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■ 参加者の御感想


参加者の御感想

2006/10/2に実施した名古屋女子大学家政学部食物栄養学科4年の皆さんのレポートです。



Aさん 

 1.味を感じるしくみ
 私たちの舌には、有郭乳頭・茸状乳頭・葉状乳頭・糸状乳頭という4種類の乳頭があり、その中にある味蕾によって味を判別しています。
 授業では「味覚地図」を使って、味は舌の場所によって感じ方が違うと習っていたため、先生が「ギムネマの葉を舌全体にこすりつけてください」と何度も言っていた理由が最初はよく分かりませんでした。しかし、砂糖やチョコレートで甘味がまったく感じられなくなる体験をして、味は舌全体で感じているということを実感できました。普段食べ慣れているものから甘味が消えることは、とても不思議で面白い体験でした。
 また、味覚は鍵と鍵穴の関係で感じられ、味蕾の数には個人差があります。赤ちゃんは体験したことのない味を判断する必要があるため、成人の約2倍の12,000個もの味蕾を持っています。生きていくために体のしくみが工夫されていることを改めて感じました。

2.動物にとっての味覚と、人にとってのおいしさ
 動物にとっての味覚は「生きるために役立つものがおいしいもの」であり、人間にとってのおいしさは「経験と学習」によって作られます。
 草食動物や肉食動物は、生きるために体のしくみを変化させたり、食べる順番を決めて必要な栄養をとったりしています。一方、人間は経験や文化によって味の感じ方が変わります。日本は軟水で素材の味をいかす料理が多く、欧米は硬水のため全体の味をまとめる料理が多いという違いもあります。そのため、旨味が国際的に認められるまで時間がかかったという話はとても興味深いものでした。
 また、味は味覚だけでなく五感を使って感じているため、どれか一つ欠けるだけで味の感じ方が変わります。私自身、トマトは食べられるのにトマトジュースが飲めないのは、過去に吐いた経験があるからだと気づき、経験が好き嫌いに大きく影響することを実感しました。
 好き嫌いを直すには「自分が直したいと思うこと」が大切だという話も印象に残りました。味覚形成は9〜12歳に行われるため、この時期にきちんと形成されないと奇食に走る可能性があると聞き、少し怖くなりました。自分の子どもが嫌いなものをどう工夫して食べられるようにするかは、親としての課題だと感じました。 3.味覚修飾物質・味覚修飾植物(ミラクルフルーツ、ギムネマなど) 味そのものを変えるのではなく、舌に作用して味覚を変える物質が味覚修飾物質です。これらは西アフリカ・インド・マレーシアなど、日本とは環境の異なる地域で育つため、日本で栽培するのは難しく、生態系の問題から簡単に持ち出したり輸入したりできないという課題があります。そのため、多くの人が今回のような体験をできないのは残念だと感じました。
 一部の小学校ではギムネマを育てていると聞き、自分たちで栽培し体験までできることがとても羨ましく思いました。ゼミでラットを使った実験をしているため、グルマリンという味覚修飾植物にも興味を持ちました。人と動物では鍵穴が違うため、感じ方が異なるという点も非常に面白いと感じました。

<感想>
  今回、ギムネマとミラクルフルーツの味覚修飾植物を体験し、普段感じている味が消えたり、すっぱいものが甘く感じられたりと、とても不思議で貴重な体験ができました。
 ギムネマを食べたとき、甘味がなくなるなんて信じられないと思っていましたが、実際に砂糖が砂のように感じられ、チョコがバターのような粘土の味になったことには本当に驚きました。普段好きなものでも甘味がなくなるだけで、こんなに食べたくなくなるのかと実感しました。
 ミラクルフルーツは育てるのに7年もかかるほど難しく、果実を食べられなかったのは残念でしたが、タブレットでもグレープフルーツジュースが甘く感じられました。糖尿病患者の生活改善に使われていることを知り、とても興味深かったです。
 家で家族に聞いてみると、ミラクルフルーツを知らない人が半数以上で、まだ世間ではあまり知られていない植物なのだと感じました。生活習慣の改善に使うには、最初は抵抗があるのかもしれないという不安もありました。
 また、班の中には舌全体にこすりつけているのに甘味や酸味がすぐに戻る人もいて、唾液分泌量と味覚修飾物質の関係についてももっと知りたいと思いました。



