりえます。だから糖尿病の患者さんはもちろん、糖尿病予備軍のひとたち、メタボの人、ダイエットをしたい人たちにとってミラクルフルーツは力強い味方だと思いました。
 この講義の中で私が特に関心を持ったのは、安全や、健康、値段などの情報が脳内の味覚の処理に影響を与えるということです。行列ができる店のラーメンは美味しい、高いワインは香りがよく味も素晴らしい、人体にとって危険なものが何一つ検出されていなくても、福島の野菜やお米は買いたくないなどと我々は皆思います。扁桃体が発達しているがゆえに起こる、人間特有なことというのがとても興味深かったです。人間の味覚処理はよく言うと柔軟あり、悪く言うと適当であいまいなのだなと思いました。
 この講義を受けなければミラクルフルーツやギムネマを食べるという経験もできなかっただろうし、味覚を重要さ、味覚障害の怖さなど普通にしていたら気づけなかったこともたくさん教わることができてすごくためになる講義でした。



Oさん 

 私が今回の講義を聞かせていただいて率直に思ったことは、「味って面白い」ということでした。
 高校の生物の授業の時に、味を感じるしくみや、動物の味蕾の数の違いなどをただ習い、テストのためにおぼえているときには、正直に言うと、なんの面白みも感じられませんでした。しかし、今回講義を聞かせていただき、私たちが普段何も意識せずにやっている「何かを食べる」という行為は、味覚とあらゆる経験や情報が複雑に関わりあっていると知って、そこにはもっと深い興味や理解があったはずなのでは、と思いました。ミラクルフルーツやギムネマなどの味覚修飾植物の存在を知っていたとしても、今回のように自分自身でその効果を体験できる機会は、あまり多くない気がします。私自身も、講義後帰宅し、その日の夕食時に、家族に体験したことの驚きを言葉で伝えましたが、持ち帰らせていただいたミラクルフルーツのタブレットを家族で試すまでは、その驚きや感動はしかっりとは伝わりませんでした。
 やはり、自分自身で味覚についての知識をある程度知った上で味覚修飾植物の体験をすることが、味覚のしくみへの興味や理解を深めると思います。そしてそれは、食事をより大切に思うことに直接つながると思います。現代の私たち日本人は動物とは違って、必要に駆られて食事をするということが少ないので、食事のありがたさや重要性を、ほとんど気にすることはありません。私たちは、食事の本来の目的である、生きていくためのエネルギーを摂ることだけでなく、食べ物の美味しさを楽しむことが出来るという、とても恵まれた状況にあるのだから、食事をもっと大切にし、食生活を見直さなくてはいけないと気づきました。
 また、私は味覚修飾植物の体験をすることによって初めて、味覚を感じることが出来ることのありがたみに気づきました。味覚障害なんて自分には全然関係のないことだと思っていましたが、それが、自分自身の食生活によって引き起こされるということを知って、驚きとともに、今回そのことを知れて本当に良かったと思います。知らないまま、将来味覚障害になってしまって今回の体験のように味覚を感じられなくなってしまったらと思うと、大きな恐怖を感じます。
 美味しさを感じることは私たちにとって、幸せを感じる一つの方法であると思います。味覚修飾植物は、何らかの病気の方のためだけではなく、美味しさを感じることが出来ることのありがたみや、それを失うことの怖さを知り、食生活を見直す大きなきっかけになると思います。最近は食育が少しずつ盛んになってきていると感じますが、生きていくうえで最も重要で、幸福なことの一つである食事に関しての理解は、もっと深く広まるべきであり、その中で味覚修飾植物が果たす役割は大変大きいものだと思います。私自身も今回の講義と体験を通して知ったことは、忘れることはないですし、将来自分が家庭を持った時には、子供に味覚の仕組みや食事の大切さを伝えられるような親になりたいです。
 今回は、貴重な経験をさせてくださり、本当に有難うございました。