驚きの味覚体験を通して
私は、今まで学校で習った知識や、テレビから得た情報などから、ヒトを含めた動物や植物などの生き物は、それぞれが生きる環境に合わせ、適応しやすいように進化、または意図的に退化してきたこと、体のつくりにはそれぞれ重要な意味があることなどを知っていました。しかし、今回の講義を受けて、それらについての認識が新たになり、本当にヒトのからだ(ヒト以外の動物についても)はよくできているものだと感心し直しました。私を特にそう感じさせたことは、味蕾の数について学んだ内容です。味蕾は成人でおよそ6000個〜9000個存在しますが、赤ちゃんは1万2000個と、それよりも多く味蕾が存在します。それにはしっかりした理由があります。赤ちゃんは目にしたものを何でも口に入れてしまいます。それが食べられるものか、食べてはいけないものかは、舐めた時に感じた味で判断します。大人は知識があるので、わざわざ口に入れて舐めてみなくても、食べられないものだと判断することができます。つまり、赤ちゃんは安全に生きるために、大人よりも敏感に味を感じる必要があるのです。そのため、赤ちゃんは成人よりも味蕾の数が多く、成長していくにつれて、必要がなくなった分の味蕾は退化していくのだと思います。また、ナマズは目の悪さをカバーして生きるために、極端に味蕾が多いこと、ハエが手をこする行動は、手に味蕾があるからするということ、チョウが手をこするのは、手の味蕾で毒がないかをチェックする意味があるということ、ヘビやニワトリの味蕾は、少ない方が生きるのに都合が良いということなどからも、体の構造には、全て意味があるということを実感できました。一見無意味に思えるようなことでも、実は生きていくために重要な役割を果たしているものが、私たちのからだにはたくさんあるのではないかと思い、もっと知りたくなりました。
コーヒーやピーマンなどのくせのある食べ物を、大人になるとおいしいと感じるようになる理由が分かって、なるほどなと納得できました。自分自身の経験を振り返ってみると、幼い頃の私は、今となっては信じられないのですが、チョコレートは味が濃すぎてあまりおいしいものではないと感じていたし、食べられないほど嫌いとまではいかなくても、好きではない食べ物がたくさんありました。しかし、今は嫌いな食べ物がほとんどなくて、食べることが大好きで、どんな料理を食べてもおいしいと感じます。今まで私は、どうして小さいころは、こんなにおいしいものを、そう感じられなかったのだろうと疑問に思っていましたが、この講義で得た知識のおかげで、それはごく自然な成長の過程だったのだと知ることができました。
味覚について知ることで、どうして自分はこの食べ物をおいしいと感じるのか、また体が欲するのかが分かると、今までとは違う視点で食について考えることができて、毎日の食事が面白くなると思うし、本当においしい食べ物を食べられるような気がします。自分の体のしくみを知っているということは、生きていく上で絶対にプラスになることだと私は思います。また、味覚修飾植物は、病気で苦しんでいる人々をこれからの未来でたくさん救うことができる明るい植物だと思います。
参考文献 講義で配られたプリント(驚きの味覚体験〜ミラクルフルーツとギムネマ〜)