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■ 参加者の御感想


参加者の御感想

2005/5/6に実施した中京大学心理学科1年の皆さんのレポートです。



Aさん 

 味覚を変えるフルーツがあるといううわさは昔聞いたことがありました。しかし、それが一体何という名前でどのような形をしているのかはわからず、いつか食べてみたいという思いだけ持っていました。今回、このような形でミラクルフルーツやギムネマの試食をさせていただいて本当にうれしく思います。講義内容もとても興味深いものでした。
 味を感じるしくみとして味蕾という細胞があり、亜鉛が欠乏すると味蕾が作られなくなり、味がわからなくなるという簡単なことは昔「あるある大辞典」を見て知っていましたが、あまり詳しいことは知りませんでした。更にショックなことは味覚地図。昔、授業で教えられたことが間違いだったなんて。先生の言うことは全部本当のようにとってしまうけど、必ずしもそうではないということを実感しました。
 味覚地図の話はつい最近も誰かが話していたのを聞いた気がします。「シャンパンは本当はすっぱい、けど酸味を感じないように細いグラスで舌の横に広げないように一気にのどに流し込む」と言っていました。これも間違いなんでしょうか。それともある程度、甘味や酸味など感じる細胞には散らばり具合の差があり、はっきりとした区分けはされなくても酸味を感じやすい場所というのは存在するのでしょうか。また調べてみます。
 ミラクルフルーツなど味覚修飾植物は今回お話を聞くまでは本当によく知らなかったのですが、たくさんの種類があって驚きました。特にギムネマはダイエット食品として普通にあるので、まさか甘味を感じなくさせる植物だとは思いませんでした。なつめは日本にもあるということなので、ぜひ手に入れて試してみたいと思っています。
 味を判別するというのを鍵と鍵穴の関係で例えるのはとてもわかりやすいと思っています。高校のときの資料集でもテレビでもそのような例で紹介されていたので、やはりたくさんの方に受け入れられている例えとしても素晴らしいと思います。私としては、ある程度この説明で理解できたので、実際はどのように受容器が反応しているのかを見ることができたらとてもうれしいのですが、やはりそれは難しいのでしょうか。
 最後に試食の感想です。ギムネマ、本当に甘さを感じなくなりました。砂糖はざらざら……。チョコレートはねっとりした感じで、すごく変な気分でした。ミラクルフルーツは甘くておいしい……。グレープフルーツジュースが砂糖たっぷりのジュースに感じて「うわっ、甘っっ!」とびっくりしました。レモンの方もおいしく食べられるようになったのは驚きです。人間の味覚はこうも簡単におかしくなってしまうんですね。調べていたらトマトも甘くなるそう。機会があったらそちらも試したいです。
 本当に、貴重な体験をさせてくださりありがとうございました。



Bさん 

 ミラクルフルーツとギムネマの存在は、以前ニュースで見たことがあり知ってはいましたが、実際に体験できるとは思っていませんでした。今回、このような機会をいただき、とても貴重な体験になりました。
 最初にギムネマを食べた時、本当に甘味を感じなくなるのか半信半疑でした。しかし、砂糖の甘さが消え、チョコレートまで苦く感じたので驚きました。普段何気なく食べているお菓子には、人を満足させるためにかなりの量の糖分が含まれていることを実感しました。ギムネマを体験することは、食生活を見直す良いきっかけになると思います。より多くの人がギムネマを試してみる価値があると感じました。
 次に食べたミラクルフルーツは、舌の膜が少し残っていたため酸っぱさが多少ありましたが、それでも効果は十分でした。グレープフルーツジュースもレモン汁も思っていた以上に甘く感じられ、口の中の感触は酸っぱいものを食べた時のままなのに甘いという不思議な体験でした。
 ミラクルフルーツを体験して思ったのは、受験中にこれがあれば本当に助かったということです。勉強していると糖分が欲しくなり、運動もしていないのに毎日のようにチョコレートを食べていたことを思い出します。体に良くないと分かっていてもやめられなかったので、ミラクルフルーツがあればかなり役立ったと思います。
 もう一つ使えると思ったのは、健康のためにお酢を飲む人の場合です。自分も挑戦したことがありますが、直接飲むのはつらく、牛乳やはちみつを混ぜても失敗して飲めませんでした。ミラクルフルーツを使えば、お酢をおいしく飲める可能性があり、もしうまくいけば栄養も取れて一石二鳥だと思います。
 今回の体験で、自分の食生活を見直すきっかけができて本当に良かったです。そして、ミラクルフルーツなど味覚修飾植物の今後の活躍にも期待したいです。



