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■ 参加者の御感想


参加者の御感想

2011/05/06に実施した中京大学 心理学部1年の皆さんのレポートです。

講演風景1 講演風景2



Aさん 

 高校の生物の授業で実際にミラクルフルーツの実を使って実験しました。が、数が足りなくて私は食べれなかったので今回試食できてよかったです。その時はミラクリンなどの成分の説明は受けましたが、味を感じるしくみや味覚の詳しい説明は受けていませんでした。私は元々栄養とか味覚に興味があったので、講義の最初から最後まで、ためになる話が聞けてよかったです。
 味蕾は味を感じるところなので、全ての生物の舌にあるものだと思っていました。だけど、人間は舌だけでなく上あごや喉、ナマズには体の表面に、チョウは手にも味蕾があると聞いて驚きました。同じ人間でも赤ちゃんと大人というだけで味蕾の数が違うというのも初めて知りました。それらの味蕾の存在の理由が、自分たちの生活環境に対応するため、生き延びるためである事を知って生き物はすごいなって思いました。そういうものの存在理由に無駄なものは1つもなくて、自分たちが生きていくのに役立つものを身につけて、進化していくのだと思いました。
 味覚障害について、私は偏った食生活を送っているが故に、よく食べるものの味しかわからなくなる障害だと思っていて、特定のものに限らず味を感じる事ができないという深刻な問題だとは思っていませんでした。また亜鉛という特定の物質の不足が味覚異常の原因という事も知りませんでした。加工食品やファストフードに頼りすぎた食生活は、亜鉛が含まれていないだけでなく、添加物が体内の亜鉛を追い出してしまうという2つの悪影響を及ぼすので、食生活に気をつけようと思いました。
 味覚について知る事は私たちの生活をより良いものにしてくれます。まず第一に味覚障害のような偏った食生活の悪影響を知る事で、自らの食生活を改善し、そのような症状を未然に防ぐことができます。そして第二にうま味の相乗効果や人間は五感をフルに使って味わう事を知れば、普段の食事にひと手間加えるだけで食事を美味しくとる事ができます。例えば、普段の料理に香りのあるものを上にのせる、料理の完成時の色を考えて食材を選ぶ、など小さな事でより美味しく感じる事ができると思います。
 ミラクルフルーツなどの味覚修飾植物の今後の展開として、糖尿病患者への適用されたと今回の講義で知りましたが、とてもいい事だと思います。好きなもの(甘いもの)を食べられないという事は、患者のストレスにもなり得る事だと思うのでメンタル的にもいい効果を表すのではないかと思いました。また、これらは糖尿病患者だけでなく、ダイエットをしているなどの若者にも適用できると思います。しかし反対にミラクルフルーツなどの味覚修飾植物が流通して簡単に手に入れる事ができるようになれば、苦いものや酸っぱいものそのものの味を楽しむ人が減ってしまう可能性があるのではないのでしょうか。子供のは苦いものや酸っぱいものを好まないので、甘いものばかり食べて大人になると、そのような人になってしまう可能性もあると思います。そのままいくと5つの基本味が減ってしまう事も考えられ、そう思うと少し怖いなぁと思いました。



