最近、「食育」という言葉を耳にする機会が増えてきているように感じる。私自身、「食育」には大変関心を持っている。というのも、子どもたちは好き嫌いが多く、ジャンクフードを好むといった偏った食事をしていたり、あるいは塾等に通う子どもの増加による孤食など、食事に関する様々な問題が浮き彫りになってきているからである。そこで、学校教育における給食指導には非常に大きな意味があるのではないか、と個人的に給食の重要性を考えている。ところが、給食費を支払わない家庭が増えているという現状があるのもまた事実である。
私たちが物を食べたときにおいしい(甘い、しょっぱい、すっぱい等)と感じるのは、全て、ひとつの味蕾だけで判断しているのではなく、それぞれの味蕾にそれぞれの役割があったということをこの講義を通して初めて知った。これは非常に驚きの事実であった。また、赤ちゃんの時には12,000個もあった味蕾が大人になるにつれて減っていくという話や、ソムリエ等といった食通の人たちは、他の人と比べ、単に処理能力が高いだけで味蕾の数は基本的に同じということも分かった。さらに、なまずは約200,000個もの味蕾があるのに対し、ヘビは2個、ニワトリは30個と圧倒的に味蕾の数が少なかったが、それはそれぞれの生物の生活環境や行動の仕方によって変えられていると知った。なまずやヘビやニワトリ、ハエはそれぞれが生きやすいよう、それぞれに合わせてつくられている。生物の体というのは実に都合のよい構造に出来ているのだと感じた。味蕾は一ヶ月間かけて新しいものに生まれ変わっていく。加工食品に頼りすぎた食生活がなぜいけないといわれているのか、私は単に調味料が多く含まれているとか、野菜不足による栄養バランスなどといったことが問題なのだろうと、その意味をきちんと理解していなかったように思う。しかし、こうした食生活を繰り返した結果、加工食品に含まれる添加物が体内の亜鉛を追い出し、亜鉛不足が味覚障害を引き起こす要因となるということが分かった。こうした事実をきちんと把握していれば、なぜ好き嫌いがよくないのか、なぜバランスの取れた食事をしなければならないのか、カップ麺やスナック菓子といったものばかりを過剰に摂取し続けたらどうなるか、子どもたちに納得させるための論理的な指導を行うことができるだろう。実際教育の現場に出たら、単に強要するだけではなく、こうした正しい知識をもとに適切な説明を通して食事の指導を行っていきたいと思う。また、更なる研究が進められ、糖尿病や高血圧などといった病気を持つ人たちにも役立っていくといいと感じた。