Cさん 

 味覚は、視覚・聴覚・嗅覚・触覚と並ぶ「五感」の一つである。水(水溶液)に溶けた物質が口の中の「味蕾」と呼ばれる器官を刺激し、味蕾の中の味細胞が興奮して神経信号を脳に伝えることで、私たちは味を感じる。
 味蕾は舌の上では「乳頭」という小さな突起の中にあり、形によって有郭乳頭・茸状乳頭・葉状乳頭・糸状乳頭の4種類に分けられる。ちなみに糸状乳頭には味蕾がない。舌にある味蕾は全体の約67%で、残りは上あご・喉・気道・鼻腔にも存在する。総入れ歯の人が「味を感じにくい」と言うのは、上あごを覆ってしまうためであり、炭酸飲料を飲んだときの爽快感は喉の味蕾が刺激されることで生じる。
 味蕾の数は新生児で約12,000個、成人では6,000~9,000個になる。生まれた時の半分ほどに減るが、その分は経験や学習によって補われる。生物によって味蕾の数は大きく異なり、兎は17,000個、牛は24,000個と多い。一方、鶏は20~30個、蛇は2~3個しかない。さらに鯰は体中に100,000個、蝶や蠅は前足に味蕾があり、食べ物や産卵場所を触覚で選ぶために使われている。
 味覚は長い間、甘味・塩味・酸味・苦味の4種類とされてきたが、1985年に日本人が発見した「うま味」が正式に認められ、現在は5種類である。それぞれに対応した味蕾があり、糖・ミネラル・タンパク質を示す甘味・塩味・うま味は摂取量を増やすため感度が低く、腐敗物や毒物を示す酸味・苦味は摂取を避けるため感度が高くなっている。なお、舌先で甘味を感じるなどの「味覚地図」は誤りで、味蕾は舌全体に分布している。
 うま味には「相乗効果」があり、植物性と動物性を組み合わせるとおいしさが6.5~9倍になる。日本ではうま味の多い食材が多く「ダシをとる」文化が発達したが、欧米では肉やソースなど旨味の多い食材が多く、濃厚な味付けでまとめる傾向があるため、旨味の認識が遅れたという背景がある。
 基本の5味以外にも、辛味・渋味・えぐ味は物理的刺激であり、香り・色・見た目・咀嚼音などすべての感覚が味覚に影響する。「おいしさ」は環境や経験、気分にも左右される。人間の場合、「おいしい」は栄養だけでなく文化や情報にも影響され、脂肪や刺激物によって脳に快感物質が出ることもある。ピリ辛のスナックが止まらなくなるのはそのためである。
 味覚修飾植物とは「食べると味覚が変化する植物」であり、食べ物自体の味ではなく味蕾に作用する。甘味誘導物質・甘味阻害物質・苦味抑制物質などが知られている。
 代表例は「ミラクルフルーツ」である。西アフリカ原産の赤い実に含まれる「ミラクリン」というタンパク質が酸と反応すると甘味の味蕾を刺激し、酸っぱいものを甘く感じさせる。ミラクリンは熱に弱く、保存には冷凍やフリーズドライが必要。効果は生で約1時間、冷凍で30分ほど。発芽から結実には7年かかる。
 ほかにもマレーシア原産の「クルクリゴ」の実に含まれる「クルクリン」は、水で口を流しても甘味が続く作用がある。日本の棗や中国のケンポナシの葉にも甘味阻害作用がある。インド原産のギムネマの葉に含まれる「ギムネマ酸」は甘味の味蕾をふさいで甘味を感じなくする。
 2005年の中京大学の講義ではミラクルフルーツとギムネマが使われ、レモン汁を大量にかけたヨーグルトが爽やかな甘味のデザートになり、砂糖がただの「溶ける砂」になる現象を体験した。これは本当においしかった。
 ミラクリンを使えば濁った酢がリンゴジュースのようになり、ストロジンなら冷たい水を甘く感じさせるため、ジュースや清涼飲料水に添加すれば肥満予防効果が期待できる。ビールを飲む前にストロジンを食べて苦味を抑えるなど、若者に受ける可能性もある。ただし商品化する際は「食後30分ほど味覚が変化します」という注意書きが必要だろう。



