今まで味覚については、1年生の時の講義や実験等で調べたり、学んだことがありました。その時、私は本やホームページ等で味覚地図を調べたのですが、どれも異なった情報ばかりででよく分からないままになっていました。しかし、今回の講義を受けて、やはり様々な味(五味)は舌全体の味蕾、または軟口蓋(上あご)や咽頭(喉)にある味蕾で感じ取っているということがわかりました。つまり、味覚地図は間違いであったということが明らかになりました。また、その味蕾の数が成人よりも赤ちゃんに多かったり、ナマズに至っては200,000個もあると知って驚きました。味の感覚を敏感にするには、訓練や経験をどれだけ積んできたかということが重要であり、味蕾の数は関係ないということもわかりました。さらに、蛇は2〜3個、にわとりには約20個と味蕾の数がとても少ない生物もいると知って驚きました。
動物にとっての味覚は人とは違い、生きていく上で役立つものだけがおいしいと感じるそうですが、私たちの場合、様々な情報や見聞から、つまり“経験と学習”が人にとっての味覚になります。また、それによって変わってくる好き嫌いのメカニズムを聞き、自分に置き換えて考えてみました。私はパイナップルが苦手なのですが、元々母親もパイナップルが嫌いであまり食べなかったということと、初めて食べたパイナップルが口に合わなかったのがきっかけで苦手になりました。その後、克服しようといくらか努力したのですが何度試しても、どうしても受け付けませんでした。しかし、缶詰のパイナップルではなく、いつか沖縄やハワイにあるような天然のおいしいパイナップルを食べれば、克服することができるのかなと思いました。人によっておいしいと感じるかも様々であり、様々な要因があるということがわかりました。
近年、亜鉛の欠乏によって起こる『味覚障害』が若者の間で多いとありましたが、亜鉛というのは基本的にどの食品にも含有されているため、普通の食生活をしていれば、まず欠乏するということはありません。しかし、無理なダイエット等で栄養の偏った生活をしていると亜鉛不足となってしまうため、常日頃から、バランスの良い食生活をすることが大切になってくると思いました。ギムネマで実際に疑似体験をしてみて、改めて味覚障害の恐ろしさを感じました。また、ミラクルフルーツを使った実験では、酸味とミラクルフルーツに含まれる“ミラクリン”という物質が結合して甘味の鍵穴に入り込むことによって、酸味が甘味に変わってしまい驚きました。酸っぱいレモンも2杯も飲んでしまうほどでした。ギムネマやミラクルフルーツのような植物を『味覚修飾植物』というそうですが、これを応用していくことができると私も思いました。やはり、糖尿病患者さんであっても、あれもだめこれもだめと言われてしまうと治療はともかく、食事も楽しくなくなってしまったり、ストレスが溜まったりします。しかし、酸っぱいケーキを作って食べる前にミラクルフルーツのタブレットを食べることで甘いケーキとして食べられたり、ギムネマを糖分の吸収を抑えるために利用したりと医療現場においても様々な活用法もあると知って感動しました。これらの利用によって今後、糖尿病患者さんのQOLの向上をさせていくことはとても大切なことだと思いました。
今回の講義を通して、私たちは普段様々なものを食べていますが、“美味しい”、“まずい”と感じられるのは味覚が正常にある証拠であるということ、この当たり前のことを幸せだということだと思いました。私は今後栄養士として職に就くつもりですが、栄養教育、食育等で味覚障害のこと等を訴えていけるよう努めていきたいと思います。
*参考文献*
・ビジュアルワイド 食品成分表
著者 : 新井 映子、新山 みつ枝、柳沢 幸江
発行者 : 東京書籍株式会社
発行年 : 1995年 初版発行
・イラスト 食品学総論
著者 : 種村 安子
発行者 : 鳥飼 好男
発行所 : 東京教学社
発行年 : 2001年 初版発行