Bさん 

 今回の味覚の講義を受けて、赤ん坊の味蕾が成人のものよりも多いという事が意外で驚いた。人形の靴に苦味成分を塗ってあるというのは知っていたけど、赤ん坊の方が味覚が敏感であるからだとは知らなかった。また、味蕾の数についても知らなかった事が多かったが、分布についても知らない事が多かった。味蕾は舌にしかないと思っていたけど、実際ギムネマの実験をした時、食べ物がのどの奥の方まできた時には味を感じる事ができて、のどの奥にも味蕾があることを実感できた。味蕾が二酸化炭素に敏感であるという事を聞いて、だから炭酸医療を飲んだ時に喉に爽快感がくるのかと納得できた。「渋味」「えぐみ」は味として存在せず、口の感覚が苦味と合わさったものであるという事も初めて知った。という事は、口の中の感覚を変えれば、同じものを食べた時でも「渋味」「えぐみ」を感じる時と「苦味」を感じる時に変化させる事ができるのではないかと思った。また、「味覚障害」という病名は知っていたが、単に「味がわからなくなるだけ」という認識しかなかった。ギムネマで模擬的に体験しただけであれほど苦痛だったのに、長期間となると想像もつかない苦痛だろうと思った。今回講義を受けた事で、味覚について少なからず知る事ができた。しかし、実際ミラクルフルーツが医療の現場で使われているという事を知らない人も多いと思うし、まして病気を持っている当事者でも知らない人が多いと思う。味覚修飾植物の事をより多くの人に、正しい情報として知ってもらう事が大切だと思う。より多くの人に知ってもらって興味を持ってもらい、研究に携わる人が増える事が、味覚修飾植物の未来を切り開く一歩になると思う。今回の講義で味覚について多くの事を知る事ができた。当たり前に感じている味覚を自分が今、感じられている事がすごく幸せな事だと思った。味を感じる事にありがたみを感じるべきであり、食べ物も残さず食べきるべきだと思った。



Cさん 

 今回の講義でたくさんの事に関心を抱いたが、特に興味を持った事が2つある。
 1つ目は味覚障害についてだ。毎年24万人の人が日本で発症しているという事実を知った時、全く馴染みのない言葉にピンとくるものはなかったが、実際に味覚障害の疑似体験をする事によって、深刻さと自分が正常な舌である事へのありがたみを感じた。味覚障害の原因が加工食品やファストフードの添加物にあるという事はますます味覚障害の人が増える可能性がある事を示唆している。もっとこの事を世間が知り、食生活を改善する事、そして亜鉛の含まれている食材を知る事が必要であると思う。また、私はこの講義で味蕾の存在を初めて知ったし、味蕾の重要性も知らなかった。味覚、舌について正しい知識を身につける事も必要であると思う。
 2つ目はミラクルフルーツなどの味覚修飾植物が糖尿病患者に適用するという事だ。私は、親族に糖尿病の人がいるのである程度知識はあったが、ミラクルフルーツというものを初めて知ったからだ。実際に食べてみて、本当に効果が表れそうだと実感した。栄養のあるものを甘く食べる事ができるのはストレスもなくできる事である。だが改めて糖尿病の治療法について調べてみても、味覚修飾植物の利用の事はほとんど書かれていない。講義の話の中の、西アフリカの人が実際に栄養のある酸っぱいものをミラクルフルーツを食べたあとに食べて栄養を摂っているという話を聞き、日本でももっと率先して取り上げ世間に浸透させ、実践していくと良いと思う。また、このミラクルフルーツは糖尿病改善を目的とした食品ではないので、カロリーを控える事はできるが、今のところ生活習慣の改善の効果が確認とれていない。ミラクルフルーツを使用し、さらに他の治療法を進めていく事がいいと思われる。
 今回の講義で様々な新しい事を知ったが、これは全て世に広まるべき知識ばかりである。この実験を通して今の自分の味覚がいかにありがたいものか、また、味覚障害の苦しみを実感した。進行している味覚障害や増加傾向のある糖尿病や肥満患者には特にミラクルフルーツの存在を知ってもらいたい。更なる医療現場での味覚修飾植物の活用を期待している。