Bさん 

 今回の講義では、味覚のしくみを自分の舌を使って体験しながら学ぶことができました。「味覚」は動物が生きていくために役立つだけでなく、私たちのQOL(生活の質)を高めるためにも欠かせない五感のひとつであることを改めて実感しました。
 味を感じる味蕾は舌だけでなく、上あごやのどにも存在し、鍵と鍵穴のようなしくみで味を判別しています。ナマズは体表に多くの味蕾があり、濁った水の中でも相手を探せるなど、動物によって味覚の使われ方が大きく異なることを知り、とても興味深く感じました。
 好き嫌いのメカニズムでは、①第一印象 ②雰囲気 ③経験 が大きく関係していると聞き、私自身の経験にもよく当てはまっていて驚きました。今ではほとんどの食べ物を好んで食べられるようになったのは、頭の中の情報が変化したからだと思います。味蕾の基礎は9~12歳で形成されるため、この時期にさまざまな食べ物を楽しい雰囲気で経験させることが大切だと感じました。将来、視覚や嗅覚など五感を意識して食事を提供できる管理栄養士になりたいという気持ちがさらに強くなりました。
 味覚修飾植物については、ミラクルフルーツは知っていましたが、クルクリゴやナツメは初めて知りました。ギムネマも名前しか知らなかったので、実際に体験できたことはとても貴重でした。ギムネマでは甘味が完全に消え、チョコや砂糖がおいしくなくなる体験を通して、味覚障害の人の大変さを実感しました。後日友達にも試してみたところ、2人とも甘味が消えることに驚いていました。過食の人に用いられているという話も興味深く、効果を見てみたいと思いました。
 ミラクルフルーツでは、普段はすっぱいレモン汁が抵抗なく飲めるほど甘く感じられ、とても驚きました。タブレットは干し梅のような味でおいしく、機会があれば実際の果実も試してみたいです。舌では甘く感じても、のどでは酸味が強くチクチクしたため、のどにも味蕾があることを体験を通して理解できました。ポッカレモンとポンカンのおかわりが続いた光景はとてもおもしろかったです。ミラクルフルーツが糖尿病患者の生活改善に利用されていることも知り、非常に有用だと感じました。育てるのが難しいため、先生の作ったタブレットがもっと広まるといいと思います。ミラクルフルーツ用のお菓子として、低カロリーで食物繊維の多いものを開発できたらおもしろいと感じました。梅まんじゅうのアイデアも興味深いです。
 今回の講義で味覚について多くのことを学び、とても勉強になりました。風邪をひいていたため、他の人より効果が弱かったのが少し残念でしたが、今回学んだことを今後に生かしていきたいです。ありがとうございました。



Cさん 

 人間は味覚、聴覚、視覚、触覚、嗅覚の五感で味を感じている。本日の実験は、五感のうち味覚に関する不思議な実験だった。
 実験内容は、人間の舌や上顎、喉に存在する味蕾で行われている、味を脳へ伝えるためのしくみ(鍵と鍵穴の関係)に味覚修飾物質がイタズラをするというもの。味覚修飾物質を含む味覚修飾植物には、ミラクルフルーツ、ギムネマ、グルクリゴ、クルクリン、ストロジンなどがある。今回は、ミラクルフルーツとギムネマを使って実験した。

【ギムネマ】
実験方法…①チョコレート、砂糖が甘いことを確認。      
②葉の1/6程度を30秒嚙みながら舌全体に擦りつける。
③再びチョコレート、砂糖を食べる。
原理…ギムネマ酸という糖配糖体が、味蕾の甘みを感じる部分の鍵穴を覆うため、甘みを感じることができなくなる。
結果…チョコレートは油っぽさしか感じなくなり、砂糖はジャリジャリとした触感しかなかった。甘党の私には、甘みの無くなったチョコレートや砂糖は、幸せを感じる食べ物ではなくなっていた。しかし、舌の奥までギムネマを擦りつけることができなかったので、少し甘みを感じた。このことから、味覚地図が間違っていることを自分の体で理解することができた。

