この講義を通して、味を感じる仕組みや舌の構造など味覚について自分の知らなかった多くのことを学ぶことができました。味覚のメカニズムは、自分が思っていたよりも複雑で味覚の概念がだいぶ変わったような気がします。味というものは舌の部位によって感じる味が違うものでその信号が脳に伝達され味を感じているものだと思っていましたが、実際は味蕾と呼ばれる味覚センサーのようなものが舌の上に存在しており、その味蕾がそれぞれ違う味を感知する役割を担っていることや、味蕾は舌だけに存在するのではなく、喉や食道にも存在していることにも衝撃を受けました。確かに、うちの親がビールを飲む際、ビールは舌で楽しむものではなく、喉で楽しむものだと言っていたように、味を感じる味蕾は幅広く存在しているのだと改めて思いました。食べ物を味わう際、味覚はこれまで食べてきた味を記憶しているという事実や、味覚は経験と学習によってできていることに興味を持ちました。自分も今年から一人暮らしを始めましたが、自分で作る料理とこれまで作ってもらい食べていたおふくろの味とでは、確かに美味さが全然違う気がします。昔から慣れ親しんできた味は今もしっかりと味覚の記憶として残っており、その記憶が自分の食事をより楽しくさせるものだと実感しました。
これから介護を行っていくにあたり、味覚について知ることは介護となんら関わりのないことではないと思います。利用者さんの介護を行う際、食事を管理していく場面が必ずあると思います。そうしたとき私たちは、味覚を含めた五感をフルに活用し利用者が健康的に食事をしていけるようサポートしていかなければなりません。料理の味見をするときにも味覚が一番重要視されているのはもちろんのこと、利用者さんの好みの味というものがあります。利用者さんの昔から慣れ親しんだ味にするのは難しいかもしれませんが、五感をしっかり使いそれに近づけようとするのは可能だと思います。味覚というものは、いろいろな味を経験していくことで発達していくものでありますから、利用者さんがおいしく楽しく食事をしていただくためにも味覚についての知識は必要だと思います。また、近年若者に増加している味覚障害がとても気がかりです。これからの日本を支えていく若者が味覚障害では、もし介護を行っていくことで味の判別ができないようであれば、利用者さんにおいしい食事を提供できるわけがありません。そのようなことを防ぐためにも今一度、食生活の見直しが必要になってくると思います。そこで、必要となってくるのが味覚修飾物質なのではないか思いました。この物質があれば舌にイタズラをすることで本来あまり摂取の難しい栄養素を摂ることも可能になるかもしれません。一時的な味の変化は、食事に楽しさを提供したり、自分の好き嫌いを克服していくいいステップになると思います。今後の味覚修飾物質のさらなる発展がとても楽しみです。