Dさん 

 島村先生の講義を受けて、第一印象だけでなく、食事をする時の雰囲気、またその食物に関する経験によっても好みが決まると知り、とても興味を持ちました。そして、小さい頃から言われていた「食事は楽しく食べましょう」という言葉にとても納得がいきます。この講義がきっかけで、味覚と心理学の関わりを調べようと思いました。また、動物によって味蕾がある部位が違うこと、味の種類によって舌の感度がかわること、そしてそれが生まれつき備わっていることに対してとても興味がわきました。
 味覚は食事に欠かせない要素で、味覚が働かなくなることで食欲が落ちたり、誤って腐敗物を食べてしまうこともあります。また、腐敗物だけではなく、毒物を見分けることもでき、人間に生まれつき備わっている機能です。食べることによってカロリーを摂取するだけではなく、経験と学習を得ることができるので、人間にとってとても重要な機能だと言えます。
 しかし、食生活によって味覚障害を引き起こすこともあります。特に近年の若者がファストフードやスナック菓子ばかりを食べることにより、ビタミンやミネラルを摂取できないのと同時に、体内の亜鉛を追い出してしまうのが原因であると言われています。また、ビタミン、カルシウムや亜鉛などのミネラルが不足することで、イライラしやすい傾向があります。
 この問題の対策として、一人一人が味覚の重要性や食生活の乱れが引き起こす障害を理解し、食事に気をつけることにより改善されていくと思います。
 食物の偏りはミネラルやビタミンの不足をもたらすと同時に、栄養の偏りが起こるため、バランスの良い食生活を心掛ける必要があります。特に最近の食事は飽食の時代と言われるように、高脂肪の食生活になりがちになっています。そのために糖尿病や成人病に大きく影響を与えていると思われます。私たちはバランスの良い食事を摂るとともに、カロリーや糖分の摂り過ぎに注意するべきだと思います。しかし無理な食事制限は健康を害する原因になるので、ギムネマを摂取し糖分を吸収しにくくすることはとても効果的なことだと思います。また、レモンなど体に良い成分が含まれているが、摂取しにくい食物を食べやすいように、ミラクルフルーツなどの甘味誘導物質を含む植物を使用することも良いと思います。また、なるべく薬に依存しすぎないために、味覚修飾植物などを利用して改善するべきだと思います。



Eさん 

 私は今まで味覚やミラクルフルーツ、ギムネマなどについて、全くと言っていいほど知らなかったので、今回の講義はとても興味深いものでした。まず驚いたことは、味覚地図が間違いであることです。私は以前この図を見たことがあり、「人はこうやって味を感じているのか」と思ったことがありました。でも、そうではなく、人には味蕾というものが舌全体だけではなく上あごや喉にもあり、そこで味を判別しているのだということをきちんと知ることができました。味蕾のお話でとても面白いと感じたことは味蕾での味の判別方法は鍵と鍵穴の関係になっていることです。私が普段こんな風にして味を感じることができるなんて思ってもいませんでした。これから何かを食べて味を感じる度に、このことを思い出しそうです。味覚実験はとても楽しいものでした。大好きな甘いものである砂糖とチョコレートが、ギムネマを食べるだけであんなにおいしくなくなるなんて…。あんなに美味しくなかった砂糖とチョコレートは初めてでした。私の知り合いに薬の副作用で味覚障害になってしまった人がいます。その人は以前「何を食べても美味しくない」というようなことを言っていました。そのとき私は味覚障害がこんなに辛いものだなんて少しも思っていませんでした。少しではありますが味覚障害を疑似体験できたことは本当に良かったと思いました。ギムネマは味覚障害の方々の周囲の人々が味覚障害について理解する手助けをしてくれるのではないかと思いました。私はチーズとレーズンが嫌いで、食べようと思えば食べられるのですが、どうしても美味しいと思えません。でも今回好き嫌いのメカニズムについて知る事ができたので、チーズとレーズン嫌いの克服に本気でチャレンジしてみようと思います。その食べ物が持っている味は同じままなはずなのに、「美味しくない」と感じていたものを「美味しい」と思うようになるなんて、人の味覚は不思議だなと思います。私も小さい頃はピーマンが苦手で、コーヒーなんて全然おいしくないと思っていました。苦いから美味しくない、苦手だと感じている事は自分でもわかっていましたが、まさか苦味は毒物のシグナルとして認識されているからだなんて驚きました。今、普通に暮らしていると、毒物や腐敗物、熟していない果実は口にしないだろうに、人間はそういったものを識別しようと生まれながらにインプットされているなんてすごいなぁと思いました。私は今まで「味覚」について真剣に考えた事がありませんでした。一人暮らしでどうしても寂しい食事になってしまいがちなのですが、少しでもより「美味しさ」を感じられるよう、日々の食事の際、工夫していきたいと思います。今回この講義を受けて味覚について考えるきっかけを得られて本当に良かったです。