【ミラクルフルーツ(タブレット使用)】
実験方法…①レモンヨーグルト、グレープフルーツジュースが酸っぱいことを確認。      
②タブレットを1分程舌全体に擦りつける。      
③再びレモンヨーグルト、グレープフルーツジュースを食べる。
原理…ミラクリンという物質が、味蕾の甘みを感じる部分の鍵穴に結合し、本来この鍵穴には結合できない酸味を感じる物質が結合できるようになる。このため、酸っぱいものを食べても甘く感じる。
結果…レモンヨーグルトもグレープフルーツジュースも砂糖を加えてあるみたいに甘く感じた。ただ、砂糖の甘みという感じがしたので、100%グレープフルーツジュースは50%ジュースのような味になり、本来のおいしさが半減したような気もした。レモンヨーグルトは、加糖のものの様においしかった。ミラクリンの作用を利用し、砂糖を減らした低カロリーのお菓子を研究していると伺ったが、和菓子が難しい理由のひとつがわかった気がした。というのも、ミラクリンによって砂糖らしい甘味は感じるけれど、和菓子ではハチミツもよく使われるため、そのような味はミラクルフルーツタブレット摂取後の再現が難しいのではないかと感じた。既にインターネット上で販売されているという洋菓子は食べてみたいと思った。
 本日の講義を受けて、いろいろな味覚修飾植物があることを知った。ミラクルフルーツやギムネマについては少し知っていたが、これらによって一時的に味覚が変わってしまう理由がわからなかった。味蕾で味覚修飾物質がどのように働くか学んだことで、もっと詳しく知りたいと思った。人間と他の動物の味蕾の数や存在場所の違いについて、人にとってのおいしさについてなど、今まで栄養学を勉強した中では知ることができなかったような面白い知識も得ることができて本当に良かった。家に帰り、早速授業と同じ手順でギムネマの葉を用いた実験を家族に行ってみた。家族は皆この不思議な体験でとても盛り上がり、そのしくみを知りたがったので、授業で島村先生から学んだことを自慢げに講義し、楽しい時間を過ごした。過食症や糖尿病の方への食事療法もすばらしい使い道だが、健康な人にとっても、おいしさや食への興味関心を深めるための良い教材になると感じた。



Dさん 

 今回の講義を通して、味覚のしくみや動物による味蕾の違いについて、初めて知ることが多くとても興味深かったです。動物の種類によって味蕾の数が大きく異なること、さらに味蕾が必ずしも口の中にあるわけではなく、ハエのように手に存在する場合もあることに驚きました。ハエがよく手をこすり合わせている理由が、味を感じるためだと分かり納得しました。
 また、味は「生きていくうえで役に立つものをおいしく感じる」というしくみで成り立っていること、人間の好き嫌いは第一印象や経験によって形成されることも理解できました。特に、9歳~12歳までに正しい味覚を形成することが重要だという話は印象に残りました。好き嫌いを直すには、おいしい料理を工夫したり、自分自身が「直したい」と思うことが大切だと知り、納得しました。
  ギムネマやミラクルフルーツについてはテレビなどで知っていましたが、実際に体験してみると想像以上に興味深く、味覚について深く考えさせられました。ギムネマを摂取した後にチョコレートを食べると、甘味がほとんど消え、わずかにカカオの苦味だけが残りました。砂糖もザラザラした触感だけで、味がしない食べ物を初めて食べたため、とても不思議で「おいしくない」と感じました。普段、甘味・苦味・塩味など何かしらの味があるものばかり食べているので、味がないことの衝撃は大きかったです。この体験から、味があるからこそ「おいしい」と感じられるのだと実感しました。
 ミラクルフルーツでは、ポッカレモンやグレープフルーツジュースが甘く感じられ、まるで甘いジュースを飲んでいるようでした。病院実習で、甘いものを控えるよう指導されている患者さんが「どうしても甘いものが食べたい」と訴えていた場面を思い出しました。もしミラクルフルーツのようなものが簡単に手に入れば、砂糖たっぷりのお菓子でなくても甘く感じられ、ストレスを減らしながらエネルギー制限ができるのではないかと感じました。患者さんだけでなく、栄養指導を行う栄養士さんの負担も軽くなると思います。
 ギムネマとミラクルフルーツを比べると、ミラクルフルーツの方がより利用価値が高いと感じました。ギムネマで甘味を消して「甘いものを食べたくない」と思うよりも、ミラクルフルーツで「甘くないものを甘いと感じて食べられる」方がストレスが少ないからです。将来、より実用化が進むことを期待しています。



