島村先生の講義を聞いて、味を感じる仕組みについて詳しく知ることができた。特に味蕾で味を感じる仕組み、また、その味蕾が舌だけでなくのどや鼻腔など、様々な場所にあることも驚いた。今まで私は舌で味を感じるものだと思っていたので、目からうろこの思いだった。鼻に洗顔料が入ったときに苦く感じる理由を、この授業を通して知ることができた。またそれぞれの味蕾が一つの味にしか対応していないのは意外だった。鍵と鍵穴の関係という説明は分かりやすく、直感的にどうような構造になっているのか想像することができた。目で光を感じる際にも青、赤、黄それぞれ一つにしか対応していない感覚器官があるのを以前知り、衝撃を受けた。そのことを考慮に入れて考えると、人間の身体はひとつひとつが特化した機能しか持たず、同時に処理することができないので処理効率がかなり悪いことになるのではないだろうかと講義をきいて感じた。我々が考えているより、人間の体はかなり不便にできているのかもしれない。さらに赤ちゃんの頃から大人の身体になるにつれて味蕾が減ることで、好きな味が変わるという説明も納得がいった。子どもの頃に苦手だった味が大人になっておいしく感じたりすることが、このように身体の仕組みから説明ができることに驚いた。私は、レバーやホルモンなどの動物の内臓系のたべものがどうにも苦手であったが、高校生を過ぎた頃になって急に美味しく感じるようになった。講義で好き嫌いの話のときに出たように雰囲気が良かった、悪かったなどのこともなく、また久しぶりに食べたレバーの味も記憶どおりだったが、自分でも意外なことに不思議と美味しいと感じることができ、それから動物の内蔵は好みの味になってしまった。この経験は以前から不思議に思っていて、なぜ美味しく食べることができたのか疑問だったのだが、この講義を聞いて納得することができた。
また、味覚修飾植物についてだが、ギムネマやミラクルフルーツを用いた経験はとてもおもしろかった。ギムネマによって甘みが感じなくなり、チョコレートを食べた時にバターの味を感じ取ることができたのはおどろいた。このギムネマは糖尿病、肥満の治療として研究がされているようであり、ラットをもちいた実験ではギムネマに含まれる成分の一つが、糖尿病ラットの血糖値を優位に下げるという結果が出ていた。また同研究で他の幾つかの成分が、腸による糖の吸収を抑える働きがあることを確認しており(杉原・野島・木村・松田・村上・吉,1997)、糖尿病患者、また肥満体型改善への応用の可能性を感じた。また、最近ではギムネマの成分を錠剤にしたサプリメント等も多く発売されているようであり、今後メディア等の露出が多くなればダイエットや糖尿病改善、予防に一般的になるかもしれない。
ミラクルフルーツでは島村先生が世界初のタブレット化に成功していたが、ミラクルフルーツの消費量を抑え、効果を調節した錠剤を作ろうとする研究もあるようである(津村,2005)。これらの研究が進めば、ミラクルフルーツなど、味覚修飾植物を使った糖尿病、肥満等の改善に役立つだろう。
参考文献
・杉原義享・野島博士・木村郁子・松田久司・村上敏之・吉川雅之 (1997). ギムネマ葉含有成分Gymnemic acid Wの血糖値下降作用 和漢医薬学大会要旨集, 14, 120.
・津村哲司 (2005). ミラクルフルーツの錠剤食品への応用 瀬戸内短期大学紀要, 36, 21-24.