Dさん 

 今まであまり味覚について考えたことはありませんでしたが、この授業を受けて、「なぜおいしいと感じるのか」「なぜまずいと感じるのか」という、当たり前だと思っていたことに疑問を持つことができました。私は舌には味覚地図のようなものがあり、辛いものは舌の奥、甘いものは舌の先で感じると思っていました。しかし、舌はそんな単純な構造ではないことを初めて知りました。
 舌には味蕾という器官があり、それによって私たちは味を認識しています。そして味蕾にはそれぞれ対応する味があるということを知り、とても驚きました。動物にとっての味覚は「生きていく上で役に立つものがおいしい」と感じるようになっていて、弱肉強食の世界を反映しているのだと感じました。
 また、食べ物はただ組み合わせてあるのではなく、うま味の相乗効果を利用してよりおいしく感じられるようになっていることもすごいと思いました。私自身、小学校の時に食べた干し柿があまりにも気持ち悪くて嫌いになってしまった経験があります。でも、好き嫌いは気持ちの持ちようで克服できると聞いて、親になる前までには嫌いなものを克服したいと思いました。
 現在の日本の若者は外食が増えたり、ファーストフードを好むようになったりして、日本食離れが進んでいます。そのため味覚障害になる人もいるそうです。サプリメントで亜鉛を補うこともできますが、やはり食材から取ることが大事だと思います。家族の中でも日本食を食べる機会を増やしていきたいと感じました。
 ギムネマの葉を食べたとき、本当に甘味が全く感じられなくなり、とても驚きました。この体験を通して、味覚障害になることはとてもつらいことだと実感しました。おいしいものを食べて「おいしい!」と感じることは精神的な喜びにつながり、食べることの楽しさにもつながります。だからこそ、私は日本食を積極的にとっていきたいと思いました。
 ミラクルフルーツはレモンにはあまり効果が出ませんでしたが、グレープフルーツジュースはとても甘く感じ、梅干しも全然すっぱくありませんでした。とても不思議で、すごい体験でした。テレビでよく見かけるので、たくさん栽培されているのかと思っていましたが、実際はとてもデリケートで、最近まであまり知られていなかったということを聞いて驚きました。
 ミラクルフルーツを食べてみて、今「お酢が体にいい」とよく聞くので、ミラクルフルーツを使えばお酢を飲みやすくなるのではないかと思いました。そしてギムネマはダイエットに良いと聞いたので、過食症で悩んでいる人や糖尿病の人にもっと普及して、身近なものになってほしいと思いました。



Eさん 

 【味を感じるしくみ】
 食べ物が唾液と混ざって水溶液となり、それが乳頭の中にある味蕾に取り込まれることで味が判別される。乳頭には、有郭乳頭・茸状乳頭・葉状乳頭・糸状乳頭の4種類があり、味の判別は「鍵と鍵穴」の関係に例えられることが多い。
 味蕾は舌全体やのどに合計6,000~9,000個存在し、いわゆる「味覚地図」は誤りであることを知って驚いた。

【人間・動物にとっての味覚】
 動物にとっての味覚は「生きていく上で役に立つものがおいしい」という仕組みになっている。コアラが毒性のあるユーカリを食べたり、ライオンが肉より内臓を優先して食べたりするのはそのためである。
 一方、人間の味覚は「経験と学習」の結果で形成される。 基本味は甘味(糖)・塩味(ミネラル)・酸味(腐敗物)・苦味(毒物)・うま味(タンパク質)の5種類で、これらの組み合わせで味が決まる。
 さらに人間のおいしさは ①生理的欲求 ②文化 ③情報 ④薬理学的快感 の4種類に分類でき、これらが複雑に組み合わさって個人の味覚が作られていく。

【味覚修飾物質・味覚修飾植物】
 味覚修飾物質は食べ物の構造を変えるのではなく、舌に作用して一時的に味覚を変える物質である。 代表的な植物には ミラクルフルーツ(酸っぱい物を甘く) クルクリゴ(酸っぱい物や水を甘く) ストロジン(冷たい水を甘く) ギムネマ・なつめ・ケンポナシ(甘味を感じなくする) などがある。
 現在使われている人工甘味料は低カロリーでも体への悪影響が指摘されることがあるため、ミラクリンやクルクリンを安定して生産できれば、糖尿病患者などにとって安全な甘味料として利用できる可能性がある。

【感想】
 今回の講義は驚きの連続だった。普段当たり前に使っている感覚なのに、味覚のしくみについてはほとんど知らなかったことに気づいた。
 特に「味覚地図が間違いだった」という事実には大変驚いた。小学校で教わった記憶があり、ずっと正しいと思っていたからである。
 さらに、ナマズが全身で味を感じているという話も衝撃だった。人間と動物の味覚は同じなのか、糖分を受容したときにナマズは私たちと同じ「甘味」を感じているのか、それとも全く別の感覚なのか、とても興味がわいた。
 ギムネマとミラクルフルーツの実習では、今まで感じたことのない味覚を体験して驚いた。 ギムネマを食べるとチョコレートがバターとカカオのかたまりのように感じられ、レモン果汁も抵抗なく飲めた。 ミラクルフルーツは甘味は強く感じたが酸味は残り、思っていたより効果が弱く感じた。ストロジンの「水が甘くなる」という体験もいつかしてみたい。
 冷たいものは甘味を感じにくいため、アイスやジュースには大量の糖類が使われている。味覚修飾物質を応用できれば、糖尿病の予防にもつながる可能性があると感じた。
 味覚の研究はまだ発展途上だが、これから研究が進めばとてもおもしろく、さまざまな分野で役に立つだろうと思った。