Eさん 

 今日の講義は、私にとって驚きと新しい発見の連続でした。「味覚」というテーマを通して、今まで知らなかった多くのことを学ぶことができました。 まず印象に残ったのは、動物にとっての味覚についての話です。食物栄養学科で学んでいながら、動物の味覚について深く考えたことはありませんでした。人間中心の学びが多かったため、とても新鮮に感じられました。 なまずは味蕾が体表面にも多く存在し、視覚が弱くても味覚でエサや敵を感知できること、ハエは手足に味蕾があり、手をこすり合わせる行動が味覚と関係していること、ヘビや鳥は味蕾が少なく、触覚でエサを判断していることなど、それぞれの動物の生活に合わせて味覚が進化していることに深く感心しました。味覚を通して動物の進化を考えるきっかけにもなりました。
 次に、人にとってのおいしさのメカニズムについての話も非常に納得できるものでした。人間のおいしさは、生理的・文化的・情報・薬理学的な要素で構成されていますが、私は特に「情報に基づくおいしさ」に興味を持ちました。「清潔だけど嫌」「よく分からないけどいいや」という感覚は、自分にも心当たりがあります。現代は情報があふれている一方で、情報がなければ判断できない場面も増えています。だからこそ、情報をそのまま受け取るのではなく、正しいかどうか判断する力を養うことが大切だと感じました。これは食に限らず、生活全般に通じることだと思います。
 最後に、ミラクリンの味覚を実際に体験できたことは、驚きと感動の連続でした。ミラクリンを用いた糖尿病用デザートの話もとても興味深く、どの程度実用化されているのか気になりました。商品バリエーションを増やしたり、他の疾患向けに応用することで、さらに有用性が高まるのではないかと感じました。
 本当に貴重な体験をさせていただき、ありがとうございました。



Fさん 

 《講義について》
 食には栄養としての役割だけでなく、「おいしさ」という嗜好面の役割も大きい。今回の講義では、そのおいしさを支える味覚について学ぶことができ、管理栄養士をめざす私にとって非常に興味深い内容だった。
 特に驚いたのは、これまで教科書で学んできた「味覚地図」が誤りであるという点だった。味は舌の一部で感じるのではなく、唾液によってすぐに広がり、舌全体で感じていること、さらに味蕾の約3割は上あごやのどにも存在していることを知り、納得することができた。試食の際にも、味の種類ではなく、味覚修飾物質が舌全体に行き届いているかどうかで味の変化が大きく異なり、体験を通して理解が深まった。
 また、好き嫌いや人にとってのおいしさの話から、子どもの頃の食経験がいかに重要かを再認識した。食習慣や味覚の基礎が形成される時期であるため、今注目されている「食育」は未来を見据えて取り組むべき大切な活動だと感じた。

《試食を含む味覚修飾物質(ミラクルフルーツ、ギムネマ)について》
 教科書で名前だけ知っていた味覚修飾物質を、実際に自分の舌で体験できることを楽しみにしていた。プリントの漫画を読んで半信半疑だったが、ギムネマを試した後の砂糖はただの砂のようで、チョコレートはバターの風味が強く、決しておいしいとは言えなかった。味がほとんどしない食べ物を初めて食べたため、強い違和感と驚きを覚えた。
 ミラクルフルーツでは、あれほど酸っぱかったレモン入りヨーグルトに甘味を感じ、ポッカレモンをおかわりするほどだった。味覚がここまで変化することを体験できたのは非常に貴重だった。
 講義で見せていただいたミラクルフルーツの鉢が3年ものだと聞き驚いた。通常は実ができるまで7年かかり、温度管理などの手間も大きいが、その分、糖尿病患者への応用など活躍の場は広い。薬ではないことで患者の心理的負担が軽くなる点も魅力的だと感じた。さらに、タブレットとして実用化されていることで、忙しい現代の生活にも取り入れやすいと感じた。

《まとめ》
 食は五感をフルに使って味わうものであり、なかでも味覚の役割は大きい。見た目がどれほどおいしそうでも、口にしてまずければ期待は裏切られる。今回の試食でも、見た目や経験から「おいしい」と思っていたチョコレートが、味覚修飾物質によってまずく感じられ、食欲が失せるという体験をした。
 私は4月から食品会社へ就職する予定である。将来、商品開発の仕事についた際には、ポカリスエットの山での官能検査や、CMに起用するタレントの選び方、見た目を楽しむための低カロリースイーツの話などを参考にしながら、人々のニーズに応え、多くの人の笑顔につながる食を提供したい。
 管理栄養士という食のプロをめざすうえで、味覚修飾物質のようにまだ口にしたことのない食べ物は積極的に経験していきたい。活字だけの知識で終わらせず、体験し、実践につながる知識をさらに身につけていきたい。
 特別講義と貴重な実験を、本当にありがとうございました。