甘いものが大好きな私にとって今日のお話はどれもとても興味深いものだった。はじめにお話しされたのは味蕾についてであった。成人で6000個〜9000個存在するそうだ。では味蕾の多い人はどんな人?という質問に私は、好き嫌いが激しい人かなと思っていた。味蕾が多いから食べ物の味を感じやすく敏感に反応してしまうのではと思ったからだ。もちろん見当違いであった。答えは赤ちゃんである。赤ちゃんはものがあれば何でも口に入れてしまう。これは食べたら危険だという知識と判断能力がまだ発達していないためだ。では赤ちゃんはどうやって危険を察知しているのか。その答えが舌の味蕾なのである。赤ちゃんは苦味を毒のシグナルとして、酸味を腐敗のシグナルとして受け取る。つまり危険性の判断を味蕾で行っているのである。そのため成人に比べ味蕾の数が多い。赤ちゃんの味蕾の多さは自身を守るための一つの手段であったのだ。この答えには納得であった。
これなら幼い子供がピーマンを嫌がるのも納得できる。毒としてのシグナルが解消されていないからともいえるのだろう。私自身小さい頃野菜が全く食べられず保育園の先生に「この子はなんの野菜なら食べられますか」と聞かれたと母が話してくれたことを思い出す。そんな私が今では野菜が大好きになっている。自分ではなぜだろうとずっと思っていたが、今日の講義を聞いて、この味蕾数の変化(危険性判断の手段の違い)や好き嫌いのメカニズムの話に出てきた第一印象、雰囲気、経験、その食べ物に対する情報を頭の中で書き換えていたことに起因するということがわかった。
また子供の頃の味覚形成が非常に重要だという話は興味深かった。私の野菜の好き嫌いがなくなったのは家族みんなで食事をするという楽しい食卓の雰囲気、豊富なメニューがあったからなのかも知れない。将来自分も親となった時に、子どもの味覚を作るのは親の責任だという自覚を持って食事メニューを決定したり、楽しい食事の場をつくってあげられたらと思う。
講義の最後にはミラクルフルーツを体験した。とにかく驚いた。甘いものが大好きな自分にとって、酸っぱいのに甘い低カロリースイーツは魅力的だ。しかし和菓子への応用はまだできていないとの話だった。確かに小豆などの微妙な甘さなど、たとえミラクルフルーツを使ったとしても違う甘味になってしまったり、酸味として使えるものが少なかったりなど、応用は根気のいる研究だと思った。しかし和菓子への応用が可能になればあまり洋菓子を食べない高齢者向け商品など多く市場に出回るのではと期待できる。